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2010年3月28日(日曜日)
   
明日3月28日は、毎年恒例、今回が5回目の
「ポワソン・ダブリルと桜の集い」の開催日。

今日は、一足早く、そんなポワソン&桜の前夜祭を、
鷺沼ビゴの店にてお祝い!

青葉台の東急BEで開講した「桜のスイーツ」講座から、
急いでビゴに直行したら、鷺沼駅前の桜も、
ビゴの店の前の桜並木も、もう3−4分咲きといった感じ。
来週末頃が満開かしら・・。

じゃん。巨大な「パティシエ・シマ」の箱を抱えて
到着されたのは、「ワンダフルハウス」さんご一行。
その中身は・・・

オートクチュールの特製「ポワソン・ダブリル」!
ちっちゃなブーシュのおまけつき。
なんと美しい側面の層!のヴォローヴァン。
島田シェフのガレット・デ・ロワの側面も、このように
実に均一に平らかに見事な層をなしているのです。

これは、1982年2月号『GATEAUX』誌、
「フーユタージュ」特集に掲載された
アンドレ・ルコント氏のセイボリー製品に
主題を得て、島田シェフに再現していただいたもの。

ルコント氏のオリジナルは、
「Feuillete des mers du Japon」という作品名で、
魚の形のフィユタージュに、ムール貝、帆立貝、
海老、イカ、牡蠣、蟹、平目のクネル、
フィレ・ソール(舌平目のフィレ)を詰め込み、
ソース・ノワイーをかけていただく超・豪華料理でした。
ブラッスリー・ルコントで復刻してほしい・・・・!!!

当初は、桜の花びらを入れたガナッシュ・ブランを
詰めていただくという案もあったのですが、
結局、このような形に。

苺とブルーベリー、フランボワーズをちりばめ、
クリームはディプロマット?グリーンのゼストのような
粒々が見えたので、それほど香りは
強くなかったのですが、ライムだったのでしょうか・・。

フィユタージュの上にクリーム、ジェノワーズ、フルーツ
という順でした。果物の水分を吸わせるためでしょう。
入刀式。
ナイフにちゃーんとトリコロールリボンも
巻いているのが、ビゴ流、藤森流です。
傍らには藤森シェフの腹心?の「コバちゃん」の姿。

今春の、両店舗のお祝いをいちどきに。
キューピッド役のワンダフルハウスさん、
素敵な企画にご一緒させていただき、
ありがとうございます。お疲れさまでした!
藤森シェフからは、「桜のクロワッサン」を
味見させていただき。

クロワッサンを半分に切って、中に薄めに塗ってあるのは、
ローマジパンに桜リキュールとミンチ、葉のミンチを
混ぜた感じのペースト。
表面は淡い桜色で、サックリ焼きあがった、
桜ダマンド風の上掛け。

ビゴには今、他にも、桜マカロンや桜サブレ、
桜マドレーヌ、桜パウンドケークに桜フランスパンなどが
続々登場。
桜はやっぱり、葉っぱの香りが清々しいですね。
こちらは、一週間前に「ラトリエ・シマ」にて
対面させていただいた、
「桜のガレットデロワ アメデオ・モディリアーニ風」。
二週連続のお祝い企画です。

この時は、大森由紀子先生や、並木麻輝子先生も
続々と駆けつけられて、島田シェフの息子さんで、
フランスから帰国後、パティシエ・シマでご活躍中の
島田徹さんにも色々とお話をお伺いしたり、
賑やかで楽しい日となりました。

左のクープは、画家モジリアーニの作品、
「大きな帽子をかぶったジャンヌ・エビュテルヌ」が
モチーフ。
帽子や髪の毛の色が濃い目に表現されているのは、
ココアを溶いて塗っているのだそうです。

右のクープは、まさに「桜」!
金粉が吹き付けられていて、まさに
祝賀ムード満載!

どちらも中身は桜風味のクレーム・ダマンドです。
でも、桜の味や香りは、ほのかな仕上がり。
より桜らしい味わいにするならば、
クレームダマンドに桜の葉っぱのミンチなどを
入れればよいのかも知れませんが、
クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワの会長でいらっしゃる
島田シェフとしては、ガレット・デ・ロワである以上、
あまり大きく伝統的なスタイルを変えることは、
よしとされないのでしょうね。

それにしても、この緻密なクープがすごい・・
さすが、かつて画家志望で渡仏を目指された
という島田シェフならではの見事さです。

さて、明日はどのような「ポワソン・ダブリル」が
登場するのか、楽しみにしています!
2010年2月12日(金曜日)
   
2010年は、色々なマカロン形チョコレートを
食べ比べてみました。
詳しくはこちら

こちらもその1つ。
イヴ・チュリエス氏のマカロン・ショコラ。

イヴ・チュリエス氏は、1938年、
南仏タルヌ県のコルド村生まれ。
1976年、パティシエ&トレトゥールと、
コンフィズール&グラシエ2部門の
M.O.F.(フランス最優秀職人章)を獲得という、
菓子業界初の偉業を達成した方。

「我々にとっては神様みたいな人」とおっしゃった
藤森シェフも、永井シェフも、以前に日本で
開催された講習会で助手を務められて、
それは高揚されていたのが心に残っています。

イヴ・チュリエス氏の詳しいご経歴などは、
雑誌『チュリエス・ガストロノミー・ジャポン』のサイトを。

ということで、日本橋三越のバレンタイン催事で
開催されたトークショー、見逃せない!と
行ってきました。

おや??通訳を務められているのは、
ビゴ東京、藤森二郎シェフのお嬢さんではないですか!
フランス留学から帰国後、鎌倉で「ごぶっけん」
というカフェをオープンされています。
お若いのにしっかり者でとてもキュート。
藤森シェフのブログをご参照のこと。
もうちょっと温かくなったら、鎌倉に
遊びに行きますねー。
イヴ・チュリエス氏のマカロンショコラ。
ノワール、ラテ、ブラン、
ブランムッシュ、ノワールムッシュの5種類。

ちょっとぷっくりとふくれた形の、つるんとした
マカロン・リス。
これは、生地部分がムラージュして蓋をした
型抜きショコラタイプで、
ノワールにはガナッシュノワール、
ラテにはプラリネ、ブランにはガナッシュブラン入り。

ブランムッシュとノワールムッシュは、
ガナッシュというより、キャラメルっぽかったので、
チュリエス氏にこれは何ですかと断面を見せて
お伺いしたら、生クリームの代わりにキャラメルを
入れたガナッシュということでした。

拙著『アフター6のスイーツマニア』にも、
チュリエス氏のことを書かせていただいたため、
レ・グラン・ショコラティエの出店していた
心斎橋そごうは百貨店自体が無くなったけれど、
チュリエス氏への敬意の念は変わらないからと、
図々しくもお渡ししたら喜んでくださり、
いつかコルドにいらっしゃいとおっしゃってくださった・・(泣)。
雲の中の、天空のコルド城。行きたいなぁ・・。
ここのチョコレートは、いつもパッケージが個性的!
マカロンショコラは、大きなマカロン形の
缶入りもありました。かなりの迫力・・。

辞典形のものは、チュリエス氏が刊行した
フランス料理のバイブルといわれる料理百科
『Une Encyclopedie Culinaire 』(第1巻 1977年刊)
(日本語版・白水社刊)
へのオマージュ。

料理百科を模した箱入りの「チュリエス辞典」、
日本橋三越以外にも、そごう西武などで販売中。
4個入りミニサイズは手頃でかわいい。
そして、トークショー時にその場で仕上げて
配ってくださったマカロン。

「マカロン・トラディショネル」と言って、
今はもうほとんど作られていない・・と。
ややっこれは!
食べてみると、生地がかなりねっちり。

後でマドモワゼル藤森を通じて確認したところ、
これは、かつてアンドレ・ルコント氏が
日本に来て少しだけ出したことがあるけれど、
今は作られていないマカロンを再現したもの、と。

あぁ、そうなのです。
昨年、ある方のご好意で、パティシエ・シマの
島田進シェフに、その初代ルコントマカロンを
復刻していだく企画にお声がけいただき、
味見させていただく機会がありました。

その方、ワンダフルハウスさんのサイトはこちら
これまでにも、貴重なオリジナルクチュール菓子を
島田シェフに色々と作っていただいていて、
その内容は非常に興味深いものです。

その時にいただいたマカロンの色や食感と同じ!なのです。
いや、再現したとおっしゃっているのだから、
当然と言えばそうなのですが、まさかこんなところで
再会できるなんて・・と感無量。

チュリエス氏は今回、このマカロン生地に、
クレーム・オ・ブールをその場で絞って
挟んだものを出してくださって、
個人的には非常に好みでした。

フランス語に不自由せず、時間ももっとあったら、
チュリエス氏に、このマカロンのルセットは、
何を参照されたのかとか、色々と
お伺いしてみたかったのですが・・
それもいつかまたリベンジですね。
写真が、パティシエ・シマで復刻された
ルコント初代マカロン。
オートクチュールなので、通常販売はされていません。

色粉などは使わず、焼き色のままのベージュで、
生地に、りんごを果実から煮詰めて作った
ジャムを入れるのが特徴。
普通のマカロンより、かなり手間がかかるそうです。
間にはクリームを挟まず。
杏ジャムを挟んでくっつけることもあるとのこと。

日本で初めて作られて販売された、
本格的なマカロンとなるのでしょう。
そのあたりの詳細経緯は、ワンダフルハウスさんの記事
をご参照ください。

生地にジャムを入れるというと、私は、
あんずジャムを入れるマカロン・ダミアンを
すぐに連想したのですが、それとも違い、
全体には、今、我々が最もよく出会う
マカロン・パリジャンとかなり近い印でした。
生地にもピエが出ていて、見た目も
マカロン・パリジャンっぽいですね。

ただ、もう少ししっとり、ねっちりしています。
噛み締めると、甘みとアーモンドの旨みが
ぎゅっと滲み出てくるような食感。
少し、サンテミリオンのマカロンに近いかも。

藤森シェフや大森由紀子先生はじめ、
関西ではユキちゃん経由で西原金蔵シェフなど、
クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ理事の方々の
お手元にも渡り、ちょっとした話題になっていたのです。

ワンダフルハウスさんは、今年の1月にも、
島田シェフに特製のガレット・デ・ロワを
オーダーされ、そちらも賞味させていただきました。

それは、ジャン・コクトー美術館の入口に
飾ってあるコクトーの自画像をクープに彫った
ガレット・デ・ロワ、というものでした。

1台はバラ風味。
これは、コクトーの同性愛を象徴するもの。
もう1台は美術館のあるマントンの名産であるシトロン風味。

もともと、画家を志してフランスを目指したという島田シェフ。
絵心に富んでいらっしゃるのも納得です。

並木麻輝子先生と共にお店をお訪ねして、
コクトー自画像のデザイン画を自筆で
起こされたものも見せていただいたり、
色々と貴重なお話をお伺いすることができたのです。

このあたりのお話も、またいずれ改めて、
レポートしたいと思っています。
2010年1月31日(日曜日)
   
1月30日(土)、日経新聞・土曜版『日経PLUS1(プラスワン)』
「なんでもランキング」で、
「大切な人と食べたいチョコレートケーキ」が
テーマとなり、選者としてコメントさせていただきました。

10名の専門家が選んだ総合ランキングは以下のとおり。
1 ジャン=ポール・エヴァン「グアヤキル」
2 ダロワイヨ「オペラ」
3 デメル「ザッハトルテ」
4 オッジ「ショコラ デ ショコラ」
5 トップス「チョコレートケーキ」
6 ベルアメール「ショコラノワール」
7 ヴィタメール「ザッハトルテ」
8 デメル「アンナトルテ」
9 グラマシーニューヨーク「アフロ」
10 シーキューブ「フェリチタ チョッコラータ」

タイムリーに、伊勢丹で開催中の
サロン・デュ・ショコラのセミナーで、
ダロワイヨの回「ガトーオペラの世界」に参加し、
興味深いお話を伺ったところでした。

今回の伊勢丹サロン・デュ・ショコラのテーマは、
昨年10月に開催されたパリのサロン・デュ・ショコラと同じ、
「オペラ」。その初回セミナーにふさわしい内容でしたね。

第8回サロン・デュ・ショコラ前夜祭レポート@伊勢丹新宿店
も公開しています。

これは、前夜祭のセレモニーでパティシエ・ショコラティエ達が
カットした巨大オペラ。
ダロワイヨの歴史は古く、17世紀末のヴェルサイユ宮殿で、
ルイ14世のおかかえパン職人として仕えていた
シャルル・ダロワイヨ氏以来、フランス王家代々の
食膳係をつとめます。
その継承者であるジャン=バティスト・ダロワイヨ氏が
1802年に創業。

オペラは、その歴史の中で、1955年に生まれたお菓子です。
現在のシェフ、ジャン=リュック・マティジャジック氏が、
お話をしてくださいました。

ラルース料理辞典の定義では、3枚のビスキュイジョコンドに
はさまれ、コーヒーのクレームオブール、チョコレートのクリーム、
表面にグラッサージュ・ショコラ。
考案したのは、当時のシェフだった
Cyriaque Gavillon シリアック・ガビヨン氏。
この方は、父はロンドンのホテル・リッツで指揮を取っていた
というパティシエ家系生まれ。
現在のダロワイヨの社長さんは、この方の孫娘さんだそうです。

オペラの特徴は、一口でケーキ全体の風味が分かること。
彼の妻、アンドレー・ガビヨンが名前をつけたそうですが、
マティジャック氏がおっしゃるには、平らな形が
オペラ座の舞台を思わせたことから、と。
でも、そのあたりも諸説あるようです。

年間70万台(そのうちフランスは10万台)が
売れるという、看板商品だそう。
ビスキュイ・ジョコンドのアーモンドはスペイン産。
コーヒーシロップにお酒は使っていません。
当時のデコラティブなガトーに対して、シックで
上に何ものっていないようなデザインは革新的でした。
粉を使わないビスキュイ・ジョコンドも新しかった。

それでもさらに、時代を経て変化してきています。
まず1970年代に糖分をぐっと抑えたということ。
市場ニーズに応えたということですね。

1970年代といえば、ヌーヴェル・パティスリーの
流行に当たりますものね。
より軽く、より甘さを控えた菓子が支持されていったのですね。

たとえば、オペラには使われていませんが、
1970年代のダロワイヨでは、クレームシャンティーの
配合に生クリーム1Lに対して160gの砂糖を
加えていたものが、現在は砂糖40gに減らしているとか。

また、昔はカカオ分55%のチョコレートを使っていた
そうですが、現在はベネズエラ産70%を
使っており、コーヒーもイタリアンローストの
香りの高いものに変えた、とのこと。

考案当初のものは、細いコルネで「Opera」と
線描きしていましたが、デコレーションも、
より現代的にシンプルになっていきました。
1972年、1980年、1998年と順を追って紹介する写真。
今は、コルネ絞りの装飾が無くなり、四角い金箔を
のせただけの、かなりモダンでシンプルなデザインに。
2005年の50周年に登場したのが、
ピンク色のグラッサージュが斬新な「オペラ・ロック」。
フランボワーズピューレのシロップでアンビベし、
クレーム・オ・ブール・キャラメルをサンド。

いただきましたねー。
幸せのケーキ共和国で開催した食べ比べ「オペラの会」で、
定番のオペラとともに・・。

ちなみに、日本にダロワイヨが出店したのは1982年。
2007年には、上陸25年を記念して銀座店の改装もあり、
写真のように、銀座の街並みをイメージした
スペシャルデコレーションのオペラも登場したそうです。

2010年の今年は、オペラ誕生55周年。
それを記念して、「白いオペラ」こと、
オペラ・ヴァンディスが誕生しました。
ヴァンディスは「20・10」のフランス語読み。

ビスキュイジョコンドの間に、キャラメル風味のシロップを打ち、
ジャンドゥージャで香り付けしたバタークリームと、
ノーマルなガナッシュをサンド。
上にはショコラブランのグラッサージュ。

やさしい甘さのオペラです。
マティジャジック氏いわく、今の30代は
「ミルキーウェイ」の世代だそうで、子供の頃から
ボンボンのような甘いケーキを食べ慣れているので、
甘いものを好む傾向がある。その味覚に合わせたのだとか。

オペラ・ロックも、現在は通常販売していないのですが、
このサロン・デュ・ショコラ会場では、定番、ヴァンディスと
あわせて、3色のオペラを揃えて販売しています。
気になっていたことをいくつか質問できました。

オペラではないですが、ダロワイヨのマカロンの作り方も
時代とともに変化したのか?
たとえば、フレンチメレンゲからイタメレへとか。
それについては、曰く、イタメレの方が形が綺麗に出やすく
比較的簡単だけれど、固くなりやすいので、
ダロワイヨでは昔からフレンチメレンゲで作っている、とのこと。

そして、オペラの金箔について。
これは、オペラ座の屋根の上のアポロン像が持つ
金の竪琴をイメージしている、と聞いたことがあるのですが、
それは本当ですか?と。

昔、楽天のダロワイヨのHPにそう説明があって、
そうなんだーと思いつつ、どうも諸説あるようなので、
伺ってみたかったのです。

マティジャジック氏がおっしゃるには、
自分はその話は初めて聞いた。
自分は、オペラ座の柱の中に、金の正方形が
埋め込まれたものがいくつかあり、それを意味していると
考えている、とのこと。

あ、なるほど、と思ったのです。
その話を、フランスのダロワイヨでも働いたことがある
テオブロマの土屋シェフにしたところ、
「別のシェフに聞いたら、きっと別のことを言うと思うよ。」と。

そうですね。
たとえば、パスカル・ニオーさんにもお話を伺ってみたい。
それぞれにとって、それぞれのオペラの由来があるのですね。

事実と史実、ということがあります。
歴史には、絶対的な事実、というのが多分あるのですが、
それは見る人によって違った見え方をするため、
1つに絞ることができないのです。
史実、というのは、史料に基づいてある見地から
見られた事実です。

私が大学時代、史学専攻に進むに大きく影響を受けた
高校時代の恩師は、卒業時に色紙を持ってきなさいと
告げ、言われるままに買って持っていくと、
「鉄の靴を履き、炎の翼を広げよ」と書いて渡してくださった。
歴史家は、重く渦巻く史料の泥沼に足を踏ん張りつつ、
ひたすら地道にそこに埋もれながら、
同時に高く天に向かうための翼を持ち続けよ、と。

歴史を学ぶ人間は、史料から言えること以上のことを
憶測や主観を交えて言うことができません。
仮説を検証する証拠が必要なのです。
それは科学です。

そういうことが胸によみがえったのでした。

そしてもう1つ。
マティジャジック氏は、オペラはフランスの製菓学校でも
教えられる伝統のある古典菓子になっている、と
おっしゃいました。
古典はクラッシック。伝統はトラディショナル。
微妙なニュアンスのわかる語学能力が必要・・。

1955年に誕生したオペラというのは、
比較的新しい菓子と考えることもできると思う。
オペラは果たして、伝統菓子、古典菓子と
言えるのでしょうか?と。

マティジャジック氏曰く、たしかに、オペラは
比較的モダンな菓子だと。
けれど、それが広く受け入れられて、だんだんと
歴史を重ねていっているのは、オペラが今、伝統菓子、
古典菓子になっていっているということだと思います、と。

土屋シェフにそのお話もしたところ、
「これが古典でこれが伝統菓子とか、カテゴリーを作って
無理に分けようとするから、難しいことになるんだよ」
と。確かに、それはおっしゃるとおりかも・・・。

古典菓子と伝統菓子という言葉もきちんと
使い分けないと、ということを、河田シェフなどは
おっしゃって、そのことがよく気になるのですが、
それは、枠に当てはめて分類せよということとは違って、
その歴史的背景をきちんと知る、という
意味なのかなと思います。

「オペラ」という名称を独占しなかったおかげで、
このお菓子が他店や海外にも広まっていったのは、
ダロワイヨの功績かも知れない。
先日レストラン「ランベリー」でいただいた、
オペラの現代版再構築アレンジの
アシェット・デセールも素敵だった。
もっとも、昔は今ほど、商標登録とかの権利意識が
薄かったのかも知れないけれど・・。

そんな様々のことに思いをめぐらせたセミナーでした。

がしかしその後ほどなく、ある店で、パリのオペラ座近くの
ホテルで300年以上前に作られていたという「オペラ」の
ルセットを継承したオペラ、というガトーに出会う機会があり。

300年前って・・・?!
しかもその構成が、ビスキュイジョコンド3枚、
クレーム・オ・ブール・カフェ、ガナッシュに
表面グラッサージュと、ダロワイヨのオペラと
基本変わらないのです。

ただ、名物にはありがちな話です。
そして、実際のところ、元祖と言われるものは
結構同時期に多発していたりして、本当のところを
証拠立てて調べるのは、かなり難しいことが多い。
ザッハトルテにも、ホテル・ザッハーとデメルとの
「甘い7年戦争」と言われる元祖争いのエピソードが
ありますね。

今、そのホテルはもうパリに無いそうですが、
そのオペラを継承したお菓子屋さんというのは現存し、
日本人のパティシエにも、何人かそこで修行された方が
いらっしゃることがわかっています。
・・・ヒアリングして回るか。と思う今日この頃。
オペラの旅は続きます。
2008年3月17日(月曜日)
   
ペニンシュラ東京の地下ブテイックは、
よく、待ち合わせなどで利用させていただきます。
地下鉄日比谷駅から直結で、外に出なくてすむのが便利です♪
今日は、ランチをいただきつつ、雑誌の特集の打ち合わせでした。

帰りがけ、いつものように、厨房側に回ってみて
あっと驚きました。

卵!
カラフルな卵達が、窓際に整列してる!

そうか、パック(復活祭)のイースターエッグですね。
チョコレートで作られた、色とりどりの卵や
ウサギのモチーフ。

日本では、パックはあまり一般的ではないし、
こんなに華やかに飾られるところは、
なかなかないですね。
思いつくのは、ルコントとか、16区とかかなぁ。

それにしても、この厨房は、とても斬新!
通路をはさむように左右に分かれた部屋が、
どちらもガラス張りになっていて、中で
働いていらっしゃる方々のご様子が、
拝見できるのです。
チョコレート室も別にあります。

本来、作る工程というのは、それ自体を
見せるためのものではないですし、
スタッフの方は、あまり覗き込まれると、
ちょっと気が散ってしまうかも知れないけれど・・、

これまで、ホテルの厨房というのは、
個店のパティスリーと異なり、まず普通に
拝見できる機会がなかったところ、
この試みは、すごいなと思いました。

あんまりかわいらしいので、ちょうど
厨房から出てきてくださった野島茂シェフに、
写真を撮ってご紹介していいですかと
お伺いしたところ、快くOKしてくださいました。

隣で、野島シェフが、
「彼ら、笑わせましょうか?」
と、スタッフの方たちにサインを送ってくださってます。
・・・・お茶目でいらっしゃいます。(^_^)
チョコレートの卵やウサギ達もキュートなのですが、
ショップのショーケースの上においてある、
大きな飴細工の卵が、これまたすごい!

バラの花などで華やかに装飾された様は、
ロマノフ朝のロシア皇帝が愛でたという、
「インペリアルイースターエッグ」を思わせます。

なんと、こちらは、販売されているものだそうです!
パックにあわせて数台作られたということで、
裏を返すと、中にお菓子が詰まっていました。

春のパーティに、こんなイースターエッグを
センターピースとして飾ったら、とても素敵。
楽しいサプライズですね!

厨房窓の卵チョコレートも、今年のパックは
3月23日なので、それまでは飾っていらっしゃるそうです。
これはぜひとも、皆さんに見てほしいなぁ。
ちなみに、本日いただいたのは、
有機野菜たっぷりのキッシュ&本日のケーキセット。

丸型ホールの浅めキッシュ。
きのこやブロッコリー、ドライトマトなど、
本当に、野菜がゴロゴロと贅沢に!
野菜のピクルスも添えられて、
ヘルシーな気分でいただけます。

それに、ミントのハーブティーを。
花粉症が少しでも癒される、この時期
嬉しいメニューです。
チョコレートも、味見させていただきました。

並べ方が、とてもかわいい!
ピンク色の包み紙にくるまれたのは、
ホワイトチョコベースの桜のトリュフ。

それに、抹茶で半分覆った、ミルクチョコレートの
ボンボンショコラ。
中は、緑鮮やかな抹茶色のガナッシュで、薫り高く、
一緒に召し上がった方も、「美味しい!」と
お気に召した様子。

こんな6個入り詰め合わせの
春ショコラのギフトなんて、嬉しいですよね。
今の時期だけという、「桜のスコーン」をお土産に。
桜の花を上にのせ、中には刻んだクランベリー?
或いはチェリーかな?

お友達は、「桜クグロフ」も発見していたそうです。
あらら、こちらはうっかり、気づきませんでした!

日比谷公園の桜も、もうすぐ咲きますし、
お花見散歩に出かけて、ペニンシュラで一休み、
というのも素敵ですね。

季節はもう、春へと向かっているんだなぁと、
なんだか嬉しくなるのでした。
B食店情報
・店名 : ザ・ペニンシュラ ブティック&カフェ(ざぺにんしゅらぶてぃっくあんどかふぇ)
・ジャンル : スイーツ-その他
・住所 : 東京都千代田区有楽町1-8-1 THE PENINSULA TOKYO 地下1階
・TEL : 03-6270-2888
・URL : http://tokyo.jp.peninsula.com/ptk_ja/restaurants_04.html
・営業時間 : 6:30?21:30
・定休日 : 無休
・最寄り駅 : 日比谷/有楽町/銀座
・キーワード : スイーツ/マンゴープリン/ランチ
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2007年12月9日(日曜日)
   
楽しみに待ってました〜。
12月8日放映の『チューボーですよ』。
テーマが「エクレール・オ・カフェ」。街の巨匠は、

★日本橋の巨匠 マンダリン オリエンタル グルメショップ
五十嵐宏シェフ
★北沢の巨匠 ル・ポミエ フレデリック・マドレーヌシェフ
★八雲の巨匠 パティスリー タダシヤナギ 柳正司シェフ

ゲストが、元番組アシスタントの雨宮塔子さん、
現在パリ在住にして、青木定治シェフの奥様、
というのも、はまっている・・。
アオキのエクレールなら、柚子か抹茶がいいかなぁ。

今回拝見して、ホワイトチョコベースの上掛けに、
マーブル模様を描いた、マンダリンの仕上げの
美しさに心ひかれました。買いにいこう〜!

ヤナギのエクレールは、先日、八雲店のものをいただき、
そして本日、放映記念に、丸井店のものを
いただきました。(^^ゞ 

小田急線沿線なのだから、気合を入れれば、
ル・ポミエにも行けた気がする・・。改めて伺いたいですー。

ヤナギについては期間限定という札があったなぁ。
3店のを揃えていただくというのは、ちょっと
幻になるかも知れません。

丸井では、久しぶりラインナップもいくつか。
白いハート形は、シャルマント。
右側の、かわいらしいピンク色のは、F・フレーズ。

いつも私が、新しいお菓子を発見すると、必ず選んでいくのを
ご存知なので、お電話で予約をお願いすると、
最近出たもの、出る予定のものを教えてくださる、
スタッフの方がいらっしゃいます。

心やさしい、きめ細やかなご対応が、いつも大変嬉しくて・・。
その方も、いつか将来、こちらのように、
皆さんに愛される、素適なお菓子屋さんを、
ご自身で始められるといいなぁと。今から楽しみです。

そして、くだんのエクレール・オ・カフェ。
自家製のコーヒーシロップというか、トラブリというか、
カフェエキストラを混ぜたフォンダンがけ。

美しい〜と思いつついただいておりましたが、
やっぱり、フォンダンがけの工程は、
三人のシェフとも、息を呑むほど美しい手業でした。
人間の手って、指って、・・なんて繊細で偉大なんだろう。
シャルマントの中身は、アールグレイのブリュレ・・
いや、ムースかな?
その共通項により、ジュピターのホワイトチョコレート版・・
のような印象。

元々、フランボワーズのマリネが、こんなに、
とろっと、ソースのようだったかしら?

エフ・フレーズは、フロマージュブランのムースと、
苺のムースと生地とを重ねています。
上に飾ってある、サクサクしたクランブルの塩気が、
よいアクセントに。

シロップを打って、淡いピンク色に染まった
スポンジが、とても綺麗で、華やかで・・。
なんだか、冬を飛び越えて、春を迎えてしまったような気分!
エクレール・オ・カフェの中身は、
コーヒー風味のカスタード、というのは、
3人のシェフとも、共通していらっしゃいましたね。

でも、コーヒーの味わいの出し方は、
シェフによってそれぞれ違っていて面白く・・。

マンダリンの五十嵐シェフのが、個性的だったなぁ。
アッシェしたコーヒー豆をエスプレッソで10分間
蒸らして香りを抽出・・。糖分はないのか〜。

柳シェフの場合、カラメルに、といたインスタントコーヒー。
それに、ミクロンコーヒーパウダーを、直接、
カスタードに混ぜいれていらっしゃるのが印象的でした。
番組の中で堺さんが作ってらしたのは、この
レシピとやり方だったように思われます。

そう、ミクロンパウダーの粒々具合が見えますね。
ほろ苦く、コーヒーの香りがふわっと広がる・・。

生地は、サックリ、強めの焼き具合。
粉は、薄力粉のみではないのではないかと思うのですが、
ちなみに、堺巨匠のレシピは、薄力粉だけだった・・。

焼き方は、190℃30分間、180℃40分間、途中で差し替え、
という3パターンがありました。
ル・ポミエの、190℃10分→175℃45分間というのは、
かなり焼きこんでいらっしゃる感じですね。
表面が、なんだか、落花生の網目模様のようで、
かわいらしかった・・。

エクレール・オ・カフェは、フォンダンと、生地と、
中のクリームと、全部を一緒にいただいた時、
そのバランスの見事さに、感動するような
お菓子であってほしい。

タダシヤナギのエクレール・オ・カフェ・・。
美味しいです・・さすがすぎる・・。

もともと、お店で出していらしたものを、TVで
取り上げてご紹介した、というわけではないんですよね。
多分、ご依頼があって、それがきっかけで、
お店で出していただけることになったのだと。

作っていただいたら、すばらしいのは当然ですよね。
柳シェフは、こういう古典的なお菓子を含めて、
グランメゾンのレストランで、長年研究され、
そのうえで、ご自身流にアレンジしてきた方ですから・・。

ヤナギで作られると、古典菓子が、決して「通」向けでなく、
今の時代に違和感なく、皆さんに食べやすく、
きっと、「あら、エクレアって、こんなに美味しかったの?」
とびっくりする、そんなきっかけになってくれることでしょう。

たくさんのお菓子があふれ返る、
今の時代だからこそ、そういうお菓子を、
改めてまた、作っていただけるといいな、と思います。
こちらは、先行でいただいた、
八雲店エクレール・オ・カフェの裏。

はい、私は、エクレールを見れば、裏を
返して穴を探したくなる人です。(^_^;)

ヤナギは、左右寄りに2つ。
さすが、仕上がりが美しいやり方でいらっしゃる。

ル・ポミエは3つで、クリームをたっぷり絞り入れやすいかな?
マンダリンは、裏ではなく左右に穴を開けていましたね。
これも、絞り入れやすいのではないかと・・。

なんでもそうですが、お菓子づくりは、
このやり方が正しいということではなく、
いろんなやり方があって、それには、意味や意図があって、
自分はこうしたいから、こうする、という選択なのだと。
先日、五十嵐シェフも、講習会でおっしゃっていました。

だから、お菓子をいただいている時は、そこから、
どれだけ、作られた方の意図がくめるだろうかと。
だから、最低限、作り方の基礎を勉強したいと
思ったのです。
こちらは、先日ご紹介した、
ディアゴスティーニ「パティシエと作るケーキアンドデザート」
の中に、作り方の載っていた、オペラ。

現在、新宿高島屋のパティシェリアのみで、
冬タームの限定品として登場しています。

オペラ・モデルヌ。
表面がグラッサージュではなく、ピストレ仕上げの
現代版オペラ。

こちらも、カラメルが隠し味のガナッシュが、味のポイント。
生地に打ってあるシロップがひたひたで、フォークで
ぎゅっと押すと、じゅわっと染み出る感じ。
ヤナギのお菓子で、こういうタイプのは、現在、かなりレアです。

改めていただいてみると、冷蔵庫から出したてよりも、
少し常温において、クレーム・オ・ブール・カフェが、
ゆるんだあたりが、食べ頃になるかなと思いました。

そして、シュルプリーズ・アールグレイ。
一見、フォンダンショコラのような見た目ですが、
「アールグレイの驚き」という意味は・・
召し上がるとわかります。

アールグレイのカスタードを、中に焼きこんであるんですね。
これは、冷凍工程を経ないと、作ることのできないお菓子。

ヤナギでは以前、ボンネットの帽子を意味する
「ボネ」という名前で、出ていたことがありました。
これは、イタリアのピエモンテ地方の、
チョコレートプリンのような伝統菓子に着想が
おありだったのではないかと思うのですが・・。

「ボネ」は、柳シェフのご著書、『展開するチョコレート』に、
ちょっと違う姿で出ています。
チョコレートのフリルが、女性の飾りつきの帽子のようで、
かわいらしいのです。(^_^)

お歳暮の時期でもあり、クリスマス前でもあり、
どちらのお店も、大変にお忙しそうです。

皆さま、体に気をつけて、頑張ってください!
B食店情報
・店名 : パティスリー タダシヤナギ丸井店(ぱてぃすりーただしやなぎまるいてん)
・ジャンル : スイーツ-洋菓子
・住所 : 神奈川県海老名市中央1-6-1 マルイファミリー海老名1F
・TEL : 046-232-0101(代表)
・URL : http://grand-patissier.info/TadashiYanagi/
・営業時間 : 10-20時
・定休日 : マルイファミリーに準じる
・最寄り駅 : 海老名
・キーワード : 日本屈指の名パティシエ、柳正司シェフのケーキ
・友人・同僚 / 家族・子供 / 一人
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