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B食倶楽部 食べてきました!今週のピックアップB食店/vol.26
店主が厳選した、日本酒と初ガツオ「件(東京・学芸大学)」
西口商店街を入ってすぐの路地を右に入り、1つ目の角を左へ進んだところに店はある。
急東横線・学芸大学駅は、東西に商店街が伸びる生活に便利な街だ。駅名の由来ともなっている学芸大学は移転してしまっているが、いまなお独り暮らしの学生が多く住み、安くて旨い店がある。賑やかな西口商店街の小道を入ったところに「件(くだん)」はそっと佇んでいる。昨年オープンしたこの店は、こだわりの日本酒と旨いつまみを出すことで、早くも左党の支持を集めている店である。
酒用の冷蔵庫は2℃に保たれている。それぞれ、最もおいしい頃合を見計らって出される。
っとしていても日本酒は分からないから」とカウンターの向うから話しかけてくれるのは、店主の川邉輝明さん。31歳という若さの彼は、全国の蔵元を訪れ、時には酒米となるコメの実る田んぼにまで足を入れるそうである。現地で撮影した稲穂や酒蔵の写真を嬉しそうに客に見せる方だ。そんな生粋の日本酒好き店主が納得した、80種類の日本酒が件には置かれている。どれを頼んでいいか迷っても大丈夫。川邉さんなら即座に的確なアドバイスをくれる。 たとえば、新潟・糸魚川の純米吟醸「根知 男山」(750円)は、1杯目にと勧める。これは、繊細で宵の幕開けに相応しい味わいだからだそうだ。また、2杯目に勧められたのは「隆(白ラベル)」(800円)。丹精こめてつくられた足柄産の酒米を使い、日本の名水としても名高い丹沢の水で仕込んだ神奈川県のお酒だ。しっかりした旨みの生酒が、注文した刺身に良く合うのが理由だ。料理、飲むタイミング、酒の状態に合わせて最適のものを選ぶ様は、ソムリエさながらである。
根知 男山 隆
川邉さんが先月にも蔵元を訪れたという「根知男山」。ぐいのみは岐阜の窯元に焼いてもらったオリジナル。
神奈川・丹沢の酒「隆(白ラベル)」。無濾過・無調整によりつくられ、数量限定で出荷される希少品だ。
鮮でうまいと評判の件の刺身は、川邉さんが築地で目利きして仕入れたもの。この時期におすすめなのは「初ガツオ」(900円)だ。この日のカツオは南紀・勝浦で揚がったもの。旨さの証といわれる深紅色が美しい。これに、自家製カツオ醤油をつけて食す。プリッとした弾力がありつつもやさしい噛み応えで、初ガツオならではのさっぱりとした味わいが口中に広がる。上品な脂ものっているので、「戻りガツオに比べてパサつくから・・・」と思っている人はぜひ試してみてもらいたい。
刺身はその日お勧めで盛り合わせにしてもらうことも可能(一人前1000円~。写真は3000円)。左上から時計回りに初ガツオ、シメサバ、釣りアジ、北海生タコ、ニシン、活〆カンパチ、中央が甘エビ。
とろコンニャクの刺身
とろコンニャクの刺身
ゴーヤ岩のり
吸い物のような感覚もある、ゴーヤ岩のりのおでん
の他、件には酒にぴったり寄り添う、粋な肴がたくさんある。名物は、岐阜・下呂温泉から直接仕入れる玉コンニャクだ。川邉さんが修行した「赤鬼」(東京・三軒茶屋)の主人が、練りの回数まで細かく指定して作らせたという特別な品である。赤鬼と件でしか食べられない。ツルッと光るコンニャクを、柳包丁ですっと薄切りにした「とろコンニャクの刺身」(500円)は、極上のわらび餅のようにむっちりした弾力と芋の甘みに感動してしまう。そして、忘れてならないのは通年で食べられるおでんだ。川邉さんは「おでんは煮物」と捉え、野菜によって味付けを変えて個別に仕込むそうだ。今の季節に出てくる「ゴーヤ岩のり」(350円)のおでんは、梅肉がアクセント。ゴーヤの苦味と梅の酸味の調和が爽やかだ。何より、色々試して行き着いたという昆布とカツオのシンプルな出汁が絶品である。
と肴がより楽しめる空間を目指したという件。16席の店内がいつもいっぱいなのは、川邉さんの料理と酒が「また食べたい」と思わせるからだろう。
カウンターやテーブルの木材は、川邉さんがご自身で探した。
件
件
TEL. 03-3794-6007
東京都目黒区鷹番3-7-4 関口ビル1F
営業:17時~23時

定休日:月・日(不定期に月1度) *できるだけ要予約


 
カツオの旬は年2回
カツオは、季節ごとに一定の経路に沿って移動する回遊魚。ほぼ世界中の暖海域に生息し、日本にやってくるのは、太平洋(フィリピン沖など)で生まれ育ったもの。1月頃になると大群を組んで回遊を開始し、黒潮に乗って2、3月には九州沖にやってくる(その他、小笠原諸島と伊豆諸島沿いに北上するコースなど4つのルートがあるという)。このころのカツオはまだ太っていないが、4月ごろに通過する駿河湾沖ではイワシなどを食べるためふっくらとしてくる。その後、房総海域を経て8月頃に三陸、9月頃に北海道に到着する。北上するカツオは上りガツオで、初ガツオとも呼ばれている。さて、北海道に到着すると季節は秋。太平洋の海水温度も下がるので、今度はユーターンをする(カツオが好む水温は海域によって違うが、19~26度ぐらい)。これを、戻りガツオと呼ぶ。北の海でサンマやイワシを食べたカツオはまるまると太り、脂がのっていることが特徴だ。10月から11月にかけて土佐沖で釣られる戻りガツオがとくに有名である。

 

覆面編集部コメント
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月1回ほどのペースで蔵元を訪問するという川邉さん(上)が、蔵元や水田の写真を見せてくれました(下)。
 
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(上)美山錦と犀川の伏流水から生まれた、長野市川中島の無ろ過生原酒、「幻舞」。女性杜氏が醸した香ばしさのあるお酒です。(下)愛知の純米吟醸「醸し人九平次」。
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上から、生タコに合わせる「ボリビア岩塩」。塊を自分で削ります。お通しに出された「白瓜の雷漬け」。岩塩の付いたタイムがのった「地鶏焼(鳥取産)」(1000円)。ウニのような食感の「豆腐みそ漬」(400円)。香り豊かな「春ふき」のおでん(350円)。