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2010年1月8日(金曜日)
   
昨年、書けていない記事が多すぎるので、
どこから拾っていこうと迷いつつ、過去と現在と未来の狭間で
しばらく行ったり来たりしようと思います。

12月上旬は、並木麻輝子先生のツアーにて、
フランス・アルザス方面へ、念願のマルシェ・ド・ノエルを
見にいくことができました。
ストラスブールではクリスチャン、キュブレーへ行き、
浅見シェフにお会いし。
ニーデルモシュヴィールのクリスティーヌ・フェルベール、
マンステールのギルグ。ミュールーズは次回の課題だなー。
メッスのフレッソン。ルクセンブルクのオーバーワイス、
ナミュールとジュナヴェ。
それぞれのお店で、ここで修行されてきたゆかりの
シェフ達を思い出しつつ。
パリはパスカル・ル・ガック、カール・マルレッティ、
ジャック・ジュナン、ローラン・デュシェーヌ、ジェラール・ミュロ、
ジャン=シャルル・ロシュー、他諸々・・。盛りだくさんでした。

どこも心に残りますが、私がこのツアーについて印象に
残ったことから書き始めるとしたら、それは「りんご」探しと、
パリのレストラン「CHAMARRE(シャマレー)」訪問だと思います。

りんごの記事は、次回書くことにします。
アルザスのスーパーでもパリのマルシェでも、りんごを探してました。
行く直前に、やまさ農園の関さんから、「JAZZ ジャズ」という
りんごが美味しいから探してみてくださいという旨の指令(?)
を受け取ったため・・。
昨年11月に、ブラムリーファンクラブの皆さんとご一緒して、
りんご尽くしランチアレンジした際のことも、まだ書けていないので、
そこから遡らねばならない・・・。
というか、10月のいちじくランチからです、すみません。

「CHAMARRE(シャマレー)」とは。

茨城・結城「アルチザン・パティシエ・イタバシ」で、
一昨年まで、 スーシェフを務めていらした佐藤さん、
現在は吉開雄資さんが、今働いていらっしゃるパリのレストランです。
ようやく行ってきました。

吉開さんは、パリのオテル・ブリストルにしばらくいらした後、
こちらのレストランに移られました。

・・・が、一応、事前に行く可能性のある日の
予告はしておいたものの、 予約時に確認しなかったため、
当日は早上がりでいらして、 残念ながら、
すれ違いとなってしまったのですが。(>_<)

お土産だけお預けしてきました。
和菓子屋さんの柚子コンフィですが、無事に渡り、
レストランのシェフが喜んでくださったそうで、よかったです。

CHAMARRE(シャマレー)は、同名レストランが、
かつては7区にありましたが、現在の場所はモンマルトル。
正確な店名は、「CHAMARRE MONTMARTRE」です。

最寄駅はメトロの12番線、ラマルク・コランクール。
お菓子屋さんだと、アルノー・ラエールと近いです。

シェフがAntoine Heerah(アントワーヌ・エラ)さんとおっしゃって、
フランス料理界では珍しいモーリシャスのご出身。
そのためか、店内の内装も、ちょっとエキゾチックな雰囲気。
以前、7区にあった同名レストランではミシュラン1ツ星を
獲得していた実力派。

板橋シェフ情報によれば、パリの三つ星レストラン
「アルページュ L’Arpege」のシェフ、アラン・パッサールのもとで
修行された方だそうです。
キュイジニエにも、日本人シェフがいらっしゃるなーと思ったところ、
右腕をつとめる藤枝カズさんという方だそうです。

パリで待ち合わせした麗しの君とご一緒していただきました。
そんなRENDEZ-VOUSにふさわしい、素敵なお店でした。

夜のコース、アントレ、プレート、デセールのプリフィクス。
アミューズ、アヴァンデセール、ミニャルディーズもついて
52ユーロはお値打ち。
前菜2品、お魚とお肉とデセールのコースで65ユーロ。
ランチもやっています。

アミューズは、ワンスプーンが2種類のった1皿。
鱈のブランダードに青みのソースを添えたものと、
豆と野菜のペーストに柑橘系だったかな、ソースを添えたもの。
もう1皿は、楕円のグラス入りのヴェリーヌ風で、
細かく刻んだチャイブとオリーブオイル、
ソースをかけたブランマンジェ。
メモが見つからないので正確でなくてごめんなさい・・。

前菜は、野鳥系のジビエのパテに赤ワインを詰めたソース添え。
フォアグラを「みかん」のソースでミ・キュイにポワレしたという料理も
気になったのですが。ジビエの時期だしなー。(みかんもだけど)

パイ生地に包まれたジビエのテリーヌ。きゃあ濃厚。
野鳥っぽい香りがしっかりあって、真ん中に、セップでしょうか?
こりっとした食感のきのこが詰められています。
メインはお魚。この、火の通し具合が見事!
決して生ではないけれど、しっとりとジューシーで
心地よい弾力があって、レアに近いような・・。
まさにミ・キュイ!

泡状の柚子のソースと、黒大根と白い大根を添えています。
あさりを蒸したものが別添えになっていて、
そのジュを煮詰めたとろみのあるソースがからんだあさりと、
魚とを一緒にいただくと、これまた大変美味しかったのです。
アヴァンデセールの1つ、黒糖ブランマンジェは、
なんだか妙に 日本っぽく郷愁をそそられる味で、
これは吉開さん開発か?と思ったり。
イタバシの「和糖」を使ったブランマンジェを、
ふと思い出したのです。
上に散らしてあるのは、黒米のような、穀物系でした。

ところでこのカトラリー、かわいいですよね。
軽くて使いやすかったです。
穴あきチーズのエメンタールみたい。

もう1つは、これはアルギン酸かなー。
でももうちょっと寒天っぽいサクッとした食感に思われた、
膜で包まれた球状のエキゾティックソース。
マンゴーパッション味ですね。
デセールも素敵なお皿使いで、色彩も美しく、目にも楽しかったです。
酸味と甘みの対比がはっきり。
私は柑橘系を様々に使った盛り合わせをいただきました。

アグリュムのクレームを挟んだメレンゲの、
噛むとキュッと鳴るくらいのサク感といったら!
クレームはタルトシトロンのそれのように
強い酸味があり、好きな味でした。

柄がカーブした形のグラスに満たされているのは、
ルビーグレープフルーツとオレンジをさっとシロップに通したような、
さわやかでフレッシュなベースに、ゼストを混ぜこんだ
清々しいライムのムースがたっぷり。
上には小さな柑橘のふっくらしたシロップ漬け。
これは何だろう・・。

お花のように飾られているスライスは、これ、
日本の温州みかんっぽい感じだなぁ・・。
やはり、どことなく日本の食文化の要素を感じさせるのです。
同行の方が選んだのは、マンゴーとレモンの皮のコンフィを
重ねたものに、マンゴーのソルベを添えたもの。

が、このコンフィについては、無茶苦茶甘い・・と
くじけていらっしゃいました。
確かに、ちょっと味見するのはいいとして、
この量を食べきるのはちょっとヘヴィーかも。

このメニュー名、フランス語の解釈がイマイチわからず。
「Bouddha」という言葉があり、ブッダ??と謎に。
英語を見ると、「Albedo」とあり、これが、
「柑橘類の皮の内側にある白い繊維質」のことらしいというのは
わかったのですが、仏和を引いても、ラルースを引いても、
「Bouddha」の意味がよくわからないのです。気になる・・。

やっと、一年越しで伺えたお店ですが、またパリに行ったら、
吉開氏がいらっしゃる時に、きっと再訪したいと思います。

にしても、星の数ほどあるパリのレストランで、
板橋シェフの導きで、ここで食事をしている巡り合わせが、
不思議であり、なんだか嬉しくもあり、人の出会いの
面白さを思うのでした。
B食店情報
・店名 : CHAMARRE(シャマレー)(しゃまれー)
・ジャンル : 欧風料理-フレンチ
・住所 : その他(海外)52, rue Lamarck - 75018 PARIS
・TEL : 01 42 55 05 42
・URL : http://www.chamarre-montmartre.com/
・営業時間 : 12:00〜23:30(15-19時はバータイム)
・定休日 : 無休
・最寄り駅 : メトロ12番線Lamarck-Caulaincourt(ラマルク・コランクール)
・キーワード : Antoine Heerah(アントワーヌ・エラ)シェフによる、モーリシャス風アレンジを加えた現代的フレンチ
・友人・同僚 / デート / 接待
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2007年10月20日(土曜日)
   
きっかけは、知人の結婚式の折、引き菓子の
セレクションボックスに入れてくださった、
全国各地の焼き菓子の名品達でした。

その中で、私が一番美味しいなぁと思ったのが、
こちら、ランベリーのクグロフだったのです。

一度、お店に行ってみたいと思っていたところ。
二度目の、偶然の邂逅がありました。

タダシヤナギ八雲店に、こちらのショップカードが
置かれていたので、あれ?と思いました。
伺えば、岸本直人シェフが、銀座オストラルにいらした頃
から、柳シェフとご親交がおありだったとのこと。

そんなふうに、お知り合いの方のお店を、
さりげなく応援しようとされるのが、
柳シェフらしいお気遣いですね。

岸本シェフのブログを拝見して、
あぁ、気さくで熱血で、いい方だなぁと思いました。
近く、お店にお訪ねしたい旨を書き込んだところ、
温かいご返信をいただきました。

柳シェフのクルミのタルトをいただいた時、感激した!
というお言葉。デザートに関しても、色々と
アドバイスをいただいています、と。
あぁ、この方のお料理を、ぜひいただきたいなぁと
楽しみにしていました。

と、いうことで、かなり間があいてしまいましたが、
10月初旬に、お友達と一緒にお訪ねして参りました。

masakoさんのレポート、写真もたくさんで
お詳しいので、ご参照くださいー。

エントランスから地下に抜ける空間の作り方から、
とても素敵。
秘密の場所につながるような、わくわくする思いで
降りていきます。

地下だけれど、天井が吹き抜けのメインホールは、
ゆったりして、特別な日の、大事な時間を
過ごしたくなるような感じです。

私達も含めて、見事に全員、女性客オンリーでしたね。
きっと、銀座時代からのお客様も、たくさん
いらっしゃるのでしょう。

最初、メニューをお持ちいただいた時、
透明のアクリル板に書かれたメニューを、
看板のように目の前に立てて広げて見るという、
初めてのスタイルに、ちょっとびっくりしました。

でも、変わった形で驚かせようというのではなく、
お料理もサービスも、あくまで上品で、
ほどよくトラディショナルかつ現代的。

ブルームーン・・とでも呼びたくなるような、
位置皿のデザインが、とても素敵!
クリストフルですね。

これは・・親善大使の彼の君に、ご報告しなくては〜!

このカトラリーは、ちょっと見ないですね〜と、
皆さん、口をそろえておっしゃる。さすがお詳しい。
ちょっと、ぽってりしたラインの持ち手部分に、
ずしっと重たさがあって、手になじむ感じです。
プリフィクスで、1皿目、2皿目の前菜に、メインとデザートを
選ぶ4410円のコースをいただきました。
あと、シェフお任せの6825円のコースもあります。

前菜、どれもこれも魅力的で、迷うことと言ったら・・
うーん、どれも気になる!選べない!
ということで、結局、皆、思うところは同じ。
「せっかくだから、違うのをお願いしたら、
全部見られますね〜!」

一皿目、私は、
「ナスで巻いたウサギのガランティーヌ タイム風味」
を選びました。

ちなみに、他に気になったのは、
「カニとナスの軽いグラタン、リヴザルトのサヴァイヨンソース」
「熟した黄桃のサラダ、レモンヴィネガーとリコッタチーズのアイス アーモンドオイルの香り」

なぜこれにしたかというと、実は私、ほぼ好き嫌いがなく、
食材キャパシティもめちゃくちゃ広いのですが、
ジビエの中で、ウサギだけが、食べられなくはないけれど、
ちょっとだけ苦手かも、という意識がありました。

ただ、自分の中で、多分、最初の出会いが、
何かしらいけなかったんだろうな、という思いがあり、
思い込みを克服する機会があればと願っていたのです。

それに期待してのチョイス。

ただ、こちら、ラパンとあったので、家ウサギですね。
ジビエといえば、野ウサギ。これはリエーブル。

盛り付けも、とても美しい!

ウサギだけでなく、他の数種類のお肉と
あわせて、ねっとりとしたパテのように仕立ててあり、
これは・・期待どおり、苦手意識を、拭い去ってくれました。

ウサギは匂いがある、というのは、
きっと、思い込みなのですね。
こちら、2皿目。
「カリカリのじゃがいもで包んだ赤座海老、オリエンタルなソース」

わぁ、このじゃがいも、一体どうやって巻いてるの?!
と不思議。思わず眺め回してしまいました。

カリカリのじゃがいもの中に、ぷりぷりの海老。
この対比がたまりません。
噛むと、海老の甘さが口の中に広がる・・。

もう1つ迷ったのは、
「栗とリンゴのラビオリ、秋のキノコのソース」でした。
これまた、セピアの秋色が美しい一皿で・・。


「甲殻類のコンソメとスパイシーなカボチャの軽いムース 一口フォアグラポワレ」も、
コンソメとムースは、グラスデザート調に、
フォアグラは、メルバトースト風の薄い焼き色のついた
パンではさんだ、小さなサンドイッチ風と、
思いがけない斬新な姿で提供され・・面白かったです。

味見させていただいた、甲殻類のコンソメの濃厚な
旨味が、何とも言えませんでした〜。
メインディッシュには、静岡県牛山ポークのホホ肉とスネ肉の
ブレゼをいただきました。

この豚は、幻の豚といわれる梅山猪と、黒豚との
交配で産まれたものだそうで、抗生物質を一切使用せず、
有機栽培の無農薬野菜や、山腹の湧き水で育てた
豚なんだそう。

友人が頼んだ和牛赤味肉のポワレに使われた、
万願寺唐辛子のソースも面白かったし、
身がしっとりしつつほろっとした火の通し加減が絶妙の、
タスマニアサーモンも素晴らしかった。
魚料理が美味しいお店には、目を啓かれる思いがします。

さて、一皿、一皿のお料理を、目で舌で、
存分に堪能させていただきましたが・・
いよいよ、楽しみにしていたデザート。

選べる3種類は、チョコレートのガナッシュ、
フルーツのゼリー寄せ、それにブランマンジェ、という
ベーシックなもの。

でも、プレゼンテーションはとても美しく、
masakoさんの召し上がった、2種類のガナッシュ&グラス
のプレートはこちら

私は、ブランマンジェにしました。

運ばれてきたのは・・・これは、実に、潔いほどにシンプル!

が、しかし。
食べてみて、驚きでした。

なんて香ばしいアーモンドミルク!
これは・・かなりしっかりローストしているのでは
ないだろうか?と思わせます。

これまで、私が食べたことのある中で、
ベスト・オブ・ブランマンジェと言えば、
イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのものでした。
いわゆるアーモンドのビター臭がかなり効いていて、
杏仁のような香りにインパクトがあるのです。
そして、下に敷かれたアングレーズソースが必須!

それが基準になっていたので、ブランマンジェって、
こういうものだと思っていた節があります。

が、こちらのブランマンジェは、まるで違う。
杏仁のようなビター臭が、ほとんど感じられない。
そして、ソースも、アーモンドミルクそのもので、
余計なものを、一切加えず、素材そのものの
味を、最初から最後まで、味わい尽くすような。

がつんとインパクトがあって、それでいてやさしい・・。

あぁ、これは、やられたなぁ。
ブランマンジェの概念が、覆ってしまいました。
個性が全く違うので、比べようのない、双璧を
なしてしまった感じです。
これが、私が気になった、クグロフ。
食後のプティフールの1つとして、添えられました。

こちら、和三盆と、洋梨のリキュール、
ウィリアムポワールを使った贅沢なもの。
くるみがたっぷり入って、香ばしくも、
しっとりしたケークタイプ。

大小サイズあり、テイクアウトもできるのですが、
消費期限が4日間かな?
焼き菓子にしてはかなり短い。
レストランならではの、手作りの美味しさ。
できるだけ早めに味わってほしい、ということですね。

締めくくりには、京都のリンゴ酢を
出していただいて、すっきり、爽やか。
これも、大変好評でした。(^_^)

最後に、岸本シェフに、ご挨拶を。

一番気になった、ブランマンジェについて伺うと、
わざわざ、皮つきアーモンドの状態から、
皮をむいて、ローストして、それをミルクで
アンフュゼして、漉して・・といったふうに、
丁寧に手間をかけていらっしゃるそうです。

アーモンドも、やはり、あまりビター臭の強いものに
ならないような選び方をされているご様子。

お菓子屋さんではく、レストランのデザートで、
1つの品に、そこまで手をかけるというのは・・
ちょっと感動的でした。

海老に巻いてあったカリカリじゃがいも、
どうやるんですか?と伺ったら、
「あれは、専用の道具があるんですよ。
刺身のつまを作るための、合羽橋とかで
売ってるやつなんですが・・」と。

ぐるぐるハンドルをまわして、大根とかを、
細く切るための道具ですね。

シェフが、フランスで働いていらした時、
なぜか、チーフがその「つま」用の道具を持っていて、
これがいい、と教えてくださったんですって。

フランス人シェフの方も、日本にいらっしゃると、
結構、合羽橋とか、行かれたりするそうです。
うーん、日本の意外な道具が、世界の厨房で
活躍しているんですね〜。

お店でも、この、「つま」専任のスタッフの方が、
見事にじゃがいもを細くスライスし、海老に
巻きつけていらっしゃるそう。(^_^)
帆立でやってみたり、色々と試作されたそうですが、
やはり、この、カリカリと対比されるプリプリ感は、
赤座海老が一番だった、とのこと。

初対面にも関わらず、気さくにお話してくださった
岸本シェフ。どうもありがとうございました!

スタッフの方が、1階のメインエントランスまで
同伴くださったのみならず、私達の姿が
見えなくなるまで、ずっと、見送ってくださいました。

ご一緒した皆さんとも、ぜひ、またお伺いしたいですね!
とお話しつつ、幸せな気持ちで、お店を後にしたのでした。
B食店情報
・店名 : ランベリー(らんべりー)
・ジャンル : 欧風料理-フレンチ
・住所 : 東京都港区南青山5−2−11 R2-A棟 B1F
・TEL : 03-6427-3209
・URL : http://www.lembellir.com/
・営業時間 : 11:30-14:00(L.O)/18:00-21:00(L.O)
・最寄り駅 : 表参道
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2007年5月14日(月曜日)
   
その1から続きます。
パリのタイユヴァンの系譜をもつ
数少ない日本人シェフ、湯本行浩シェフのお店との
出会いに恵まれました。

これは・・一見すると、肌色の競演で、
何の組み合わせか、ちょっとわからないかもですが、
あたたかいじゃがいものピューレの上に、
生の帆立貝を並べたガレット。
トリュフ風味のドレッシング。

私、トリュフは、使い方によっては、
ちょっと苦手と思うこともあるのですが、
このトリュフの使い方は、酸味を効かせた
ベースのドレッシングのおかげで、
強い香りが具合よくなじんだ感じで、
それが、じゃがいもと帆立とも、よく合ってました。

それにしても、このじゃがいもピューレの、
美味しいこと〜。
自分も、じゃがいもも帆立も好きだけど、
こんなに美味しくできない・・。
感動していたら、シェフが、家でも真似できそうな、
簡単なテクニックを、教えてくださいました。

まず、加えるのは、牛乳とバターのみ。
生クリームは加えません、と。
あら、生クリームを使うと、リッチな感じで、
美味しいんじゃないかしら、と思ってしまうのですが、
そうなんだ・・。

じゃがいもは、本来、皮付きでゆでるそうですが、
家庭では面倒でしょうから皮をむいていいので、
にんにくのかけらを、やはり皮をむいて、
一緒にゆでる。

その時、オリーブオイルも加えることで、
じゃがいもがあまり水分を吸わず、
旨みを保持できるそうです。

そうか・・ということは、おとなしい顔をして、
君は、意外とにんにくが効いてるのね。(^_^;)

うん、でも、このくらいなら、家でも真似できそう。
メインは、魚と肉とチョイスで、同行の方が、
魚にされました。

そちらは、イラという魚。
これは、赤い色をしたブダイみたいな姿だそうです。
アサリを使ってあって、このあたりは、
能古島のあさりが、高級なんだそうです。
砂地なので、泥臭くないのだとか。

なので、私は、お肉の方にしていただきました。
子羊に詰め物をしたロティ。

中の詰め物は、独特のハーブ香があり、
エストラゴンとのこと。
それに、マッシュルーム、カリカリのベーコン、
火を入れたエシャロット、豚の肩ロース、豚の背脂
などを混ぜているそう。

タイユヴァンのスペシャリテですよ、という
お言葉に、ふと、記憶がよみがえりました。
パリの、59ポワンキャレのお店。
あそこでいだたいたスペシャリテが、
子羊の詰め物入りの、こんな感じだった・・。

あちらのは、ジョエル・ロブション氏のスペシャリテ
だったから、ちょっと違うのかも。

恵比寿には、かつて、タイユヴァン・ロブションが
ありましたが、サービスがタイユヴァンで、
料理がロブションだったのですよね。

湯本シェフが、そのサービスにおいては、
世界一だと思うとおっしゃるタイユヴァン。
ミシュランの星がいくつになったとか、
いろいろな見方、評価がありますが、
シェフにとっては、そういうことは関係なく、
何よりも、大事なお店なのだそう。
いつか、行けるといいなぁ・・。

そして、この付け合せが、湯本シェフならではの世界!

一番手前は、ノビル。
こごみ。たらの芽。
ネマガリダケという、細身の緑がかった筍。
行者にんにく、あさつきなど・・。
これらは、みんな、今が旬という、シェフの
故郷で採れた山菜だそう。

昔、シェフのお父様が、山に入って、
こういう野草を採っていらして、
生で召し上がっていたそうです。
ノビルは、味噌をつけたり・・。

「文化がないところだったから・・」なんて、
わざとおっしゃるシェフ。
もともとは、そういうところでの生活が嫌で、
だから、都会で身を立てたいと思われたそう。

でも、今、そんな故郷から届く自然のめぐみが、
湯本シェフの腕によって、こんなに美味しい
一皿として、第二の命を吹き込まれて・・!

それに、かぼちゃ、れんこん、ごぼうなど。
どれも、シャキシャキした歯ごたえや、
なんともいえない甘みが印象に残ります。

先ほどの、プラック上においた鍋の上で
調理するのですが、単に、同じように
鍋の中に入れても、それぞれの
美味しさは引き出せない。

たとえば、たらの芽は、生のままだと、
アクがあり、味が強すぎるので、
先に湯がいてから、調味用の鍋に。

そんなふうに、1つ1つに手間をかけて、
野菜、野草の美味しさを、大事に、
お皿のうえで花開かせている。

「うちは、精進料理をやるつもりはない」。
お肉もお魚も使う。
でも、野菜は主演級であることは間違いありません。
お肉やお魚と一緒にあるからこそ、その美味しさが、
より、引き立つのではないかと思われます。
デザートは、3種類ありました。
「どうしよう・・」と迷っていたら、
「じゃあ、全部少しずつ出しましょう」
とおっしゃってくださったシェフ。
短時間の間に、本質を見破られた感じ・・。(^^ゞ

これは、紅茶でフリュイルージュをコンポート
したものに、ミルクのグラスを添えて。

綺麗な赤色にそまっています。
紅茶の香りはあまり強くなく、
背景にある感じ。

お店でも人気という、
シナモン風味のクレーム・ブリュレ。

キャラメリゼした表面に、シナモンパウダーを
振ってあり、上には、プラリネのアイスクリームを
添えてあります。

プラリネは、自家製ではないそうですが、
使うものによって全然味が違うので、
フランス産の美味しいものを選んでいるそう。

香ばしく、シナモンとブリュレと一緒に
食べても、バランスがよい感じ。


そして、このマルキーズ・ショコラは、
タイユヴァンのスペシャリテだったもの、と。
お皿も、特別な感じで、思い入れが伝わります。

と言っても、パティスリー担当では
いらっしゃらなかった湯本シェフ。

当時、レストランは土日休み。
金曜の夜になると、大掃除をして、
仕事が終わる頃、残ったものを食べることが
できて、それが楽しみだったそう。

だから、レシピとかはご存知なく、
味の記憶で、再現しているため、
本来のとは違うと思う・・とおっしゃいます。

オリジナルは、ピスタチオのソース
なのだそうですが、日本人にはちょっと
重たいので、無糖の生クリームを
ゆるく立てただけの軽いソースに、
フリュイ・ルージュのコンポートを添えて。

チョコレートの香りが強く、口から鼻に抜けます。
これは、チョコレートの種類のなせる業?
それとも、混ぜ方?

シェフがおっしゃるには、
ヴァローナのグランクリュのチョコレートを
2種類混ぜているので、そのためだろうと。

1つはマンジャリ。
酸味のあるチョコレート。ベリー類とよく合います。
もう1つは、グアナラということでした。

とても、しっとりした火入れ具合で、
かなり低温なのでは・・と伺うと、
65℃、殺菌可能なぎりぎりの温度が目安だそう。
本場のは、さらに低温で、おそらく48℃くらい
までしか熱していないと思う、と。

日本だと、湿気もあるし、卵はやっぱり
ちょっとこわいので、その温度にされたのだそう。

うーん、これも、本場のも、一度ぜひ、
いただいてみたい!

食べ終わってからも、お店は、私たちだけの
貸切状態になって、ハーブティーのお代わりも
いただいて、お話は尽きませんでした。

博多弁でお話されるシェフ。
ほっと和やかな気持ちになるのは、
それもあるのかも知れません。
私には、九州の方言は、祖父母や叔父叔母、
いとこ達とつながって、なんとなく、
聞いているだけであたたかい。

リストワールって、フランス語でヒストリー、
歴史と言う意味なんですって。

「料理を通して、これから出逢う皆様と、
素晴らしい人生という物語を創っていけたらと願います」
と、パンフレットにあるシェフのお言葉。

シェフ曰く、タイユヴァンは、ドレスアップして
出かける、特別なお店。
そういう、背筋を伸ばして食事をいただく機会も、
それは大事なこと。
でも、ご自分のお店は、気楽に、いつでも、
肩肘張らずに来てくれたら、と思っている、と。

おかげで、湯本シェフのお料理を、
お値段もリーズナブルに、気軽に
楽しむことができる。嬉しいことですね。

博多で、フランスの空気と、長野の空気とを、
一緒に感じることのできる、
不思議でステキなお店を教えていただきました。

また、お訪ねするのが楽しみです。
B食店情報
・店名 : 自然派フランス料理 リストワール(しぜんはふらんすりょうり りすとわーる)
・ジャンル : 欧風料理-フレンチ
・住所 : 福岡県福岡市中央区平尾2-21-21
・TEL : 092-526-8686
・営業時間 : ランチ:11時半?14時半、ディナー:18時?22時半(L.O.21時半)
・定休日 : 月曜日
・最寄り駅 : 西鉄・平尾駅
・キーワード : 「TALLEVENT」「Le Grand Vefour」などで経験を積んだ湯本シェフのフレンチ/出身地の長野県はじめ全国から調達する野菜や食材/「おいしくて体にやさしい料理」が信条
・友人・同僚
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親戚の結婚式で、九州に来ています。
今日は、博多でお世話になっている知人に会いました。

その方に、ぜひ連れていきたいお店がある、
と教えていただいたのが、こちらのお店。

・・ものすごく、波長の合うお店でした。
美味しいものを大事に味わってくれる
友人、知人達、みんなに教えたい。
私も、また、絶対に行きたいと思う、そんなお店。

なので、すべてにおいて菓子の記事が優先の
私にしては珍しく、レストランで前後編に分けて、
いただいたもの全部、ご紹介させていただきます。
いや、いただいた物を、というのもさることながら、
シェフから伺ったお話を、書き留めておきたい・・。

最初は、食前酒のカクテル。
でも、これはノンアルコール。
同行者の方が選んだオレンジ&ジンジャーエールのものと、
私が選んだ、フレッシュベリー&ジンジャーエールのもの、
2種類ありました。

グラスの絵柄が、ステキ。
エミール・ガレのデザインしたアネモネの柄が
描かれた、シャンパンのベル・エポックを
思い出しました。

湯本シェフは、長野県の新潟県境に近い地方に
生まれ、ご親戚のいらっしゃる博多で、
縁あってフレンチの料理人として修行を始められたそう。
でも、最初は、嫌で仕方がなかったと。

3ヶ月目に、シェフがフランスに行くため、
1週間お店をお休みすることになり、
これ幸いと、長野に帰って、もうこれで戻らない、と
思っていたら、「一緒にフランスに行け」
と連れていかれた。

フランス各地の有名なお店を食べ歩きに
連れ歩かれた中で、鮮烈な印象を受けた店。
それが「TALLEVENT タイユヴァン」。

その、鴨のローストをいただいた際、
ものすごいインパクトで、一体、このソースには
何が入っているんだろう?と思った、と。

運命の出会い、ですね。
それから、フランス料理に興味をもち、
料理の道を、本気で志すようになられたのだそうです。

そして、5年間、日本で修行をされた後、渡仏。
それから、タイユヴァンに何度も手紙を書いたそうです。

呼び出されてみれば、
「どこどこの二つ星で人が足りないからそこへ」
と、繰り返し、他の店への紹介を受けながら、
そのたびに、
「いや、私が働きたいのはあなたのお店ですから」
と、何度もねばって・・。

ようやく、「人手が足りなくなったから、明日から来い」
と言われ「明日からは無理。明後日からなら!」
と、厨房に入ることができたのだそう。

ご自身の人生を変えた、憧れのお店。
でも、実際にそこに入り、そして、仕事を続けるには、
ものすごい努力が必要でいらしたはず。

その後も、「Le Grand Vefour」で、ギー・マルタン氏に
師事するなど、まばゆいようなご経験を積んだ方。

それなのに、本当に気さくな方で、
カウンター席で、シェフの出身地である
長野県や、福岡の地元から届いた野菜のことを
話し始めたら、いつまでも尽きず・・。
ものすごく、魅力的な方でした。

お店に行って、シェフの手がすいていらしたら、
ぜひ、色々と質問してみてください。
どんなことでも、丁寧に、わかりやすく教えてくださる。
これは、イサキの軽いスモークに、にんじんのサラダ。
自家製ドライトマトのドレッシング添え。

・・・自家製?ドライトマトが?
と思わず耳に留めると、
「ここで作ってるんですよ」と、
ガス台上の棚スペースみたいな部分を
指して、笑うシェフ。

ちなみに、こちら、トマトは、知る人ぞ知る、
熊本・八代の「塩トマト」などをお使いだそう。

でも、トマトの旬って、冬なんだそうで、
1−2月ごろにはトマトのサラダを出したそうですが、
この後、6月ごろにまた、別の産地で出せないか、
ご検討中だとか。

え?夏じゃないの?と意外に思ってると、
夏は、トマト自体が大きく生育してしまって、
水っぽくなる。
冬は、トマト自体が少しずつしか大きくならないから、
旨み・甘みが凝縮するのだと。

過酷な環境で育てた方が、小さく甘くなる、
というのは、たしかによく言われることですね。

そうか・・トマトの旬は冬・・・
それはちょっと、目からウロコかも。

にんじんは、長野県の「スノーキャロット」という
ものだそう。こしょうをぴりっと効かせたサラダです。

シェフ曰く
「葉菜類は、凍らせてから火を入れると、甘みが増して美味しい。
根菜類は、火を入れてから凍らせて、それを解凍する。
そうすると、たとえばカブとか、ぐずぐずになるので、
それをソースとかに使うと、美味しいですよ。」と。

たとえば、こちらでは、白菜のブレゼなんかも、
あえて、凍らせてから火を入れるそうです。

ほうれん草とかも、寒締めとかあるものね。
葉自身が、凍りつかないように水分を少なくし、
糖分を溜め込むんですよね。
なんというかな。植物のもつ、生命力を
最大限に引き出すような。

雪の下で、寒さにじっと耐えた人参。
正確には、マイナス0.6℃とおっしゃっていたかな。
凍ってしまわないように糖分を蓄え、
自分の身を守り抜いたのだそう。

だから、甘いのはもちろん、えぐみや、
癖のある匂いなどがなく、とても食べやすい。
パンにバターを添えてくださって、
エシレと、そうでない物との食べ比べも、
させてくださいました。どちらも無塩です。

エシレは、ちゃんと、ポプラみたいな
薄い木箱に入っていて、5kgのものですって。
もっと、ポーションが少ないものもありますが、
乾燥しやすかったりで、ちゃんとしたものは、
やっぱり、このサイズのこの箱入りが一番いいと。

パリの、ランジス市場を見学させていただいた際、
チーズ&バターのエリアに、こんなのが
いっぱい並んでいて、感動したことを話すと、
ランジス、よく行きましたねー。
鮫とかいるんですよ、なんで鮫がいるんだ!と
思うんですけどね〜と、微笑むシェフ。

私は、魚の売り場には行かなかったけれど・・
ちなみに、シェフがフランスにいらしたのは、
昭和63年から8年間。長いなぁ・・。
オマール海老のサラダ。
最初に、お任せでお願いしたところ、
これをオススメいただいて、
「明日お休みで、昨日仕入れちゃったんで、
もう湯がいちゃってますからー。」
と、半ば冗談めかしておっしゃったシェフ。

・・・しかし、これ、半端なく美味しく、
おすすめいただいてよかった!と感謝。

サラダだよね?サラダ?
オマールが、これでサラダなんて・・いいの?!
というくらい、たっぷり贅沢に使ってあって、
すでにメインな気分。

でもね、このサラダ、オマールはもちろん
美味しいけれど、野菜の美味しさが、
ものすごく印象的。

ドレッシングは、酸味の効いた、
フヌイユ(ウイキョウ)とオレンジを、
ゼリー仕立てにしてあります。

ラディッシュも、大きくて幅広なさやえんどうも、
アスパラも、大根?も、その、しっかりした
シャキシャキの歯ごたえが、たまらない!

理不尽ながら、食べていくうちに、
だんだんと少なくなってくるのが、せつないような・・。

野菜を「メインだと考えたい」とおっしゃるシェフは、
その野菜を作った生産者の方のお名前を、
すべて、個々におっしゃいます。
「これは、○○さんの・・」と。

よく、生産者の顔が見える、ということが
言われますが、シェフのお話を通じて、
まだ、お会いしたこともない、その作り手の方の
お人柄が、なんだか、目に浮かぶようなのです。

「無農薬・有機栽培」にこだわっている
わけではないとおっしゃいます。
一番は、とにかく、食べて美味しいもの。

その結果として、実は、無農薬・有機栽培だった、
ということはあるそうですが、そこを、
ガチガチに考えていらっしゃらないところも、
肩肘を張らせない一つの理由かも。
これが、カウンター越しに見える、厨房のガス台付近、
たくさんの鍋が並んでいるのは、鉄板の上。

プラックとか、フランスの厨房では「ピアノ」と
言っていた、とおっしゃいます。
向こうのレストランの厨房では、どこもこうだった、と。

鉄板の下は、1口コンロのガス台だそう。
鉄板をかませることで、遠赤外線効果があり、
火の当たりが偏ることなく、均一に熱を
加える効果があるそうです。

さて、その2に続きます。
B食店情報
・店名 : 自然派フランス料理 リストワール(しぜんはふらんすりょうり りすとわーる)
・ジャンル : 欧風料理-フレンチ
・住所 : 福岡県福岡市中央区平尾2-21-21
・TEL : 092-526-8686
・営業時間 : ランチ:11時半?14時半、ディナー:18時?22時半(L.O.21時半)
・定休日 : 月曜日
・最寄り駅 : 西鉄・平尾駅
・キーワード : 「TALLEVENT」「Le Grand Vefour」などで経験を積んだ湯本シェフのフレンチ/出身地の長野県はじめ全国から調達する野菜や食材/「おいしくて体にやさしい料理」が信条
・友人・同僚
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2007年3月18日(日曜日)
   
久し振りに、ビストロ・プチ・リュタンに行ってきました。

今日は、並木麻輝子先生の、
ヨーロッパ各国料理の講座の実践編で、
人数に空きができたということで、飛び入り参加
させていただいたのです。

こちらは、ノリエットの永井シェフが
やっていらっしゃるビストロ。
実は、永井シェフ、もともとは料理人志望で
調理師学校に行かれたということ。
お菓子屋さんになりたい、と一度も思わないうちに、
いつの間にかお菓子屋さんになっていた、
なんておっしゃるのですが・・。

でも、このビストロがあるので、
お店で出すためのいいワインを仕入れたり、
パテやリエットといった、手間のかかる
トゥレトゥールを作って、パティスリーの方でも
出すことができたり。

きっと、永井シェフがやりたい、と
思っていらっしゃることを実現するために、
必要な場所だったのだろうなぁと。

前菜から、豪華絢爛!
ブルゴーニュ地方の料理、ジャンボン・ペルシェ。
ハムのパセリ入りゼリー寄せ、と言ったよいかしら。

昨年秋、パリのサロンドショコラにあわせて、
並木先生率いるツアーでご一緒した際、
このメニューも、ちゃんと現地で、食べることが
できました。

最初にいただいたのは、青山ルコントだったなぁ。
その奥に半分見えているソースは、
ゆで卵、ケッパー、ハーブなどの入った、
マヨネーズ味の「グリビッシュソース」。
タルタルソースのような味、です。

そして、帆立貝の燻製。
右は、バスク地方の郷土料理、ピペラド。
この地は、エスペレットと言われる唐辛子が有名。
でも、辛くはないんですよね。
ガーリックの香りをつけた、薄切りのカリカリパンの
上にのせて、いただきました。
これは、ノリエットでも出している、ルヴァン種のパン。

日本には、ルヴァンを名乗るには、何%以上使うとか、
イーストを何%以内しか使えないとか、そういう
規定が無いんだそう。

だから、ちょっとでもルヴァンを使っていれば、
あと、イーストをどれだけ足しても、ルヴァンとして
売ることができる。

でも、永井シェフは、100%ルヴァン種で、この
パンを焼いていらっしゃるそう。
だから、日によって、機嫌がよかったり悪かったり、
やっぱり、仕上がりに差があるそうです。

ノリエットでは、午後に並ぶんですよね。
毎朝、機嫌を見ながら、焼いていらっしゃるんだなぁ。

本来、パン屋さんの気温は、ルヴァンにとって
棲みやすい環境だけれど、お菓子屋さんは
寒すぎて、弱ってしまうのだとか。

だから、時々、知り合いのパン屋さんから、
元気なルヴァンを分けてもらって継いだり・・。

そんなふうにして、大変な手間隙をかけて、それでも
作るのをやめない永井シェフは、ご自身で
「自分は商売人じゃない」とおっしゃるとおり、
売れるからよりも、何よりも、好きだからやっている、
ということが、いつも伝わってきます。
クスクス!
もともとは、モロッコ、アルジェリア、チュニジアの、
北アフリカ・マグレブ三国の食べ物ですが、
フランスにはすっかり定着して、値段も安いので、
学生さんなんかには、ありがたいメニューなのだそう。

この、黄色い粒々は、セモリナ粉製で、
そう、パスタの一種なんですね。
本来、これがスムールと言われ、
これに汁をかけた料理が、クスクス。

好みで、アリッサといわれる、唐辛子ペーストを
加えていただきます。
途中から加えていただくのが、好き♪

パンダード・オ・シュー。
ホロホロ鳥とキャベツの煮込み。

ベーコンを入れて煮込むのがポイント。
キャベツとは、相性抜群ですね。
あちらでは、ちりめんキャベツとか、そんな感じなのでしょう。

多分、こちらでは、フランスからの食材を
お使いだと思いますが、調べてみると、
日本にも、飼育している農場があるようです。

デザートには、特製のブリオッシュのパンペルデュ。
永井シェフの皿盛りデセール・・これは貴重だ〜!

ブリオッシュはお店で出している物に比べて、
バター量が控えめで、そして、全部卵で
練っているんですって。

ふんわり仕上げるには、白身分の半分、とか、
一定量を牛乳に置き換えるそうですが、
単品で食べて美味しいブリオッシュを、
このパンペルデュに使うと、べしゃべしゃに
なってしまう。

ベリー類のソースは、センガセンガナの苺コンポートと、
グリオッティーヌ、アマレナの2種類のチェリー。
それに、タヒチ産のグラスヴァニーユ。

アマレナの個性的な香り、キルシュの強い
グリオッティーヌには、やっぱり、強い香りの、
タヒチ産が合うのかな。

お話は尽きず、フランス修業時代の面白い、
また、今だから笑えるエピソードも含めて、
あれこれ伺いつつ・・

根っからのフランス菓子職人、でいらっしゃる
永井シェフ、通称「生デコ」といわれる、
生クリームのデコレーションのショートケーキは、
年間、クリスマスに20台くらいやるだけ、と・・。
これまでの人生の中でも、300台くらいしかやってないよ、
なんておっしゃるのでした。

そんな永井シェフが、なんと、生クリームを
前面に出した新作ケーキを、まさに今日あたりから、
出されたばかり、と。

ある乳業メーカーさんで、ジャージー乳の
生クリームを開発される途中、ずっと付き合って
いらしたそうで、それを使ってみてほしいと頼まれて、
トライすることになったそうです。

せっかくの、濃厚なジャージー乳の生クリームの
風味を生かすには、やっぱり、それが前面に
出るものでないと・・と、生クリームを巻き込んだ
シンプルなロールケーキを出されたそう。

でも、ノリエットは、フランス菓子のお店!という
イメージが定着しているため、そういう珍しい物を出すと、
「お客さんが引いちゃうの」・・・ですって。

うーん、最初、そのフランス菓子が地元に
定着するまで、何年もかかったということで、
本来、喜ばしいことなんだけど・・複雑ですね。(^_^;)

でも、好きだった、フロマージュ入りのボンボンショコラは、
あまりにもマニアックだったため、現在、お休み中
とのこと。えぇぇ〜そうなのか・・・。

本当に、作りたいお菓子と、受け入れられるお菓子の
兼ね合いって、難しいですね・・。

永井シェフ、並木先生、楽しい時間を、ありがとうございました!

B食店情報
・店名 : BISTRO Le petit Lutin ビストロ ル・プチ・リュタン(びすとろ・ぷち・りゅたん)
・ジャンル : 欧風料理-フレンチ
・住所 : 東京都世田谷区世田谷4-7-3
・TEL : 03-3425-9009
・URL : http://www.noliette.jp/cgi-bin/nolietteHP/sitemaker.cgi?mode=page&page=page2&category=0
・営業時間 : 11:45?14:00(ラストオーダー)、18:00?20:30(ラストオーダー)
・定休日 : 水曜日
・最寄り駅 : 東急世田谷線・世田谷駅
・キーワード : ノリエット永井シェフによるフランス家庭料理のビストロ
・友人・同僚
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