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2013年4月7日(日曜日)
   
<その2>から続きます

ここからは、確かにパティシエの仕事の一つなのですが、もはやその域を超えた?!サレ物編です。

2013年3月31日、ポワソン・ダブリルの4月1日の前日に、第8回「ポワソン・ダブリルと桜の集い」を開催しました。
NHKのEテレ『グレーテルのかまど』で「パリっ子の4月の魚」を特集。この会の様子も紹介していただきます。
4月12日(金) 21:30〜21:55 放映です。

ノリエット

永井シェフは、元々料理人志望でいらしただけあって、サレ物がとても得意でいらっしゃいます。日本トップレベルと言える、トゥレトゥールの充実したパティスリー。
この会でも、最初に、所謂「白身魚のパイ包み焼き」な「ポワソン・アンクルート」を作っていただいた時は、あまりの凝った作りと贅沢な素材使いに驚愕しました!
永井シェフご自身、「ちょっと凝り過ぎたけど、一年に一度くらいはこういうのでお客様に喜んでいただくのもいいかな」とおっしゃる、スペシャルオーダー品です。
思わず白ワインが欲しくなる!
そして今回は、永井シェフが、3.11の震災以来、支援活動のため度々訪れていらっしゃる石巻産のわかめを購入されたものを使っていただきました。
昨年の3月下旬、オーボンヴュータンOBのパティシエチームで石巻に行かれた際、十三浜のわかめ収穫、仕分け、加工作業を手伝われたそう。その時の写真がこちらです。
その後、講習会でも、そちらのわかめを使ったキッシュを教えてくださいました。
ノリエットのキッシュは元々大好きなのですが、茎部分のコリコリ感もたっぷりのわかめ入りキッシュの美味しかったこと!
来年のポワソン・ダブリルはこれだ!とその時から思っていたのです。
白身魚はスズキで、二枚の身でにんじんの薄切りをサンド。
それを包むすり身は、帆立、鱈などに生クリーム、全卵、卵白を入れてパプリカでほんのり色をつけ、いんげんと刻んだわかめを入れています。
全体をほうれん草の葉でくるみ、パイ生地に包んで焼き上げるという手間のかかり方。
さらに、温めてかけるとより美味しくなるという指示付きで、別添のソース・ナンチュワは、永井シェフが経営されているビストロ・ル・プティリュタンで使ったオマールや天使海老の殻から出汁を取ったものという贅沢さ・・(涙)。
もはやパティスリーの域ではない、レストランでいただくような、ポワソン・ダブリルのサレ物です。
香川調理製菓専門学校

現在、香川調理製菓専門学校で教鞭をとっていらっしゃる川内唯之先生が、自家製リエットを炊き、フィユタージュ・ランヴェルセのパイ生地にのせて特別に用意してくださいました。
名付けて「ポワソン・ダブリル・ヴィアンド」。
魚なのに肉を背負っているというジレンマ・・(笑)。

リエットは豚バラと鴨もも肉を刻み、塩、黒胡椒、タイム、ローリエ、生姜、にんにくと日本酒で一晩マリネ。
普通だと白ワインなどを使いそうですが、試してみたところ、日本酒が一番、臭みが取れていい具合になったそうです。
鍋にラードとスライス玉ねぎ、にんじん、マリネ肉を投入して強火で沸かし、油の温度90-95℃で6-7時間煮たものを油と肉に分け、ビーターでほぐした肉に冷めた脂を少しずつ混ぜて作るそうです。

生姜がかなり効いていて、ジャンジャンブラーとしては超好み!
ロボクープなどでなめらかにせず、あえて繊維感を残してあるのもいい感じです。
それを1台に300gも使ってくださったという大サービスです!

パイ生地は「飲み物」みたいに軽い食感を目指したそうで、本当にサクサクハラハラ。
リエットがコッテリ系なので、あくまでそれを主役にすべく、あえて発酵バターなどは使っていないそうです。
見た目の印象よりずっと軽いので、一台食べられてしまいそうなところが恐い・・。

今年も、個性様々なポワソン・ダブリルが勢揃いしました。
あるシェフからは、いずれはフランス大使館での開催を目指すようにという激励もいただきましたが、今後はもっと、作り手のシェフ達にも持ち寄りで参加していただいて、一緒に楽しむ会にしていきたいと考えています。
フランス人の方にも参加していただき、日本から、ポワソン・ダブリルを盛り上げていきたいです。
来年以降も、参加希望の有志、大歓迎です!

※「幸せのケーキ共和国」主催「ポワソンダブリルと桜の集い」、過去の開催についてはこちらでご覧ください。
2006年 第1回の様子はこちら
2007年 第2回の様子はこちら
2008年 第3回の様子はこちら
2009年 第4回の様子はこちら
2010年 第5回の様子はこちら
2011年 第6回は震災支援チャリティーイベントとして開催しました
2012年 第7回の様子はこちら

※このイベントでは、2011年3月11の東日本大震災以来、参加費の一部を被災地支援に寄付しています。
今回は、震災を受けて開始したフレンチシェフ等による炊き出し活動から始まり、福島の子供達への食育・文化交流活動を続けている団体「はっぴーらんちぷろじぇくと」に、参加費合計の約1割に当たる1万円を寄付させていただきました。
「はっぴーらんちぷろじぇくと」公式HP
「はっぴーらんちぷろじぇくと」Facebook
   
<その1>から続きます

2013年3月31日、ポワソン・ダブリルの4月1日の前日に、第8回「ポワソン・ダブリルと桜の集い」を開催しました。
NHKのEテレ『グレーテルのかまど』で「パリっ子の4月の魚」を特集。この会の様子も紹介していただきます。
4月12日(金) 21:30〜21:55 放映です。

アカシエ

興野シェフには、コールマンの発酵バターを使用したフィユタージュをリクエスト。
コールマン社はベルギーのメーカーで、厳選されたクリームから作られるバターファット min.82%を持つ高級発酵バターです。
今年のガレット・デ・ロワでも、このバターを使ったスペシャルバージョンを限定数で出していらしたのですが、それをいただきそびれてしまったので、実は個人的リベンジの意味も込めて。

以前は洋梨のブルダルー風でしたが、今年、ペッシュ・ド・ヴィーニュにリニューアルということで、赤桃のあの酸味と独特のジャキジャキした食感が好きな私としてはたまらないポワソンとなりました!
クレームダマンドを敷いた上にペッシュ・ド・ヴィーニュをキルシュ入りのシロップで1時間ほどマリネしたものをのせて焼きこみ、焼き上がりにアプリコットジャムを艶やかに塗りあげて。
赤桃から出た果汁をクレームダマンドが受け止めて、しっとりするのがポイントです。
パイ生地は確かにバターが豊かに香り、非常にリッチでした。

食べ応えを考えて、以前よりメタボなお魚になった・・というのが興野シェフらしい(笑)。
ブロンディール

過去、サレ物も色々と面白いものを作ってくださいましたが、今回はシュクレ物で依頼。

しっかり焼き込まれた、このお店らしいフィユタージュを飾る鮮やかな赤紫色は、紅玉りんごのスライスをカシスピューレでコンポートしたもの。
そして何と、パイ生地の上にはマロンクリームを敷いてあります。
カシスマロンという、ポワソンダブリルとしては珍しい組み合わせに、参加者の皆様も驚いていらっしゃいました。でも・・これも又ありかも!
かなり酸味が効いたカシスりんごと、フランス製のマロンクリームの甘さの対比にメリハリがあって、とても好評でした!
ウェスティンホテル東京

いつもアイディアに溢れる鈴木一夫シェフは、一体どんなポワソンを作られるのだろう?と今年初めてお願いしました。

意外や意外!なんと、チョコレートタルトバージョンとは・・。
この時期、ヨーロッパでは復活祭・パークと重なり、2013年はまさに3月31日。
魚の形をしたチョコレートは、卵やウサギのチョコレートと同様、パークのアイテムとしてパティスリーやショコラティエに並びます。
これらのモチーフは全て、新たな生命の誕生、多産、子孫繁栄を意味していると言われています。

そんな由来を知った上でなら、これもありかも・・。
パイ生地×カスタード×苺が多いポワソンですが、食べる方が飽きないよう、あえてタルトにしたというのが、鈴木シェフらしい細やかな心配りです。
ビターとミルク、二層のガナッシュ入りで、ミルクとスイートが、口の中で混ざりにくい比率にしてあるというのも、計算された作り。

ガナッシュの間に散りばめられたヘーゼルナッツはごくごく少量の砂糖でキャラメリゼしてあり、カリカリ感がアクセントに。
上には大きなチョコレート細工の魚と、マーブル模様のホワイトチョコレートのフリチュールがのせられています。


ダロワイヨ

ダロワイヨ・ジャポンの店頭で、ポワソンダブリルのお菓子として販売していたサブレ・ポワソンとショコラ・ポワソン。
フランスのお店では、通常、こういうお魚形のチョコレートが、復活祭のお菓子として出ているのです。

チョコレートの魚の中には「フリチュール」(小魚のフライの意)と呼ばれる小型の魚介形チョコレートが。これは小サイズで2個入り。大きなサイズは、もっと沢山のフリチュールが入っていました。

だんだんとバリエーション編になってきましたが・・最後はまた、がらっと趣向の変わったポワソンです。
<その3>に続く

   
2013年3月31日、ポワソン・ダブリルの4月1日の前日に、第8回目となる「ポワソン・ダブリルと桜の集い」を開催できました。
ご参加の皆様、お店の皆様、どうもありがとうございました!

そして、NHKのEテレで放映の『グレーテルのかまど』で「パリっ子の4月の魚」を特集。
この会の様子も取材いただき、ほんの少しですが紹介していただきます。
4月12日(金) 21:30〜21:55

「ポワソン・ダブリル」がメジャーになり、より多くのお店でお菓子が作られ、多くの方に楽しんでいただけたらと願ってこのイベントを起ち上げたのは2006年のこと。
毎年、ポワソン・ダブリルの由来を学びながら、クラシックなスタイルからアレンジバージョンまで、様々なポワソン・ダブリルを皆さんと楽しんでいます。
特注でお願いしたお店の皆様にも、楽しんで作っていただいているようで、嬉しいことです。
ここ数年、ポワソン・ダブリルを作られるお店も次第に増え、今年あたりはだいぶブレイクしている印象。
これからも、新たな参入大歓迎!そしてこの会もぜひ続けていきたいと思います。

今年は、以下の10店・12種のポワソン達が登場しました。

リリエンベルグ
ビゴの店
アステリスク
プレジール
アカシエ
ブロンディール
ウェスティンホテル東京
ダロワイヨ
ノリエット
香川調理製菓専門学校

また、このイベントでは、2011年3月11の東日本大震災以来、参加費の一部を被災地支援に寄付しています。
今回は、震災を受けて開始したフレンチシェフ等による炊き出し活動から始まり、福島の子供達への食育・文化交流活動を続けている団体「はっぴーらんちぷろじぇくと」に、参加費合計の約1割に当たる1万円を寄付させていただきました。

「はっぴーらんちぷろじぇくと」公式HP
「はっぴーらんちぷろじぇくと」Facebook
リリエンベルグ

毎年、通常販売され続けているお店の一つとして、TV取材も入った今回は、原点回帰の意味もあり、改めてお願いしました。
フランスでは本来、4/1のポワソンは「サバ」でしたが、日本では丸い形が作りやすく分けやすいためか「ひらめ」形がメジャーです。
リリエンベルグでは、スタンダードな苺バージョンと、フルーツパージョンのリクエスト可能。大きさも2種類あり、これは大きい方です。
今回はありませんが、過去に「かつお」バージョンでお願いしたことも。
プティガトーサイズも販売されます。

フィユタージュの上に一枚ジェノワーズを敷き、たっぷりめのカスタードクリームと、しっかり味わいと香りが感じられる苺やフルーツがフレッシュです。
ユーモラスな表情とプリプリした唇が可愛い!
ビゴの店

こちらも、毎年、通常販売され続けているお店の一つ。
フィユタージュにクレームダマンド、クレームパティシエールと苺という王道の苺タルトです。
サクッと軽めの香ばしいパイ生地は、バターリッチな菓子店寄りの配合とは異なる、ブーランジェリーならではの気軽な食べやすさ。

フランスでは、4月1日のポワソン・ダブリルというと、背中に魚の形の紙を貼り付けるといったイタズラがおなじみで、上司や先生などに対してもOK。
大企業やマスメディアなどが大々的な嘘をつくこともある日だそう。

そもそも起源をたどると諸説あり、その中でも有力なのは、1564年、フランス国王シャルル九世が1年の始まりを1/1とする新暦を採用し、これに反発して4/1を新年として祝う人々を弾圧処刑したという物語。
人々はこれを忘れないために、その後も4/1を嘘の新年として祝い、贈り物をしたことがポワソン・ダブリルの始まりという説。

なぜそれが「魚」につながるのか?
サバ(maquereau マクロー)はあまり利口ではなく、この時期になると誰でも簡単に釣ることができるから、とかこれまた諸説。

ただ、ポワソン・ダブリルに食べるお菓子というと、現在のフランスでは見かけないというのが、ここ15年以内くらいでフランスで働いていらしたシェフ達に共通する声なのです・・。

藤森シェフにお伺いしたところ、「自分がフランスで働いていた頃にはポワソンダブリルのパイ菓子が作られていた」とのお話。
なぜフランスでは、ポワソン・ダブリルが幻のお菓子となってしまったのか・・。

後にも触れる復活祭・パークと時期が重なることも理由の一つではないかと思っていますが、このあたりは今後、より突き詰めていきたいテーマです。
ちなみに、東京製菓学校の元校長先生でいらした中村勇先生にお伺いしたこともありますが、「僕が修業していたスイスでは見かけなかった」と仰っていました。
アステリスク

和泉シェフへの初ポワソンオーダーとなりました。
ちなみにこの当日は、同じポワソンが限定で店頭でも販売されていたそう。
それはまさに本会の意図するところで、出会った方はラッキーでしたね!

バリッと歯応えよく香ばしく焼き上げられたパイ生地にクレームダマンド、クレームパティシエール。
苺とベリー類がドーム状に盛られていて、ヘーゼルナッツのクランブルがアクセントに。
プレジール

捧シェフが、この当日「プレジール」での最終日となり、独立に向けて新たな一歩を踏み出されることに。
ということで、新たな門出を象徴して苺×桜というテーマをリクエスト。
新潟の越後姫苺&とろとろのやわらかなカスタードに、「桜」は、下に敷いたチェリーのコンフィチュールで表現してくださいました。
スペシャリテのパルファンや、フロマージュキュイ?!とかのポワソンも考えましたが、最終日までにファンの皆様がお店に殺到して、お忙しいだろうなと・・。
また、それらをオーダーするのは、ご自身のお店がオープンされてからの楽しみでいいかなと。ということで、新店「パティスリー ユウ・ササゲ」のポワソン、来年以降、楽しみにしています!

ちなみにこの会は、ちょうど桜の時期と重なるため、「ポワソンダブリルと桜の集い」と称して、桜のお菓子もご用意しているのですが、今回は撮影が入る時間の関係もあって、桜部分は省略。また来年、何か考えたいと思います。

<その2>に続く

※「幸せのケーキ共和国」主催「ポワソンダブリルと桜の集い」、過去の開催についてはこちらでご覧ください。
2006年 第1回の様子はこちら
2007年 第2回の様子はこちら
2008年 第3回の様子はこちら
2009年 第4回の様子はこちら
2010年 第5回の様子はこちら
2011年 第6回は震災支援チャリティーイベントとして開催しました
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