厨房を守るのは川辺シェフ。長男の賢一さんは、カウンター中央でオーダーを受ける。
リ
ヴィエール」のカウンターの中に、コックコート姿の男性が増えたのは8年前。オーナーシェフである川辺清さんを、息子の賢一さんが手伝うようになったときだ。リヴィエールは、東京・二子玉川で1977年から続く洋食屋。その頃の二子玉川といえば、田園都市線の駅名も近くの遊園地「二子玉川園」にちなんだ「二子玉川園」駅であり、渋谷と直結する新玉川線が誕生したばかりで、ランドマークである玉川高島屋S・Cがポツンとあった程度という時代だ。
「ハンバーグステーキ」は、チーズ、トマト、ベーコン、目玉焼きをトッピングすることもできる(各150円)。
ロ
シア、メキシコ、ドイツなどの料理を勉強してきた川辺シェフ。長男・賢一さんが小学校に上がる頃に、リヴィエールをオープンさせた。手がける料理は当時からほとんど変わらず、ハンバーグを揚げた「ビクトリアカツレツ」(900)円、「とんかつ」(1000円)、「鶏と野菜のデミグラスソース煮」(1200円)といった、毎日でも食べたくなるような洋食だ。中でも一番人気は「ハンバーグステーキ」(900円)。デミグラスソースで煮込まれた180gのハンバーグはボリュウムたっぷり。お箸を入れると崩れていく、ソフトなハンバーグである。
「最初に学んだロシア料理が一番印象に残っています。これも、ロシアの煮込みハンバーグがもとですね」
とシェフは話す。川辺さんが1967年から修行をした、神田神保町のロシアンレストラン「バラライカ」の流れをくむハンバーグだそうだ。
「カニクリームコロッケ」はハンバーグステーキ同様に、ご飯が欲しくなる味。ライス、味噌汁、おしんこが付いた「定食セット」(420円)もおすすめだ。
開店当時からのメニューはほかにもある。自家製の「カニクリームコロッケ」(900円)もそのひとつ。たっぷりのサラダの脇に、こぶし大の丸いコロッケが2つドンと乗っている。サクサクの硬いコロモとやわらかいカニクリームを一緒にして、口いっぱいにほお張りたい。食感もやさしい味わいも満足の1皿である。
「馬刺」は量もたっぷりだ。スライスニンニクと一緒に、醤油タレにつけていただく。馬肉の下にはスライスされた新タマネギがしかれている。
和
洋中のおいしいものを提供してきました」
というリヴィエールには「馬刺」(1360円)もある。頼んでみると、質の高い肉であることが分かる。みごとな霜降りの馬肉は、一流料亭でも出てきそうだ。やわらかく弾力があり、旨みもたっぷりで甘い。そして、上質な脂はいくら食べても飽きがこない。「旨い肉しか持ってこない、長い付き合いの肉屋があるんですよ。そこが『この馬肉はいいよ!』って言うんで始めました」
聞いてみると、いつも使っている豚肉は、じつは岩手のブランド豚「岩中豚(いわちゅうぶた)」だったり、鶏肉は、鳥取県の銘柄鶏「大山鶏(だいせんどり)」だったりしたそうだ。「ここのトンカツは、専門店よりもうまいね」とお客が話すのもうなずける。
馴染みのお客さんと話をする賢一さん。料理ができると、シェフは賢一さんに渡す。
う
ちは、高島屋の南館ができるちょっと前にオープンしたんですよ。あのころから、街はどんどん変わっていきました」
とシェフは話す。自然いっぱいだった28年前とは違って、「マダム」や「セレブ」といった言葉が似合うようになった二子玉川。そんな街で、リヴィエールも少しずつ変わってきた。8年前、徒歩で1、2分離れた場所に店を移したのをきっかけに、息子の賢一さんがシェフの隣りに立つようになったのだ。
「本格的に料理の世界に入ろうかと思ったとき、どうせなら親父の料理を学ぼうと思いました」
イタリアンレストランで修行をしたり、食材に携わる仕事をしていた賢一さんは、移転と同時に父親のもとに戻った。カウンターとテーブル席から成る新しい店では、カウンター内が賢一さんの定位置で、お客からの注文を受けている。一方、厨房で料理を作るシェフは、お客に背中を見せることが多くなった。
「私はもっぱら仕込みを担当します。親父の方が引き出しはいっぱいありますから、メニューも親父が考えますよ」
そう控えめに話す賢一さん。そんな彼を見ながらシェフは小声で話してくれた。
「次男も和食屋をやっています。やれとは言ってないのに2人とも自然にこの道に入ってくれた。なんとも親父冥利につきますね」
TEL. 03-3709-7445
東京都世田谷区玉川3-12-5
営業:11時30分?14時、17時?23時
定休日:水
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渋谷から地下を走ってきた東急田園都市線が地上に出ると、まもなく二子玉川の駅である。目の前には多摩川が広がる、花火大会や河原のバーベキューでも人気の場所だ。古くは宿場町だったこの辺りは、明治時代に、麻布や番町に屋敷を持つ人々の別荘が建てられた。多摩川に舟を出して芸者と川遊びをしたり、アユ料理に舌つづみを打つなど、避暑地として人気だったという。1907(明治40)年に玉川電気鉄道、通称「玉電(たまでん)」の玉川線が渋谷から当時の「玉川」駅まで開通。いわゆる路面電車で あったこの路線は1969年(昭和44年)に廃止されたが、そのルートを引き継いだ新玉川線が1977年(昭和52年)に誕生し「二子玉川園」駅で田園都市線と直結した。2000年(平成12年)には、この二つの路線が東急田園都市線として路線統一され、駅名も「二子玉川」駅となって現在に至っている。二子玉川が大きく変わったのは、東京急行電鉄が1953(昭和28)年から行った「東急多摩田園都市開発」がきっかけ。開発された、緑あふれる美しい街並みは、高級住宅地として人気を呼んだ。駅前の玉川高島屋S・Cには、ルイ・ヴィトンやロエベといった世界一流のブランドも入っている。また、現在、玉川1丁目から3丁目にかけて、11.2ヘクタール(東京ドーム約3個分)の大規模な再開発が計画中。東急グループが保有する、遊園地「二子玉川園」の跡地には、新しいショッピングセンターができる(2009年3月完成予定)。また、46階建てマンションをはじめとする高層ビルも建設され、二子玉川の風景はさらに変わろうとしている。
シェフのこだわりはご飯にもあります。開店以来、鍋でしか炊きません。お米は、例のお肉屋さんから仕入れているそうです。
店内はテーブル4卓とカウンターで構成されています。独りでカウンターに座る常連さんが多かったです。孫を連れて親子3代で食べにくるという、昔馴染みのお客もいるそうです。
おつまみになるオリジナル料理も豊富です。上は、「とうふのフライとろろがけ」(740円)。パン粉で揚げた豆腐に、すりおろしたとろろ芋をかけた洋風の揚げだし豆腐です。「パスタ・ド・サラダ」(630円)は、コシの強い冷製スパゲッティーに野菜を和えたもの。これも人気メニューです。
(上)ワインは、赤白合わせて5種類ありました。写真は、シャルドネを使ったオーストラリアワイン「ジェイコブスクリーク」(3680円)。そのほか、焼酎、サワー、ウィスキーなどもあります。
(下)シェフの奥様は、毎年梅酒を作られます。上品な甘さのおいしい自家製梅酒は、ロックやサワーで楽しめます(530円)。
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