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2007年2月14日(水曜日)
[ 18:00 ] [ チュニジア ]
   
チュニジアの首都、チュニスまでは、飛行機でパリから2時間、ローマから1時間で行けます。チュニジアはアフリカ大陸にあり、随分遠いという感覚があったんですがヨーロッパ内を旅行する感覚で行けるんです。ローマにいった時にちょっと立ち寄ってみる、といったチュニジアの旅をしてみたいですね。
人々の生活も地中海の豊かな自然が反映しています。普段の生活にフラワーウォターやビターオレンジ等のハーブの香りがふんだんにあり、香りの文化がチュニジアの伝統でもあります。ワイン製法だけでなく、アロマセラピーやタラソセラピーの起源の地ともいわれています。

カルタゴ以来3000年の歴史を持ち、イタリアやスペインのアンダルシア、オスマン・トルコ、そしてフランスの影響を受けながら独特な衣食住の文化を醸し出してきた魅力的な国なのに、日本ではあまり馴染みのないのは少し残念です。
でも、日韓ワールドカップの時に、チュニジアと日本が同じブロックになって、チュニジアの情報に関心を持つ方が少し増えたのではないでしょうか。この「大使夫人の普段着の食卓」でチュニジアにちょっとは興味を持ってもらえたでしょうか?
イスラム圏ですが、婦人参政権はフランスより早く実現し、安全で魅力的な観光と文化の国として、1000万人の国民に対し毎年700万人(!)の観光客が訪れています。(知らなかったでしょう?)欧州では、今、リゾートとして注目を集めているチュニジアですが、日本からはたった1万人弱の人しか訪問していません。
海外旅行に出かけたとき、どこでも日本人に逢ってうんざりするんですが(向こうも同じようにうんざりしているようですが)、チュニジアはその点すごい穴場なんです。
面白いことに、チュニジアには意外と日本人に近い生活文化があります。各家庭には、何と丸いチャブ台がゴザの上に置かれ、そこで胡坐をかくか、小さい木の椅子に座り食事をするそうです。さらにお風呂(ハマム)に通う人が使うソラ(へその結び目)と呼ばれる風呂敷の文化があります。
カルタゴの歴史が残した8つの世界遺産、温泉、タラソセラピー、ダイビング、ゴルフ、砂漠のラリーそして豊かな食文化に是非触れてみたいと思いませんか。
昨年はチュニジアと日本が1956年に国交を開いて50周年を迎えました。
ご紹介したワインや、香辛料のハリサ、プリックやクスクスからチュニジアを味わう第一歩としてはどうでしょうか。
極秘情報として、チュニジアに旅行するのは春がいいようです。ただ、灼熱の砂漠を歩きたい方には夏をお勧めします(超マニアックな体験ができると思います)。これもまた、チュニジアの魅力なんです。
B星赤 チュニジアの食材,調味料,ワイン,雑貨の輸入販売先
エム・アンド・ピー株式会社
〒140-0002東京都品川区東品川3-24-7 ハブネット内
TEL:03-5462-7661
FAX:03-3471-8800
E-mail:mandp@hub-net.co.jp
Web:http://www.chichukai.jp

B星赤 チュニジア料理のレストラン
フォークナイフ カルタゴ
〒東京都中野区中野3-34-3
TEL:03-3384-9324
E-mail:carthago@nifty.com
Web:http://homepage2.nifty.com/carthago/

フォークナイフ ハンニバル
〒東京都渋谷区千駄ヶ谷3-53-3
TEL:03-3479-3710
FAX:03-3479-3711
E-mail:hannibal@hannibal.cc
Web:http://www.hannibal.cc/

フォークナイフ ラジュール
〒東京都新宿区百人町1-24-8 新宿タウンプラザ2F-A1
TEL:03-3366-4004
E-mail:azure2006@yahoo.co.jp
Web:http://www.kornavi.com/azure/index.html

フォークナイフ カルタゴ・キッチン
〒530-0001大阪市北区梅田1-11-4 大阪駅前第4ビルB1
TEL:06-6341-0048
FAX:06-6341-0401
E-mail:carthago@carthago-kitchen.com 
Web:http://www.carthago-kitchen.com/
B星黄 観光(日本企業が出資した初めての現地旅行代理店)
ASI Discovery Travel Agency
■チュニジア
Res. Tebrourk Bloc D-Appt 4 Rue Granada
El Manar 1 tunis 2092 Tunisia
TEL:216-71-871-557
FAX:216-23-426-777
E-mail:kadoyama@airsystem.jp
 (担当 門山氏、個人旅行にも対応)
■東京
〒105-0001東京都港区虎ノ門1-19-9 虎ノ門TBLビル8F (エア・システム内)
TEL:03-3593-6728
FAX:03-3593-6534
E-mail:asiopetyo@airsystem.jp
Web:http://www.airsystem.jp/

B星黄 チュニジア共和国大使館 観光・文化部
〒102-0074東京都千代田区九段南3-6-6
TEL:03-3511-6622
FAX:03-3511-6699
E-mail:tourism@tunisia.or.jp 又は、culture@tunisia.or.jp
Web:http://www.tunisia.or.jp
2007年2月7日(水曜日)
[ 18:19 ] [ チュニジア ]
   
チュニジア大使館ではゲストルームの隣にダイニングルームがあり、ゲストルームでおしゃべりをしながら料理の用意が整うまで待ちます。大使館はモダンな造りの建物ですが、内部は日本風のつぼ庭や屏風などの日本センスを取り入れる一方、調度品はチュニジアからの民族色豊かな銀器が飾られ、それらが全体にうまく調和し見事なレセプション空間として機能しています。
日本の客人にも、チュニジアからの客人にも配慮した、日本贔屓のサラ・ハンナシ大使御夫妻のセンスが光っています。
さて、屏風が取り除かれて、ジャン! セットアップ完了です。
中央にサラ・ハンナシ大使、その横にアムリ参事官御夫妻、我々はその正面の席につきました。
まず、スープのショルバは、魚と大麦のトマト仕立てでレモンの酸味とピリ辛がとってもよくマッチングしていてとってもグーです。魚は形も無いくらいよく煮込んであります。あまり食べたことの無いテイストですがスターターとしてはこのさわやかさが忘れられない。
次はチュニジア風春巻のブリック。
春巻はロールにしてあるため皮は幾重にもかさなり、そこに油がまわってちょっと脂っこい感じがしますが、ブリックは折ってあるだけの一重なので、パリパリに揚げてある薄い皮と中の具との歯触り感が心地よい。
中の半熟たまごは吸いながら食べるのがコツなんだそうです。ここはチュニジア料理通としては恰好を付けなければと、がんばってみたがやっぱりこぼしてしまった。
ブリックの源流はやはり中国の春巻だそうで、それに西のサハラからのピリ辛文化が融合したそうな。ちなみにこのスパイシーなブリックを食べるのはチュニジアとスーダンだけだとか。

そうそう,今頂いているワインを紹介しなくちゃね。
赤はVieux magon ,白はMuscut sec de Kelibia。とてもフルーティーです。
チュニジアは、古くは146年にロマ帝国に征服されローマ文明の影響を色濃くうけていて、さらに近代にはフランスの保護領でもあったことがあり、ワインが美味しいのは当たり前・・・? いえいえ、そもそもローマにワインを伝えたのはカルタゴだと伝えられています。そう、ワインの製法技術はチュニジアの方が源流なのです。
また日照時間が長く糖度の高い葡萄がとれることから、チュニジアはワインづくりには適した環境です。そんなわけで上質のワインができるのです。
チュニジアの皆さんも、イスラム教にもかかわらずワインをいただかれます。チュニジアはソフト・イスラムと呼ばれるように国策として西欧化を押し進めているんですね。
そのほか、イチジクの蒸留酒のブッハやナツメヤシの蒸留酒タバリン、ビールでは、セルティアが有名です。
次に登場したのは、スラタ・メシュイア。チュニジア風焼き野菜サラダです。焼いた野菜を細かく刻み、オリーブオイルに漬けるという、ちょっと日本では思いつかないサラダです。レシピを見て驚いたのですが、なんとコリアンダーも入っているではありませんか。僕はコリアンダーが大の苦手で、1ミリのかけらでも入っていれば即座にコリアンダーの存在を判別する能力をもっています。そして即、拒否に姿勢にはいります。
ところが、ところが、このスラタはまったくコリアンダーの存在を感じさせないではありませんか。うーん、一本とられてしまった。まったく完敗です。
味は? とっても美味しかったです、ハイ。日本の焼き茄子とは随分違いますね。
簡単そうなので自分でも作ってみたい一品です。

メインはクスクスです。
これはチュニジアの代表的料理です。もともとは北アフリカの先住民族であるベルベル人の伝統料理だったものです。ベルベル人の住居は土で固められた塔のような住宅で、ジンバベの石の城壁とともに不思議で,最も印象的なアフリカの民族建築であり、尋ねてみたい建築の一つでした。こんなところでベルベル人と出会えるとは思ってもいなかった。彼らはこれを食べていたのだ。この不思議な建物をつくるベルベル人のクスクスを食べたことで、少し近しい存在として彼らを感じられるようになった。
今ではクスクスは北アフリカを中心に広く食べられるようになっていて、日本でも見かけるようになってきました。食べたことがない人も、クスクスという名前だけは聞いたことあるのではないでしょうか。
チュニジアでは、白身魚のソースで食べることが多いのだそうで、本日は鯛のソースです。トマトベースのソースがチュニジア風で、それに煮込まれたいろいろな野菜が感動の味です。好みによってはハリサとばれるコチジャンのような香辛料をつけてたべます。
デザートはヘーゼルナッツを使った、とろりとした甘いボウサです。
大使館のキッチンで、ラディア夫人が、ずいぶん長い間かき混ぜて作ってくださった力作です。ミルクのフレーバーがきいた、これもあまり経験したことのないようなテイストです。イスラムのラマダン明けには、胃に優しい栄養の源として各家庭で定番のデザートだそうです。

最後がテアラモントというミントティー。
すごくさっぱりとしたお茶です。ミントのさわやかさが、堪能した料理の総仕上げとして今までの料理の一つ一つを舌に再現してくれます。
このミントティーを飲みながらいただいた料理について語ることはチュニジアの大切な家族の伝統なのでしょう。お茶うけに、ピスタチオとアーモンドのサモサも作っていただきました。
チュニジアではお昼に車が大渋滞するそうです。昼休みは2時間あり、皆、家に帰って家族と食事を楽しむのだそうです。だからいつもお昼は大渋滞……
ごちそうになった御礼にテーブルに花を生けてみました。
大使館の応接間に銀のトレーにチュニジアの伝統的な銀の器があったのでそれに花をアレンジしてみました。銀のトレーを砂漠に見立て、オアシスに広がる花園をデザインしました。花はカランコエです。そのオアシスに見立てた銀のトレーをテーブルの中央に置き、カランコエの葉っぱの上にカランコエの花を小さな固まりにして乗せ、テーブルのあちこちに散らしてみました。これは砂漠に点在する小さなオアシスをイメージしたものです。

虹 次回は「日本で出会えるチュニジア」です。お楽しみに!
2007年1月31日(水曜日)
[ 18:00 ] [ チュニジア ]
   
チュニジア大使館は靖国神社の近く(私のデザインしたレストランさくらさくらの近くでもある)にあります。
みんなでおじゃましました。
ちなみに、大使館の正面にあるチュニジアの風景のディスプレイは私がデザインしたものです。ぜひ見にきてくださいね。
今日は、夫人は本国に帰られていて、サラ・ハンナシ大使ご自身が料理の説明をしてくださいました。大使夫人に代わってアムリ1等参事官のラディア夫人がかけつけてくれて、料理に腕を振るってくれました。

本日のメニューを紹介しましょう。
まずはスープ。ショルバといいます。今回は、フリックと呼ばれる、大麦のあらびき入りの、鯛をベースにしたショルバ・フリックです。たまねぎや、ガーリック、セロリのみじん切りとトマトの角切りに、鯛やスズキなどの白身の魚(又はラムやチキン)を合わせ、トマトペーストにオリーブオイル、ハリサ、粒胡椒、クミン、フリックを加え、弱火で煮込みます。
それぞれの材料のテイストがうまくミックスし、ハーモニーを奏でるくらいに煮込むのがこつです。
次はチュニジア風半熟卵入り春巻のブリックです。
形は春巻きのようなロールではなく、三角形です。小麦粉製のマルソーカと呼ばれる円形の薄皮の端を内側に折り曲げ四角にし、真ん中の部分に卵を半熟にするため3cm角のマルソーカ片を置きます。ツナ(又は、エビ、チキン、ひき肉)、長ネギ、チーズ、ケッパをみじん切りにし、塩と胡椒を加えたものを予め炒め、その上に薄く敷き、生卵を1個乗せます。四角い皮の1端を重ね、三角にしながら卵を包み込み、その合わせ目を軽く織り込み、卵がこぼれ出ないようにします。サラダ油を入れたフライパンを弱火で加熱しながら、三角形にしたマルソーカを合わせ目が開かないように注意しながら、柄の長いスプーンで油を表面にかけながら調理します。薄い皮がパリパリになったら出来上がり。レモンとハリサをつけて熱々を直ぐ召し上がれ!
この薄皮のパリパリ感がいかに出せるか、ということが家庭の主婦の腕前を競うところだそうで、この写真のように仕上げるのは相当の腕前だとか。
日本でもぜひチャレンジしたいメニューですね。これはほんとうに美味しくて、簡単で、でもむずかしい。そんな料理です。
サラダはスラタと呼ばれます。特にチュニジアらしいサラダとして、チュニジア風焼き野菜サラダ、スラタ・メシュイア(グリルしたサラダの意味)を作っていただきました。
どうしてつくるのか今まで見当がつかなかったのですが、今回ラディア夫人が料理をされるのを見て、ようやくわかりました。
ナスをオーブンで黒くなるまで焼き上げて皮をむきます。それにオーブンで焼いたピーマン、タマネギ、ガーリックをみじん切りにしてコリアンダーと塩を加えたオリーブオイルに漬けたものです。チュニジアでは、トマトも同じように使いますが、日本の品種は、汁が多過ぎるので、輪切りにして飾り付けに使います。
(写真は焼き上げたスラタ・メイシュアの材料。これがどう仕上がるのかは来週のお楽しみ)
メインはクスクスです。
これはチュニジアの代表的な料理です。もともとは北アフリカの先住民族であるベルベル人の伝統料理だったものです。
クスクスはデュラムセリモナ小麦でつくった世界で一番小さいパスタだそうです。それを2層になったクスクス用蒸器で蒸して、魚と野菜を煮込んだものをトッピングし、トマトベースのクスクスソースをかけます。
まず、クスクスに塩、オリーブオイル、水を加え3分間待った後クスクス用蒸器で15分ほど蒸し、バターとクスクスソース少々を加えて和えておきます。
今日のクスクスソースは、白身魚とヒヨコマメがメイン。
水にオリーブオイルをたっぷり入れた鍋に、ベースとする鯛やスズキ等の白身の魚(又は、ラム、チキン)と、柵切りのたまねぎ、ドライトマト、クミンシード(魚の場合に使う)、コリアンダー、フレッシュガーリック、ヒヨコマメを入れて沸騰させます。弱火にして少し煮たら、魚を取り出して別の器に移し、クスクスソースをかけ寝かせます。煮立ったクスクスソースに煮崩れないよう、大切りのにんじん、ジャガイモ、大根、ズッキーニの順で野菜を加えます。
盛り付けは、大皿にクスクスを盛り、その上に魚、にんじん、ジャガイモ、大根、ズッキーニを載せます。クスクスソースは別にサーブし、食べる直前にクスクスにかけます。ピリ辛のハリサをお好みで!
デザートはボウサとサモサです。
ボウサは、ヘーゼルナッツを使った粘りのある甘いデザートです。
大使館のキッチンに伺ったとき、ラディア夫人がボウサを作られている最中で、一生懸命このデザートをずいぶん長い間かき混ぜていらっしゃいました。
約10〜12人分ですとヘーゼルナッツ500g、牛乳2L、コンスターチ大匙2杯、砂糖150gが材料です。ヘーゼルナッツをミキサーにかけてから、濾し器に通した後、弱火にかけながらゆっくりゆっくりかき混ぜるのです。(写真はミキサーにかけたものを濾しているところ)

サモサは、ブリックの皮(マルソーカ)を短冊状に切り、中にゼラニュームフラワーウォーターで香りを付けたアーモンドかピスタチオを入れ、三角に折っていき最後は内側に織り込みます。サラダ油であげて砂糖入りのピスタチオの粉やシナモンを振り掛けて出来上がりです。

最後がテアラモントというミントティーです。
中国産のグリンティーとミントティー(又は、フレッシュミントの葉でも良い)を半分ずつ淹れた後、表面に松の実を浮かせます。これで完成です。いよいよ、頂きます。


虹 次回は「こんな風に食べました」です。お楽しみに!
2007年1月24日(水曜日)
[ 19:00 ] [ チュニジア ]
   
連載の最初は、チュニジア大使夫人の食卓にご案内いたしましょう。
この企画を始める以前から、チュニジア大使館にはよくお邪魔をして、食事をごちそうになっていました。
チュニジア料理というのはなんて美味しいのだろう、といつも感心していました。味付けはデリケートだし、見た目もたのしい。うまく食べるには、ちょっとしたワザが必要な料理もあったりします。チュニジア風春巻のブリックは中にはいっている半熟のたまごをこぼさないように食べるのがみそ。この食べ方でチュニジア人かどうかすぐにわかるらしい…こんなアトラクションまでついているのです。(写真は隣からワザを盗もうとしている私です)
世界には色々な料理があるんだなあ、と改めて気づきました。そしてそのときから色々な国々の料理を食べてみたい、そう考えるようになったのです。まあ、これがこの企画のはじまりなんです。
その国の歴史や風土、歴史そして自然を理解することが、料理をより楽しむことにつながると思うので、まずはチュニジアという国について少しご紹介しましょう。
チュニジアはアフリカ大陸の北端の中央にある地中海に面した国で、イタリアから真直ぐに南下した対岸にあります。地図を眺めると地中海文明圏にチュニジアが属していたことがよく理解できます。
地中海文明圏の中央にあったチュニジアの歴史は大変古く、紀元前9世紀にはフェニキア人の都市国家カルタゴとして栄えた国でした。そう、歴史の教科書で学んだあのカルタゴです。思い出しましたか。
その後146年にローマ帝国がカルタゴを征服し、7世紀にアラブ人が侵入し、1574年にオスマン帝国の属州になりました。1881年にはフランスの保護領になり、1956年にフランスから独立し共和国となり、昨年は建国50周年を迎え現在にいたっています。
この複雑な歴史がチュニジアの文化に多様な生彩と陰影を与え、料理の多彩な輝きにも、この歴史と文化が色濃く映し出されているといっていいでしょう。ローマ帝国が世界へ広めた豊穣なワイン、ベルベル人のクスクスはその代表といえます。
チュニジアの北部では、地中海の温暖な気候が豊穣な農産物を実らせてくれます。チュニジアではどんな料理にも使われるオリーブ油は、生産高は世界第4位で、機械を使わず、コールドプレスという昔ながらの製法で搾られています。野菜が香り高く美味しいことから、「チュニジア野菜」という呼び名がわざわざついているほどです。チュニジアの主食はGreen and Grain(野菜と穀物)といわれています。肉は付け合わせの感覚です。
外交官の方によると、海外からチュニジアに帰ると、家庭ではかならず野菜料理が振る舞われるのだそうです。チュニジアのお袋の味は野菜なのですね。最近、野菜が見た目には美しくなったものの、野菜本来の「味」というものがなくなってきている日本(消費者がそういう野菜を欲するからだと思いますが)とは、ひと味も二味も違った野菜が、チュニジアでは食べられそうです。
チュニジアに行って、是非チュニジア野菜を食べてみたいものですね。レストランで野菜料理を注文すると、きっと「通」と思われること間違いなし(?)。ほんとうかどうかはぜひ現地で試してみてください。

歴史の潮流がチュニジアに大きな骨骼を与えたとすれば、自然はさらにダイナミズムと多様性をその国土に植え付けました。北の地中海性の温暖な気候に対して、南には広大なサハラ砂漠が広がっています。
建築に目を向けると、地中海文明の拠点であったチュンジアには、人の目を惹きつける素晴らしい建物がたくさん残っています。
各地でローマ時代の遺跡を見ることができます。エル・ジェムの円形闘技場はローマ、ヴェローナに次ぐ世界第三の大きさです。色取りどりの大理石でつくったモザイクはローマ時代の生活をリアルに現代に伝えていて、イスラム文化のタイルとともにチュニジアの芸術の根幹を築いているといってもいいでしょう。
地中海の街並みの風景として最も有名なのは、ギリシャの島々の真っ白な住宅群でしょう。同じ地中海文明圏の一つであるチュニジアにも、同じ白い建物群は残っています。より高度な文明と建築技術を持っていたイスラム文化の影響をうけて、優雅なアーチと列柱が、その白亜の建築にエレガントさとエキゾチシズムを与えています。なかでも一際印象的なのは石のアーチに組み込まれた地中海の真っ青な海の色をイメージしたチュニジアブルーに塗られたドアです。
そのドアをくぐり建物の中に入ると、中央はパティオと呼ばれる中庭になっています。そこは家族の団らんの場であったり、夕食を楽しむ場であったりします。チュニジアの最近の流行はパティオでの結婚式だそうです。なにやらその風景が目に浮かんできて楽しそうですね。
時代が下って、フランス統治時代の名残りのアールデコ様式の建築も散見され、チュニスの街の風景に、ヨーロッパ風のテイストを与えています。
古代地中海文化、イスラム文化、そして近代ヨーロッパ文化が入りまじり、多様な彩りを楽しむことができる。そんな国がチュニジアなのです。


虹 次回は「いざ、キッチン拝見」です。お楽しみに!