入り口は小料理屋のような雰囲気。
新
しくなった経堂駅から線路沿いに少し歩くと「すヾはち」はある。女将とその娘さんがやっている30席ほどの小料理屋だ。厨房を囲むカウンター席を中央に、テーブルと小上がりが左右に広がっている。かすり模様の座布団や節目のある木のカウンターなど、民芸調の店内には女将の元気な声が響いている。活気のある、さばさばした男らしい店ともいえる。
す
ヾはちで楽しめるのは、35種類ほどの定番メニューと約20品の日替わり料理だ。農家から直接購入している漬物や、京都から仕入れる生麩(なまふ)など、女将が見つけたこだわりの食材が使われている。よもぎやごまなど3種類の生麩に3種類の味噌だれを乗せた「生麩田楽」(720円)は、もちもちっとした食感におどろかされる逸品だ。ナスの甘味があとを引く「焼茄子」(580円)、くせのない「霜降り馬刺し」(750円)、そして、プリプリの身に脂が乗った「銀むつ西京焼」(730円)など、「本日のおすすめ」には酒のすすむ料理が並んでいる。そして、女将がもっともこだわっていると思えるのが豆腐とゆばだ。
ねっとりとした生麩田楽は、
できたてのお餅のよう。
女将さんが漬けている
「すヾはちお新香」 (530円)。
たくわんのみ農家で 作られている。
500mlぐらいある豆乳サワー
(数量限定)。
す
ヾはちの豆腐は、京都の料亭でも使われているもの。なめらかな舌触りと濃いクリーミーな味わいが特徴の「大吟醸ざる豆腐」(630円)は、日本酒、焼酎、そして白ワインにも合う。わけぎ、かつおぶし、根しょうがといった薬味とあわせて醤油で食べてもいいが、シンプルに塩で食べたくなる濃厚な味わいだ。豆乳もあり、焼酎で割った「豆乳サワー」で楽しめる。大豆臭くなくヘルシーな豆乳サワーだが、あまり食事には合わないのでこれだけをじっくり飲む方がおススメかもしれない。
大吟醸ざる豆腐は直径13cmほどの大きさ。
さ
て、「“大吟醸ざる豆腐”のような冷やっこは好きだけど、湯豆腐はいまひとつ注文する気になれない」、という人にぜひ試してもらいたいのが「ゆばしゃぶ」(1人前1600円)だ。これは、生ゆばを出汁でさっと湯がいて食べるというもの。野菜やきのこも入った鍋料理だ。
注目は出汁である。かつおと醤油がベースの出汁に、例の豆乳が入っている。運ばれてくる鍋は、ベージュ色のスープがなみなみとしていて底は見えない。まずは温まるまでじっと待とう。やがて温度の上昇とともに豆乳が表面に固まってくる。しゃもじですくって、できたてのふわふわ豆腐(注:にがりを使用しているか否か不明。豆乳だけの場合はゆばとなる)を味わう。口の中でとろける食感は、プリンや茶碗蒸しのようだ。上質な豆乳から作られた豆腐は、かつおの香りと出汁の風味がしっかりと浸みてとても上品。「湯豆腐は味がないから」と敬遠しているひとには、ぜひ試してもらいたい鍋である。
豆腐を作ってから鍋を楽しむという、ゆばしゃぶ。
1人前でも具はたっぷり。
豆
腐をすべて食べると黄金色のスープが残る。ねぎ、水菜、エノキ、エリンギなどは鍋に入れて、ゆばはさっと湯がいて味わおう。このゆばは京都の知り合いから紹介され、女将がほれ込んだという。京都・錦市場から仕入れる無添加の生ゆばは、しっかりとした歯ごたえでほんのり甘い。
できたての豆腐と京都のこだわりゆばが一度に堪能できるゆばしゃぶ。雑炊セット(450円)などと組み合わせるのなら、1人前を2人で分け合ってちょうどいいボリュウムである。
TEL. 03-3706-6812
東京都世田谷区経堂3‐1‐2 松原屋ビル1F
営業:
17~24時
定休日:日
豆腐もゆばも、中国から伝わった食品。「呉」(水に浸した大豆を挽いたもの)を煮立てて絞ると豆乳になる。絞りかすは「おから」である。その豆乳を湯煎で熱して出来た薄い膜が、ゆば(湯葉、湯波と書く)。ゆばをすくうときは大きな串を使うが、手で引き上げて手繰(たぐ)り寄せる「引き上げゆば」もある。膜が張る直前に取ったゆばは「汲み上げゆば」で、煮詰まった最後の方は「甘ゆば」という。そして乾燥させたものが「乾燥ゆば」だ。ゆばは豆腐よりも濃厚な味わいで、たんぱく質と植物性脂肪を多く含んでいる。
菊水の辛口を注文しました。普段、冷酒では出していないようでしたが、わざわざ冷やしてくれました。ワインみたいで楽しかったです。
上から、竹の子と厚揚げのお通し、「焼茄子」、「霜降り馬刺し」、「銀むつ西京焼」
店内は明るかったです。中央に大きな柱があります。
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