 |
| 自由が丘デパートの長い通路に出された、縦長の立て看板が目印。 |
ヨ
ーロッパのちょうど真ん中、カルパチア(カルパート)盆地に位置するハンガリー共和国は、日本の約1/4の面積に1000万の人々が暮らす国だ。山に囲まれたハンガリーの郷土料理は、野菜や鶏肉を使ったものが多く、シチュー、スープ、ロールキャベツといった煮込みが多い。「トカイ」をはじめとするおいしいワインが造られることでも有名で、ワインに合う料理を楽しむことができる。それらを味わえるのは、東京・自由が丘の「キッチン・カントリー」。日本では数少ないハンガリーレストランだ。 |
 |
| ハンガリーの国旗が基調色となった店内は、あたたかい雰囲気だ。 |
自
由が丘駅に隣接する「自由が丘デパート」の一角に店はある。1957年に建設された同デパートの古参で、創業は1960年。今ではシェフは2代目(息子さん)に移り、おばあちゃまになった優しそうな母親がホールを仕切る。ハンガリーの風景写真や民芸品が飾られた店内は明るく気さくな雰囲気で、カーテンやテーブルクロスなどには、ハンガリーの国旗に使われる色(赤、白、緑)が使われている。メニューは、「ビーフシチュー」(1580円)、「カニ・コロッケ」(1080円)、「ハンバーグ・ステーキ」(1080円)、「海老フライ」(1780円)など、意外にも日本人に馴染みあるものが目立つ。特にカツレツ(1380~1580円)はハンガリーを代表する料理のひとつで、ポーク、チキン、仔牛と揃っている。だが、もっとも有名な郷土料理は「グヤーシュ」だろう。 |
| グ
ヤーシュとはボルシチのように、大きな具がゴロゴロと入ったスープ。シチューといったほうがいいかもしれない。「ハンガリー風グヤーシュスープ」(1180円)には、牛肉、ジャガイモ、ニンジン、タマネギのほか、平な手打ち風パスタがスープの中に入っている。このスープのオレンジ色はパプリカによるものだ。パプリカは、ハンガリーやスペインで作られるトウガラシのことで、ハンガリー料理にはかかせない食材。現地では100種類以上のパプリカを料理に合わせて使い分けるという。日本のトウガラシとは違って辛味はほとんどないため、グヤーシュはとてもやさしい味わい。酸味も少なく野菜のダシがきき、みそ汁やけんちん汁のように、一口飲めばほっとするスープだ。 |
 |
| 辛そうにみえるが、とてもやさしい味のスープ「グヤーシュ」。 |
|
| こ
のほかパプリカをたっぷり使った料理に、「チルケパプリカーシュ」(1580円)という、チキンのパプリカソース煮がある。タマネギ、パプリカパウダー、ブイヨンで骨付き鶏肉を煮て、煮汁をサワークリームと薄力粉でととのえたもの。ソースのとろみが特徴だ。ちなみに、サワークリームもハンガリー料理ではよく使われる。味はやはりマイルドでくせがなく食べやすい。トロンとしたソースは、酸味のきいた田舎パンに付けてもおいしい。 |
 |
| あんかけのようなとろみが特徴の「チルケパプリカーシュ」。 |
|
|
と
ころで、ギネス記録を持つハンガリー料理がある。ロールキャベツだ。ハンガリー北東部の町で作られた「テュルテュッテュ(トルトット)・カーポスタ」(ロールキャベツ)は、288メートルという長さでギネスブックに登録されている。地方色が現れたロールキャベツもハンガリーの郷土料理だ。カントリーの「トルトット・カーポスタ」(1580円)は、パプリカを使った赤いスープの上に、大きなロールキャベツが2個沈められたボリュウムの1皿。上にはサワークリームとパセリがかけられ、日本のロールキャベツとは様相を異にする。しかし、食べれば、懐かしい味だと感じるのだ。 |
 |
| 「トルトット・カーポスタ」。使われるパプリカによって、料理の色が違うのもハンガリー料理の特徴。 |
|
ど
どれを食べても、やさしくてほっとする味。それがカントリーのハンガリー料理だ。じつはハンガリーはヨーロッパでもめずらしい、アジアの遊牧民を祖先とする国。遠い昔のアジアのつながりが、そんな懐かしい味を感じさせるのかもしれない。 |
| |
 |
|
|