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B食倶楽部 食べてきました!今週のピックアップB食店/vol.19
サクラ吹雪の下で味わう、極上ケーキ「パティシエ イナムラショウゾウ(東京・鶯谷)」
取材当日、1本だけ見つけた上野公園の早咲きのサクラ。まもなく店の周辺一帯もサクラにつつまれる。
さな店ながら、日本屈指のパティスリーとして名高い「パティシエ イナムラショウゾウ」。鶯谷駅から徒歩7分という立地が良いとは言い難い場所に、全国のスウィーツ好きたちが日々押し寄せている。2000年の開店時よりも延びているのは店の外にできる列で、週末の大行列はもちろんのこと、平日の午前中でも人々が並ぶという光景は、このあたりの名物といえるほどだ。
ショーケース
ショーケースには季節を感じられるものを中心に、色とりどりのケーキが並ぶ。
約2メートルのショーケースが置かれただけという店内は、お客が5人も入るといっぱいになる。その数倍の広さを占めるのが、稲村シェフが忙しく動き回わる厨房だ。売り場との仕切りはガラスで、ケーキを選びながらもシェフを中心とした大勢のスタッフの仕事ぶりがよく見える。手際のよいきびきびした動きは、さながらショーのよう。そして、バックステージを包み隠さず見せるのは、食べ手として安心できるというものだ。
て、サクラの季節を盛り上げてくれるお勧めのケーキは「桃香」(420円)。乗せられた塩漬けサクラの花びらが愛らしい、桃とシャンパンのムースだ。シャンパンが大人の色香を醸し出すムースはジューシーで、中に入れられた白桃のかけらとともに、フレッシュな印象で口の中で溶けていく。さらに、サクラのさり気ない塩味が全体を引き締め、香りいっぱいに後味を演出する。春の風情漂う期間限定のケーキだ。
桃香
桃香。トップに見えるのが桜の花の塩漬け。ムースの中から顔を出しているのが白桃だ。
のほかの限定商品には、ベリーのゼリーを包み込んだ柚子のムースケーキ「ゆず」(420円)や、アプリコットの酸味とアーモンドチョコムースのコントラストが楽しい「アプリコットショコラ」(420円)などもある。
ゆず アプリコットショコラ
まもなく販売が終わる「ゆず」 「アプリコットショコラ」のアーモンドチョコムースは、ほのかにハーブ系の香りが加えられている。
気は、こだわりの国産無農薬イチゴを使ったケーキ。陽だまりのような黄色い生地に、イチゴジャムの真紅が映える「特製苺ロール」(399円)はシェフの代表作だ。卵のコクがたっぷりの生地と、イチゴをぎゅっと濃縮したような深い味わいの自家製ジャムが特徴である。また、イチゴのさまざまな魅力をグラスに詰めた「フレ・ドゥ・フレーズ」(525円/期間限定)では、評判の生クリームを存分に楽しむことができる。乳脂肪分50%の生クリームは、こっくりとしていて極濃厚な味ながら脂っぽさは感じられず、甘さ控えめに仕上げている。軽くコンポートされたイチゴ、フレッシュなイチゴ、ソース状のイチゴ、パンナコッタ、そしてリッチな生クリーム。これらの層をスプーンで一気にすくって食せば、今までにないイチゴミルクの味わいに心を和ませるだろう。
人気の「特製苺ロール」は、ジャムのおいしさが抜群。 「フレ・ドゥ・フレーズ」は、自慢のイチゴと生クリームを存分に楽しめる。
ョコレート好きにお勧めするのが、「ドームショコラ」(472円)と「オペラロール」(420円)だ。半球形のドームショコラは、倒れそうなほどにやわらかいチョコレートムースの中からプラリネクリームがとろけだす。名作と名高いケーキだ。一方のオペラロールは、「オペラ」(コーヒー風味のシロップを染み込ませた生地にバタークリームなどを重ねたケーキ)をロール状に仕立てたもの。クリスマス限定で販売されていたはずだが、好評だったのか、手軽なカット売りとなってリバイバルしている。オペラよりも生地面積が多い分、シロップがじゅわりと染み出す醍醐味も倍増だ。
ドームショコラ オペラロール
「ドームショコラ」。サクラも映る、鏡のような光沢のコーティングチョコレートが特徴だ。 「オペラロール」。ロールケーキにすることで、高級なイメージの“オペラ”が親しみやすい雰囲気になった。
店の片隅に置かれたレモネード。ちょっとした心遣いに嬉しくなる。
ーナーシェフの稲村省三さんは、スイスやパリの名店で修行したのち、ホテル西洋銀座のシェフパティシエとして活躍してきた人。多くのコンクールで受賞するという輝かしい経歴をもちながらも、自らの店は下町で小規模にした。そんな彼のケーキには、洗練された技の中に庶民的なほっとする優しさが織り込まれている。イートインすることはできないが、店の前に置かれたベンチに座って食べられる。レモネードのセルフサービスが用意されているのはうれしい限りだ。
「上野の山のモンブラン」は定番の人気商品。
ころで上野桜木の地名は、サクラの木が多かったことに由来している。谷中霊園へと続く店の前の道はサクラ並木で、3月の終わりになればサクラのトンネルが出現する。好きなケーキを購入したらベンチに座り、サクラの中に身をおいて食べるという雅な体験はいかがだろう。また10分ほど歩いてサクラの名所、上野公園に行くのもいい。サクラ吹雪の下で味わうフランス菓子。ちょっとオツな花見である。
イナムラショウゾウ
イナムラショウゾウ
TEL. 03-3827-8584
東京都台東区上野桜木2-19-8
営業: 10時~19時
定休日:月(祝日の場合翌日)・第3火
http://www.inamura.jp/

 
上野公園の桜
イナムラショウゾウから南に500メートル行ったところに上野恩賜(おんし)公園がある。公園内に900本、動物園や東照宮などを含めると全部で約1200本のサクラの木がある花見の名所だ。寛永寺(1625年)を建てた天海僧正が、上野の山にサクラを植えたのが始まりという。明治6年に開園した上野恩賜公園では、毎年サクラまつりを開催している。2005年は3月19日から4月10日の期間で、公園中に付けた1500本のぼんぼりに灯を燈す(20時まで)。上野公園によると、今年は3月27日からの4、5日間が花見のピークと予想されている。

 

覆面編集部コメント
i09
平日昼ながら20分ほど行列、やっとたどり着いたエントランスです。
 
i09
この桜並木の中にお店があります。桜トンネルになるのが待ち遠しいですね。
i09
お店から上野公園に向かう途中で出会いました。クラシカルな建物の「国際ども図書館」です。
 
i09
鶯谷駅南口からお店に向かうと、徳川家の菩提寺である「寛永寺」を眺めることができます。