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2011年9月28日(水曜日)
[ 09:41 ] [ 料理の基本 ]
   
先日いただいた、生ハムの塊。東京に戻ってくると、あの塊はどうなったの?という質問が多かった。みんな、食べたかったのね?

結構大きな塊を頂いた割に、あっという間の消費だったような気がします。実は、本人もそれほど食べてはいない(笑)。美味しいものはみんなで食べる。そう考えて、出来るだけ多くの人たちのもとにお裾分けいたしました。

例によって居酒屋日本海&その常連の皆さま。スローフード関連の皆さま、そして、なんと秋田プリマハムの社長様のもとへ。ハム屋に生ハム持って行くなんていい度胸だと思われますが、それだけ自信を持って勧められる出来栄えだったということです。

しっかりと塩味が効いていて、イタリアで食べる生ハムと比較しても決して劣るようなことはありません。そういう意味ではかなり本格的なものが、秋田の山の中の農家で作られていたことにびっくり。ここは完全にイタリアと思ってしまう(笑)。こういったところに秋田の食生活の豊かさを感じます。不便なことも多いけれども、心を豊かにするものはたくさんあります。

同じ農家の畑でとれたカステルフランコ。こちらは彩りが美しいのですが、少々苦味があります。このまま食べると、苦味が慣れない人には気になるところでしょうが、食べ始めると、この苦味が美味しいと言います。

このカステルフランコ、生ハムと一緒に頂きます。するとどうでしょう?苦味が無くなります。その理由は生ハムの「塩」でした。インターネットで調べてみると、「塩は苦味を快く感じさせる」そんな記事がありました。(和訳

塩化ナトリウムは苦味を抑制する効果がある。あらためて塩の効用に気付きました。

なにはともあれ、塩はみんなを笑顔にする効果もあるようです。
東ピエモンテの修さん、ありがとうございました。



2010年3月15日(月曜日)
[ 07:33 ] [ 料理の基本 ]
   
料理のキーワードで「さしすせそ」の順番で調味料を入れましょう。という表記をよく見かけます。これは、

さ=砂糖
し=塩
す=酢
せ=醤油
そ=味噌

の順とされています。特に、砂糖と塩を入れる順番を間違えると、しょっぱい味付けになってしまい、「修復不可能な味」になってしまうことがあります(笑)。これは、なぜでしょう?

その理由は「浸透圧」の関係からと言われることがありますが、

液体は、濃度の濃いものと薄いものの差があった時に、薄いものが濃いものを薄めようという力が働き、半透膜(小さな分子だけを透す膜・細胞膜など)を通って移動します。このときの圧力を測ったものが「浸透圧」です。

ここで疑問。

もし「浸透圧」の力で、塩とか砂糖の味が素材に入っていくと仮定したら、お鍋に調味液(砂糖と塩を溶かしたもの)と里芋を入れておいたら、液体(調味液)の方が濃度が濃いから、里芋の細胞膜を通って中に味が入っていくというのはおかしい。むしろ、里芋の中の水分が調味液を薄める働きをするので、絶対に味が入らないはずです。

だから、「浸透圧でうんぬん」というのは、おかしい!

加熱調理によって、鍋の中の里芋の細胞膜は、半透膜の性質を失います。この場合、浸透圧で味が入り込むのではなく、加熱によって、物質の分子(塩や砂糖)が動き回り、半透膜の性質を失った素材(柔らかくなった里芋)の中に侵入していく「拡散」という現象によって味がしみ込むのです。

「拡散」は、この場合「しみ込む力」と考えてもよいでしょう。この「しみ込む力」は、分子の大きさに関係します。塩はNaCl(分子量:約58)、砂糖はC12H22O11(分子量:約342)で大きさ的には6倍ほどの違いがあります。しかし、塩は水に溶けるとNa+とCl-のイオンに分かれるので、その大きさはさらに10倍以上の違いになります。分子量の大きいもの(ずうたいのでかいもの)はしみ込むのに時間がかかり、小さいものほど早くしみ込みます。
調理の段階で砂糖を先に入れると、大きな砂糖分子は余裕で入ります。その後に、塩をいれても、塩はイオン化して溶け込んで入るので、十分が入るスペースを確保できます。
しかし、

塩を先にいれた場合は、「拡散」が早く、中にびっしり入ってしまったら、もう砂糖が入るスペースがなくなります。これでは、一度塩を入れてしょっぱくしてしまったら、もう砂糖の出る幕はなくなるので、いくら頑張ってもしょっぱい里芋の煮っ転がしになってしまいます。醤油を先にいれた場合も、醤油の塩分(NaCl)の拡散のスピードが速いので、同じことが起きます。

あらかじめ決められた台数のトラックと乗用車があります。これを駐車場に入れていくとしたら、まずトラックを入れてから、空いているスペースに乗用車を入れて効率よく駐車場を使うという考え方に似ています。

素材に味をバランスよく入れていくためには、分子量の大きいものから入れていく。これが鉄則ですね。

ああ!料理は科学だ!(笑)
2006年9月17日(日曜日)
[ 22:00 ] [ 料理の基本 ]
   
グリッシーニってご存知ですか?イタリア料理を食べにいくと、時々「太いプリッツみたいなの」を出してくれるお店がありますよね。籠などに入ってでてくるアレです。グリッシーニ(Grissini)は、クラッカーのような食感のスティック状の細長いパンの仲間で、イタリアのピエモンテ州トリノで生まれたそうです。

今月の吉沼先生の教室では、このグリッシーニを作りました。

ボウルに薄力粉と塩をまぜ、さらにドライイースト、オリーブオイルを加えて、そこに水を少しずつ垂らしながら生地をこねていきます。弾力が出て生地がひとつにまとまるまでしっかりこねます。
生地をのばしてオリーブオイルを塗り、さらにセモリナ粉をたっぷり。
その後、ラップして発酵させます。
発酵が完了した生地を適当な大きさに切り、両端をもって、ビローーーンと延ばしていきます。

これをオーブンで焼いて出来上がり。セモリナ粉の風味が良く、お店などで食べるものより、断然美味しいです。

詳しくは、吉沼先生のホームページで紹介しています。


【人夢のblog Ranking 今どこにいるか?】 笑






2006年9月2日(土曜日)
[ 06:16 ] [ 料理の基本 ]
   
盆正月に秋田の田舎に帰ると、外から仕出し料理を頼んで、ご馳走しようとする父。もったいないからやめてけろーー!っていつも頼み込む。だって味のレベルが、、、、それにお金を払うのも、、、だし。めったに、一緒に食事をしないから、こんなときこそ、地味でもいいから、自分たちで作って納得して食べるほうが、よっぽど楽しいし、幸せ感を感じるものだ。お金を払って食卓にどどーーんと並べることばかりが、「もてなし」でははいと思うが。

そういうわけで、いつも何か料理を作ることにしている。今回は朝ごはんに、母と一緒にきんぴらとごぼうの味噌汁をつくることにした。幼いころに母から料理のことを聞いた記憶がない。いつもばあちゃんに教わっていたことを思い出す。

この日も、母のほうが早起きしてごぼうを洗っていた。野崎さんのところでいただいてきたごぼうだ。なんだが時間がかかっているなと思い、シンクを覗き込むと、母は包丁でごぼうが真っ白になるまで削っているのだ。「おいおい!何してるんだ!そんたごどしたら、ごぼうの香りがなぐなってしまうべ!」ひとむは思わず怒ってしまった。無農薬なんだから、土をさっと洗い流すだけでよいのに。
そこで、母はひとむにバトンタッチ。ごぼうは笹がきより、斜め細切りの方が美味しい。笹がきだと、皮の部分と芯の部分とのばらつきができるが、斜め細切りだと、すべて皮も芯の部分も入るので、美味しくいただける。

醤油、味醂、酒、砂糖、鷹の爪できんぴらゴボウをつくる。作っている間に、母はごぼうの味噌汁を作る。ごぼうが柔らかくなってきたので、母は味噌を入れようとした。。「おいおい!何してるんだ!そんたごどしたら、味噌の香りがなぐなってしまうべ!」ひとむは再び怒ってしまった。母はボコボコ沸騰している鍋に味噌を入れてかき混ぜているのだ。あああーーーー、味噌の風味が。折角無農薬大豆の手作り味噌なのに。

料理を不味くする「技」を持った人が料理すると、無農薬で作った野菜も「豚に真珠」になってしまう。作った人の気持や努力を考えたら、できるだけ美味しい状態で食べるのが「礼儀」というもの。野崎さん、ごめんなさい。料理を作るとき「味見」はするが、「香り見」はしない。どんな火加減、どんなタイミングでだすか、香りは料理を作るときには重要な情報である。

2006年5月12日(金曜日)
[ 21:32 ] [ 料理の基本 ]
   
イタリア・トスカーナ州ルッカにある「ルッカ・イタリア料理学院」
主宰・学院長のジャンルーカ・パルディーニ氏

ひとむたちは、ここへお邪魔して料理講習を受けた。
ジャンルーカ先生はとても気さくで面白い人。
彼は、一度「料理モード」にはいった瞬間顔つきが変わる。
真剣そのもので、非常に芯の強さを感じさせる料理に対する哲学がある。こだわりを持っている。人を楽しませる料理、人を幸せにする料理について、いつも真剣に考えているようだ。イタリア料理の普及のために、いろいろな国に行って講習を行っている。また、彼の学院では、多くの外国人の料理人の卵を受け入れて育てている。

今年の7月には来日して宮崎県でイベントを行うらしい。
詳しい情報が入り次第、ブログ記事を書こうと思う。
どんな感じで講習が行われたのかは、
ひとむの【写真とレポート】を見てほしい。<コチラ>

ファインダー越しにいろいろ写真を撮っていて気がついたのだが、ジャンルーカ先生のパンツ、お魚がいっぱい泳いでいる。上半身は真剣そのもので動作しているのだが、このパンツはちゃめっけたっぷり。イタリア人気質とでもいうのでしょうか?真面目なモードから一転してジョークを飛ばすこともあります。とても、人間味あふれる「おじさん」でした。

また、日本に来たら会いたいな。
2006年1月8日(日曜日)
[ 00:04 ] [ 料理の基本 ]
   
ひとむの母は、正直料理が上手ではない、いや、なかった。というのが正しいか?ばあちゃん直伝の料理はいくつか美味しいものがあったが、幼いころの母の料理には、あまり感激したりすることもなかった。

ところが、ここ何年か料理がメキメキと上達している。ひとむが料理の世界に足を踏み入れてから、いろいろ料理のアドバイスをするようになったこととか、地元の食材について質問するようになったことで、母もけっこう勉強するようになったみたいだ。いろいろノートに書き溜めて研究している痕跡がある。実家に帰ると、必ず新しい料理が出現する。

秋田で食べた朝食を紹介します。定番の「塩鮭の切り身」を焼いたもの。秋田では、「ぼたっこ」といいます。別に料理という代物ではないのですが、田舎に帰るとなぜか食べたくなります。薄く切ったりしないで、ぼってりと大きめに切って焼くのが特徴のような気がします。東京に帰る日の朝に、これで母がおにぎりをつくってくれました。このおにぎりは「おふくろの味」そのものですね。
「キンピラ風炒め物」です。
厳密にはキンピラではないようです。
細切りゴボウ、ニンジンを炒め、干し海老と煎り胡麻をトッピングします。味付けは白醤油で基本の味。仕上げに濃口醤油少々で香りだしという「技」を見せてくれました。
「かあちゃん、やるじゃねーけ!」
少し得意そうに微笑む母の顔がシワシワ。

「燻りがっこの松前風」
「燻りがっこ」とは、「スモークしたたくあん」で秋田県の名産品です。
もちろん、このたくあんは市販のものですが、それを刻んで薄塩に漬け込んで塩抜きします。これは「呼び塩」というテクニックで、塩分濃度の差による浸透圧を利用して、塩分を抜きます。そして、お湯に漬け込んでから洗うそうです。こうしたほうが日持ちするとか。「いつの間に覚えたんだ?こんただごど」って感心しました。
たくあんの水気を絞って、昆布、醤油、味醂、酒を混ぜた液体に付け込みます。ぬるぬるシャキシャキでとっても美味しいです。
「なめこの味噌汁」
しっかりと出汁を取って作った味噌汁。
味噌も上品な味。そして、なめこは臭みを抜くために下茹でしてあります。手間がかかっています。それが愛情なのですね。思わずおかわりしてしまいました。
ほんと、母は料理が上手になりました。
子供ながら、とてもうれしいです。

まどの外は、こんな感じで雪がボタボタと落ちてきます。
寒い冬の最中の、暖か料理を食べて思いました。
田舎っていいなあ。

2005年7月19日(火曜日)
[ 00:02 ] [ 料理の基本 ]
   
たかかがサラダ、されどサラダ

レストランでは、最もベーシックな料理。レタスが入っているサラダ。実は、この基本的な料理に重大なレストランの実力が隠されていると、私は考えています。

それは、レタスの切り方なのであります。
非常に大きなレタスが皿にのっていた経験がありませんか?食べにくいですよね。とくに女性の方は困りますよね。食べるために大口開けるのもなんだかなあーーー。と思ってしまいます。
器用な人は、フォークにクルクル巻いて食べる人もいますが、パスタじゃないんだから、なんとかならないの?

食べる人の苦労とか気持ちとかを考えれば、面倒でも一口サイズに切ってあげるのが親切というものです。つまり、レタスのサラダは、作り手の「思いやり」が、そのまま出てしまう料理なのです。

気のきいた人、きちんと教育を受けた人は、その辺を心得ていて、しっかりと、一口サイズに切ってくれます。

誰が、このサラダを作っているのだろうか?大方のレストランの場合、経験の浅い人や、アルバイトの人が作っている場合が多いのではないでしょうか?

先輩:「おい、お前、レタス切っておけ!」
後輩:「はい、先輩、でも、どんな感じに切りますか?」
先輩:「そんなの簡単ジャン!適当に切っておけばいんだよ!馬鹿でもできるだろう?」
後輩:「はい先輩」

ココが、大きな「落とし穴」なのです。
「お客様が食べやすいように」という支持はありません。

つまり、先輩もきちんとした教育を受けていないですね。この場合。

非常に簡単なことなのですが、そのレストランの教育体制を垣間見ることができます。

もし、細やかな教育ができていなくても、「食べる人の気持ちを考えろ!」ということを教えられて鍛えられた「料理人のタマゴ」たちは、その意味をきちんと把握しています。ですから、口に入らない大きさのレタスなんか、絶対に出しません。

本当に基本的なことですが、上から下まで、きちんと、このことを理解しているレストランこそ、真の実力のあるレストランではないでしょうか?