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2007年6月22日(金曜日)
   
5月のリフレッシュオープンで、新宿伊勢丹に
オープンした新ブランド「マイスターユーハイム」の
お披露目会に、お伺いして参りました。

クラッシックな枠を頑なに守るドイツ菓子に、
モダンの定義を持ち込んだ、このブランド。

オーセンティックなドイツ菓子を、
現在・未来という時代感覚で、現代的に
ブラッシュアップしたそうです。

一番左は、先日、伊勢丹のオープニングにも
いらしてくださった、ベルント・ジーフェルト氏。
国内外のコンクールで輝かしい受賞歴をもつ彼は、
250年も続くコンディトライ(お菓子屋)、
フランクフルト郊外の「カフェ・ジーフェルト」を
率いる菓子職人。

真ん中は、ベルリンにあるミシュランの星付レストラン
「ファウ」のオーナーシェフ、コルヤ・クレーベルク氏。

とてもお茶目な方で、この時も、隣に立った
ジーフェルト氏が、とても背が高くていらっしゃるので、
それに合わせようとするがごとく、ぴょんぴょんと
ジャンプしてみせたり。

こちらのレストランのデザインも手がけているのが、
このマイスター・ユーハイムのデザインを担当する、
ペーター・シュミットグループ。

一番右の方が、そちらよりいらした
アーミー・アンゲラー氏です。
アートの歴史に、大きな足跡を残した
デザイン学校、バウハウス(1919-1933)。

その意義は、職人の仕事と、デザイナーの仕事を
結びつけて、1つのユニバーサルなものを
生み出したことにある、と。

そのように、この、異なる分野の専門家3人が、
1つのチームとして生み出すのが、
マイスター・ユーハイムの世界なのです。
1つ1つのお菓子について、詳しくご紹介していくと、
きりがないのですが・・・。

私が特に気になったのは、ドイツの伝統菓子、
「黒い森のさくらんぼケーキ」、
シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ!

ジーフェルト氏曰く、このお菓子は、まだ
70年ほどの歴史しかない、ということ。

もともとは、バタークリームを使っていたものだったそう。
それが、戦後になって、より軽やかに、
生クリームを使ったものになっていった。

そして、今回は、より革新的なものを!と、
周囲をチョコレートでグラッサージュしたものに
したそうです。

こちらのケーキ、全体に大振りで、このケーキも、
シェフ自身、日本人には限界に近いほど、
かなり大きいだろうとおっしゃいます。
でも、クラッシックなものは、もともと、
相当に大きなものなんだそうです。

今回は、サイズは小さくして、内容はより豊かに。
一方で、個人の技術の差によらず、安定した
品質で供給ができるよう、作りやすいスタイルを
追求して、完成させたとか。

飾りを、もっと豪華に見せかけることはできるけれど、
そうではなく、本当に美味しいものを目指した、
と語るジーフェルト氏。

マジパンと木苺ジャムで、眼鏡のような飾りを
つけたボール状のお菓子は、ツィトローネン。
周囲の黄色い部分に、酸味の効いた
レモンのコンフィチュールが塗ってあります。

全体に、生地は、アーモンドパウダーや、
マジパンが混ぜ込んであるようなタイプの、
しっとり、リッチな感じのものが多いように感じました。
やっぱり、ドイツ菓子の特徴なのでしょうね。
奥は、ホレンダーキルシュトルテ。
これも、ドイツでは一般的なお菓子で、
パイ生地にさくらんぼを挟んだ、シンプルなものだそう。

ジーフェルト氏曰く、ドイツ人は、旅行好き。
その土地で出会ったお菓子の要素を持ち帰って、
新しいものを生み出したりもするそうです。

今回、日本へのオマージュとして、
パイ生地に抹茶を入れ、クリームに、桜の花のお茶を
使った、とのこと。

薄い茶色のクリームは、なるほど、桜茶の香り!
桜餅を思わせる香りが、さくらんぼの甘酸っぱさと
マッチするように感じるのは、日本人ならではの
感性なのかな。

手前は、これもドイツの伝統的なお菓子の1つ、
ベルナウアー。
女性の胸像を象ったチョコレートが飾ってあるの、
わかりますか?

このお菓子のモデルは、アグネス・ベルナウアーという
女性だそう。

多分1435年と思われますが、15世紀前半頃、
バイエルンのミュンヘン公と恋に落ちて、
結婚した平民の娘。
しかし、これに大反対だった大公の父親によって、
川に突き落とされて、処刑されてしまったという・・。

これが物語ではなく、史実だというから、
現代の自由さを感じずにいられませんが・・。

ミュンヘンには、彼女のために建てられた教会もあり、
現在でも毎年、「アグネス・ベルナウアー祭り」が
行われるそうです。

アグネスを偲んで作られたこのお菓子は、
ドイツでは、コーヒー味のお菓子。
当時は、コーヒーはまだドイツになかったから、
ノンカフェインで知られるチコリを使っていたようです。

ジーフェルト氏は、この話から、イタリアの
ロミオとジュリエットの物語を連想し、
「ティラミス」のイメージで、マスカルポーネを使ったそう。

これは、思ったよりもやさしい味わいで、
生地よりも、ムース中心ということもあってか、
日本人好みの、軽め食感のように思いました。

ジーフェルト氏曰く、このブランドでは、
人工的な着色料、フレーバーなど一切使わない。
最近のドイツでは、自然なものを使うのがトレンドとのこと。
砂糖の量も、控えめにしてある、ということでした。

お菓子にもよりますが、このケーキは、
確かに、甘さおさえめという印象でした。

本場、バイエルンのベルナウアーを、
いただいてみたいなぁ・・。
「ラバーバ」は、ルバーブのこと。

これについては、クレーベルクシェフが、
熱く(笑)、語ってくださいました。

このお菓子は、「季節」を表現したものとのこと。
すなわち、ドイツの「春」。

クレーベルク氏も、子供の頃、
春になれば、ルバーブを使ったお菓子、
というのが、思い出のご様子。

シェフのお母さまは、ルバーブに
砂糖をつけて、そのまま齧るのが、
一番美味しい、とおっしゃったそうですが・・。
大胆な召し上がり方ですねー。(^_^)

あらら?これは・・カエルですね!
フロッシュケーニッヒ。
リリエンベルグのフロッシュを、思い出してしまいました。

クレーベルク氏曰く、これは
「おとぎ話の世界を表現した」。

あ、それでわかった。
このかえる・・金の鞠を持っているんですね。
王女様とカエルの、あの物語だ!

クレーベルク氏も、ジェスチャー付きで、
この物語について、説明してくださいました。
英語でお話くださったので、私達でも、
だいたい、内容がわかりました。

井戸に、お気に入りの金の鞠を落として
しまったお姫様。
カエルが、キスしてくれたら拾ってきてあげる、と
言います。
2度は拒否したお姫様。
3度目に、ついに我慢できずに、目をつぶって
キスしたら・・カエルは鞠を取ってきてくれて、
王子様に変わった、ということ。

実は、魔法をかけられていた、王子様だったのですね。

この物語って、多少の展開バージョンがあるようですが、
実は私が、理不尽だなぁと思う物語、
五本指に入るものだったのですが(笑)。

でも、最後、王子様が見事にお姫様を振ってしまう
という展開もあって、あぁ、それなら了解。
昔話は、心温まるアンデルセン系が好きなのだ・・。

このモチーフ、もっとキュートな感じで、
ユーハイム・ディ・マイスターでも、
ペーターシュミットとのコラボケーキの
デザインになったことがありましたね。

こっちのカエルの方が、吸盤付きの指とか、
ちょっとリアル。
特に、クチビルが、ややコワカワイイかも〜。(^_^;)

ベースのケーキ自体は、かろやかな
バニラクリームに苺入りで、
食べやすい印象でした。

まだまだ、色々なお菓子について、
ご説明をいただきました。

焼き菓子でも、その土地ではぐくまれて、
愛されてきたお菓子に着目し、
「ロカール・モデルネ」という考え方のもと、
ドイツの郷土菓子や、昔ながらのお菓子を
ベースに、作り方とデザインで現代的な味わいを
加えているそう。

たとえば、雪球をモチーフとした、
「シュネーバル」。
これも、リリエンベルグに、冬限定の
「シュネーバーレン」がありますね。

マジパン入りのパイ生地の中に、
チョコレート入り。
ロマンティック街道の入り口、ローテンブルグの
名物菓子が、ベースだそうです。

ブラックチョコレートには、スパイシーな風味が感じられ、
質問したら、オレンジ風味をつけている、とのこと。
ホワイトとの2種類です。

プレゼンテーションでも、連邦国家として
発展してきたドイツの歴史。
それにより、諸侯が権力を誇るために、
いわゆる宮廷菓子職人が腕を振るったという
背景についてなど、興味深いお話を伺えました。

・・・うーん、久し振りに、学生時代の講義のような、
ときめきを思い出したなぁ。
ドイツについて、改めて、勉強したくなってきました!