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B食倶楽部 食べてきました!今週のピックアップB食店/vol.23
生ハムとパルメザンチーズの塩味がアクセント「ピッコログランデ(東京・麻布十番)」
川端康成、三島由紀夫、吉行淳之介など、多くの文豪達に親しまれてきた山の上ホテル
京・神田駿河台の高台に静かに佇む「山の上ホテル」は、開業当時(昭和29年)の面影を残すクラシックホテル。多くの文人達が執筆活動の場として利用し、「文化人のホテル」とも呼ばれてきた。故・池波正太郎氏もそのひとり。食通の彼が特に好んだという美味は、このホテルの天ぷらである。天ぷらと和食の店「山の上」は、「季節の天ぷら定食」が1万3650円というA食だが、じつは、階下の「葡萄酒ぐら  モンカーヴ」で気軽に食べることができる。
天ぷら盛り合わせ(セットディナーの前菜。2人前)。手前右から時計回りにエビ、ふきのとう、キス、ワラビ、アスパラガス、たらの芽。昭和30年に、東京のホテルで最初に天ぷらを出したのは山の上だという。
ンカーヴは、フランスを中心とした世界中のワインが楽しめるワインバーだが、一流の料理を味わうこともできる。ここの料理は、山の上ホテルの各レストランから運ばれてくるのだ。野菜、エビ、魚の天ぷらによる「天ぷら盛り合わせ」は、「山の上」から。今の時期なら、春の野菜と山菜の天ぷらが楽しめる。ほろ苦いたらの芽、ふきのとう、とろみの心地よい蕨(わらび)、シャキシャキの太いアスパラガス、どれもフレッシュな味わいで、口にするとサクッと音がして、衣の中に閉じ込められていた春の味わいが溢れ出てくる。大地の目覚めを感じさせる天ぷらだ。添えられているのは粟国の塩。えぐみのない塩は、素材本来の味をより引き出してくれる。驚くほど軽やかなあと味で、“上質な天ぷらはもたれない”ということを実感させられる。ところで、天ぷらのおいしさは、素材、油、職人の三位一体で生まれるといえよう。山の上では、一定の湿度を得るために氷で冷やす木製冷蔵庫(氷室)を使って、素材の瑞々しさを保っている。また野菜は納得いくものを全国から探し、魚介は刺身にもなる最高品を用いるという。これを熟練の職人が、本ごま油でカラリと揚げるのだ。
モンカーヴ1軒で、ホテル内の4つのレストランの自慢料理が楽しめる。
の「天ぷら盛り合わせ」は、人気の「セットディナー」で味わうことができる。前菜、中菜、メインを、自分の好みで組み合わせるプリフィックスコースだ。それぞれ5種類用意された料理は、「山の上」、メインダイニング「ラヴィ」、中華「新北京」、ステーキハウス「ガーデン」のもの。どれも、ホテルのシェフたちが腕を振るった料理だ。前菜とメインで2575円(税込み、サ別。以下同)。前菜、中菜、メインで4725円という価格はうれしい限りである。また、組み合わせ方では、和食、中華、フレンチを折衷にしたコースが楽しめるのも特徴だ。ここでは堅苦しいことはなし。食べたいものを食べれば良いのである。
セットディナーと一緒に注文したボルドーの白ワインは、通常4725円が4095円に。
ころで、モンカーヴはワインバーである。春の食材の旨みを引き出した天ぷらには、是非ワインを合わせて欲しい。一般的に天ぷらには、油を流して口中をリセットするという理由から、すっきりとした甘口の白や、キリッとした辛口の白が合うと言われている。しかし、好みはそれぞれというもの。モンカーヴには、フランスからニューワールドまで、赤、白、ロゼ、シャンパンと何十種類も揃っているのでじっくりと選びたい。また、セットディナーを頼んだ場合に安くなるワイン(赤白1本ずつ)が用意されているので、気軽に利用するのもおすすめだ。
長いバーカウンターが、店内の一角を占める。
明を落とした店内は、華美に飾り立てられることはない。しかし、丁寧に手入れされた椅子やテーブルが、文人たちに愛されてきたホテルの歴史を優雅に物語っているようだ。一朝一夕では作り出せない居心地の良い空間。そこに身を置いて、春野菜の天ぷらをワインとともに堪能する。きっとこの上ない満足感が得られることだろう。
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TEL. 03-3293-2311
東京都千代田区神田駿河台1-1 山の上ホテル本館地階
営業: 14時~翌2時(セットディナー14時~21時LO)
定休日:無休
http://www.yamanoue-hotel.co.jp/

 
丘の上から山の上へ

山の上ホテルの看板には、「Hilltop(丘の上)」の文字が添えられている。これは、アメリカWAC(陸軍婦人部隊)の女性たちがつけた愛称だ。昭和12年に(財)日本生活協会によって建造された山の上ホテルの建物は、戦時中は日本、戦後はアメリカの軍に使用された。WACの宿舎となった時代、アールデコ様式の優雅な姿と高台の眺望から「ヒルトップ」と呼ばれるようになった。1953年に米軍から返還され、翌年「山の上」と一字置き換えられてホテルは誕生した。
1980年に改装されたものの、館内はレトロで重厚な雰囲気を保っている。ロビーには、池波正太郎氏が書いた絵も飾られている。大学、専門学校、予備校など、学校が多い神田駿河台。古本屋、楽器店、喫茶店、スポーツ用品店などが目立ち、街は学生たちで賑っている。地名は徳川家康に仕えた駿河(静岡県)の家臣が、この土地を与えられたことに由来している。

覆面編集部コメント

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セットディナーから選べるメニューの一例です。上から「新北京」の焼売、「ラ
ヴィ」のピッツァ風春巻き、同店のフランス産ホロホロ鳥のポワレ グレイビーソース、「ガーデン」のほうぼうのオーブン焼き(本日の魚料理より)。
 
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着席すると愛らしいレース編みのランチョンマットが迎えてくれます。セットディナーにはフランスパンと、ミントとローズレッドのハーブティーも付いています。