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B食倶楽部 食べてきました!今週のピックアップB食店/vol.24
おふくろの味が倍楽しめる、肉じゃがコロッケ「藤八(東京・中目黒)」
藤八の看板。小道に入るが曲がり角の壁面にも大きく「藤八」と書かれているので、迷わずたどり着けるだろう。
こ数年、洒落た店が続々と登場し、若い人たちの賑わいが増している東京・中目黒。東急東横線・中目黒駅から代官山方面へ進み、目黒川を渡った辺りに大衆割烹「藤八」(とうはち)はある。めまぐるしく店が変わる川沿いの飲食店激戦区にありながら、28年前から若者やサラリーマンの活力源として愛されている人気店だ。
座敷に座ると、壁に貼りめぐらされたメニューに圧巻される。
れんをくぐると、カウンター、テーブル、座敷のどこも満席。酒を酌み交わす人々は活気に満ちているが、迷惑な酔い方をする客はまずいない。アパレル系の若者からOL、熟年サラリーマンまで老若男女が、和気あいあいと楽しんでいる。壁には短冊に書かれたメニューが貼られている。ざっと90種ほどはあろうか、ほとんどの料理が300~600円程度と嬉しい価格だ。「あん肝」「ハタハタ一夜干し」など、酒飲みの心をくすぐる文字が並ぶ中、特に目を引くのは「藤八名物」と書かれた「肉じゃがコロッケ」(1個210円)だろう。
げたてのコロッケをほお張ると、サクッとした衣の中から、裏ごしされたじゃがいもに肉そぼろと玉ねぎを混ぜたタネが顔を出す。非常にクリーミィ。じゃがいもを完全につぶし、滑らかになるまで練り込んだようである。しょうゆ、砂糖、みりん、酒などで甘辛く味付けされ、味はまさしくペースト状の肉じゃがといったところ。サクサクの衣の歯ごたえとホクホクのタネの舌触りがたまらない。藤八のメニューには肉じゃがもコロッケもないが、その分、この肉じゃがコロッケが「おふくろの味」として客の舌を倍に喜ばせている。
アツアツの「肉じゃがコロッケ」。素朴でどこか懐かしい味わいだ。
物は他にもある。「いかかき揚げ」「自家製はんぺん」「腸詰」(各420円)は、「肉じゃがコロッケ」と共に「藤八4大名物」と呼ばれる代表メニューだ。カウンターの上に吊るし干しされている自家製腸詰は、チーズのごとく発酵したような旨みが魅力。添えられたネギと辛味噌と一緒に食べれば、この臭みは消えてキリッと味が引き締まる。つまみに最適である。かき揚げは直径20cm、高さ5cmほど。たっぷり入ったイカも大きくカットされて、どこまでも豪快だが、軽やかに揚がっているのでするりと胃に収まってしまうだろう。
いかかき揚げ
自家製はんぺん
腸詰
藤八名物。上から「いかかき揚げ」「自家製はんぺん」「腸詰」。
重厚でありつつ、きりっとした味わいの「黒霧島」。
八ではビール、日本酒、焼酎の他、ワインやマッコリなど幅広く酒を揃えている。コロッケにはビールというのも捨てがたいが、せっかくなので芋つながりにしよう。黒麹仕込みの芋焼酎「黒霧島」(ボトル1890円)で合わせてみる。とろりとした芋の甘みの中にある、苦味の余韻。ちょっとスパイシーな余韻は、肉じゃがコロッケの油を流して、口の中をスッキリとしてくれるだろう。
人気店なので、大人数なら予約をお勧めする。
の大きな明るい女将をはじめ、藤八のスタッフたちは快活だ。元気な店につられたように客達はみんな良い表情をしている。親しみあふれる接客が活気の原動力なのかもしれない。肉じゃがコロッケなどのほっとするつまみとこの空気に、藤八が長く支持され続ける理由が垣間見える。
藤八
藤八
TEL. 03-3710-8729
東京都目黒区上目黒1-3-16 藤八ビル1F
営業: 17~23時
定休日:日・祝

 
じゃがいもの種類
世界中で2000種あるというじゃがいもは、日本では、およそ20種類が栽培されている。私たちが店頭で見かけるのは食用じゃがいもだ。そのほか、でんぷんの原料となるもの、ポテトチップスなど加工食品用のものがある。丸くて芽のくぼみが深い男爵芋は全国で60%の生産量を誇り、日本の2大品種のひとつになっている。でんぷん質が15%と高く、1928年にじゃがいもの優良品種に認定された。同時に優良品種になったメークインは細長く、芽の数が少ないのが特徴だ。栽培が難しいため、原産国イギリスではすでに生産されていないが、甘い味わいや調理しても煮崩れしないことから、男爵芋に次ぐ日本の人気じゃがいもである。今の時期に見かける新じゃがは、3月から5月にかけて九州などから出荷される小粒のじゃがいものこと。一足早く掘り起こされるため、小さくて皮もやわらかくみずみずしい。以前は、各産地で最初に採れた新物を指していたが、より早く出荷されるじゃがいもに変わってきた。さらに最近では、1月の沖縄産、3月の北海道ハウス産も新じゃがと呼ばれるようになっている。

 

覆面編集部コメント
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旬の味わいはまだまだあります。上から箸安めにぴったりの「キャベツのアリラン漬け」(370円)。「新かつお刺し身」(630円)は嬉しい厚切りで登場です。
 
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まぐろの「小カマ焼き」(320円)。小でも30cmほどあり驚かされます。プリプリした筋肉質の部位から、味の濃い血合いのところまで、くまなくたっぷり楽しめます。