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2010年1月31日(日曜日)
   
1月30日(土)、日経新聞・土曜版『日経PLUS1(プラスワン)』
「なんでもランキング」で、
「大切な人と食べたいチョコレートケーキ」が
テーマとなり、選者としてコメントさせていただきました。

10名の専門家が選んだ総合ランキングは以下のとおり。
1 ジャン=ポール・エヴァン「グアヤキル」
2 ダロワイヨ「オペラ」
3 デメル「ザッハトルテ」
4 オッジ「ショコラ デ ショコラ」
5 トップス「チョコレートケーキ」
6 ベルアメール「ショコラノワール」
7 ヴィタメール「ザッハトルテ」
8 デメル「アンナトルテ」
9 グラマシーニューヨーク「アフロ」
10 シーキューブ「フェリチタ チョッコラータ」

タイムリーに、伊勢丹で開催中の
サロン・デュ・ショコラのセミナーで、
ダロワイヨの回「ガトーオペラの世界」に参加し、
興味深いお話を伺ったところでした。

今回の伊勢丹サロン・デュ・ショコラのテーマは、
昨年10月に開催されたパリのサロン・デュ・ショコラと同じ、
「オペラ」。その初回セミナーにふさわしい内容でしたね。

第8回サロン・デュ・ショコラ前夜祭レポート@伊勢丹新宿店
も公開しています。

これは、前夜祭のセレモニーでパティシエ・ショコラティエ達が
カットした巨大オペラ。
ダロワイヨの歴史は古く、17世紀末のヴェルサイユ宮殿で、
ルイ14世のおかかえパン職人として仕えていた
シャルル・ダロワイヨ氏以来、フランス王家代々の
食膳係をつとめます。
その継承者であるジャン=バティスト・ダロワイヨ氏が
1802年に創業。

オペラは、その歴史の中で、1955年に生まれたお菓子です。
現在のシェフ、ジャン=リュック・マティジャジック氏が、
お話をしてくださいました。

ラルース料理辞典の定義では、3枚のビスキュイジョコンドに
はさまれ、コーヒーのクレームオブール、チョコレートのクリーム、
表面にグラッサージュ・ショコラ。
考案したのは、当時のシェフだった
Cyriaque Gavillon シリアック・ガビヨン氏。
この方は、父はロンドンのホテル・リッツで指揮を取っていた
というパティシエ家系生まれ。
現在のダロワイヨの社長さんは、この方の孫娘さんだそうです。

オペラの特徴は、一口でケーキ全体の風味が分かること。
彼の妻、アンドレー・ガビヨンが名前をつけたそうですが、
マティジャック氏がおっしゃるには、平らな形が
オペラ座の舞台を思わせたことから、と。
でも、そのあたりも諸説あるようです。

年間70万台(そのうちフランスは10万台)が
売れるという、看板商品だそう。
ビスキュイ・ジョコンドのアーモンドはスペイン産。
コーヒーシロップにお酒は使っていません。
当時のデコラティブなガトーに対して、シックで
上に何ものっていないようなデザインは革新的でした。
粉を使わないビスキュイ・ジョコンドも新しかった。

それでもさらに、時代を経て変化してきています。
まず1970年代に糖分をぐっと抑えたということ。
市場ニーズに応えたということですね。

1970年代といえば、ヌーヴェル・パティスリーの
流行に当たりますものね。
より軽く、より甘さを控えた菓子が支持されていったのですね。

たとえば、オペラには使われていませんが、
1970年代のダロワイヨでは、クレームシャンティーの
配合に生クリーム1Lに対して160gの砂糖を
加えていたものが、現在は砂糖40gに減らしているとか。

また、昔はカカオ分55%のチョコレートを使っていた
そうですが、現在はベネズエラ産70%を
使っており、コーヒーもイタリアンローストの
香りの高いものに変えた、とのこと。

考案当初のものは、細いコルネで「Opera」と
線描きしていましたが、デコレーションも、
より現代的にシンプルになっていきました。
1972年、1980年、1998年と順を追って紹介する写真。
今は、コルネ絞りの装飾が無くなり、四角い金箔を
のせただけの、かなりモダンでシンプルなデザインに。
2005年の50周年に登場したのが、
ピンク色のグラッサージュが斬新な「オペラ・ロック」。
フランボワーズピューレのシロップでアンビベし、
クレーム・オ・ブール・キャラメルをサンド。

いただきましたねー。
幸せのケーキ共和国で開催した食べ比べ「オペラの会」で、
定番のオペラとともに・・。

ちなみに、日本にダロワイヨが出店したのは1982年。
2007年には、上陸25年を記念して銀座店の改装もあり、
写真のように、銀座の街並みをイメージした
スペシャルデコレーションのオペラも登場したそうです。

2010年の今年は、オペラ誕生55周年。
それを記念して、「白いオペラ」こと、
オペラ・ヴァンディスが誕生しました。
ヴァンディスは「20・10」のフランス語読み。

ビスキュイジョコンドの間に、キャラメル風味のシロップを打ち、
ジャンドゥージャで香り付けしたバタークリームと、
ノーマルなガナッシュをサンド。
上にはショコラブランのグラッサージュ。

やさしい甘さのオペラです。
マティジャジック氏いわく、今の30代は
「ミルキーウェイ」の世代だそうで、子供の頃から
ボンボンのような甘いケーキを食べ慣れているので、
甘いものを好む傾向がある。その味覚に合わせたのだとか。

オペラ・ロックも、現在は通常販売していないのですが、
このサロン・デュ・ショコラ会場では、定番、ヴァンディスと
あわせて、3色のオペラを揃えて販売しています。
気になっていたことをいくつか質問できました。

オペラではないですが、ダロワイヨのマカロンの作り方も
時代とともに変化したのか?
たとえば、フレンチメレンゲからイタメレへとか。
それについては、曰く、イタメレの方が形が綺麗に出やすく
比較的簡単だけれど、固くなりやすいので、
ダロワイヨでは昔からフレンチメレンゲで作っている、とのこと。

そして、オペラの金箔について。
これは、オペラ座の屋根の上のアポロン像が持つ
金の竪琴をイメージしている、と聞いたことがあるのですが、
それは本当ですか?と。

昔、楽天のダロワイヨのHPにそう説明があって、
そうなんだーと思いつつ、どうも諸説あるようなので、
伺ってみたかったのです。

マティジャジック氏がおっしゃるには、
自分はその話は初めて聞いた。
自分は、オペラ座の柱の中に、金の正方形が
埋め込まれたものがいくつかあり、それを意味していると
考えている、とのこと。

あ、なるほど、と思ったのです。
その話を、フランスのダロワイヨでも働いたことがある
テオブロマの土屋シェフにしたところ、
「別のシェフに聞いたら、きっと別のことを言うと思うよ。」と。

そうですね。
たとえば、パスカル・ニオーさんにもお話を伺ってみたい。
それぞれにとって、それぞれのオペラの由来があるのですね。

事実と史実、ということがあります。
歴史には、絶対的な事実、というのが多分あるのですが、
それは見る人によって違った見え方をするため、
1つに絞ることができないのです。
史実、というのは、史料に基づいてある見地から
見られた事実です。

私が大学時代、史学専攻に進むに大きく影響を受けた
高校時代の恩師は、卒業時に色紙を持ってきなさいと
告げ、言われるままに買って持っていくと、
「鉄の靴を履き、炎の翼を広げよ」と書いて渡してくださった。
歴史家は、重く渦巻く史料の泥沼に足を踏ん張りつつ、
ひたすら地道にそこに埋もれながら、
同時に高く天に向かうための翼を持ち続けよ、と。

歴史を学ぶ人間は、史料から言えること以上のことを
憶測や主観を交えて言うことができません。
仮説を検証する証拠が必要なのです。
それは科学です。

そういうことが胸によみがえったのでした。

そしてもう1つ。
マティジャジック氏は、オペラはフランスの製菓学校でも
教えられる伝統のある古典菓子になっている、と
おっしゃいました。
古典はクラッシック。伝統はトラディショナル。
微妙なニュアンスのわかる語学能力が必要・・。

1955年に誕生したオペラというのは、
比較的新しい菓子と考えることもできると思う。
オペラは果たして、伝統菓子、古典菓子と
言えるのでしょうか?と。

マティジャジック氏曰く、たしかに、オペラは
比較的モダンな菓子だと。
けれど、それが広く受け入れられて、だんだんと
歴史を重ねていっているのは、オペラが今、伝統菓子、
古典菓子になっていっているということだと思います、と。

土屋シェフにそのお話もしたところ、
「これが古典でこれが伝統菓子とか、カテゴリーを作って
無理に分けようとするから、難しいことになるんだよ」
と。確かに、それはおっしゃるとおりかも・・・。

古典菓子と伝統菓子という言葉もきちんと
使い分けないと、ということを、河田シェフなどは
おっしゃって、そのことがよく気になるのですが、
それは、枠に当てはめて分類せよということとは違って、
その歴史的背景をきちんと知る、という
意味なのかなと思います。

「オペラ」という名称を独占しなかったおかげで、
このお菓子が他店や海外にも広まっていったのは、
ダロワイヨの功績かも知れない。
先日レストラン「ランベリー」でいただいた、
オペラの現代版再構築アレンジの
アシェット・デセールも素敵だった。
もっとも、昔は今ほど、商標登録とかの権利意識が
薄かったのかも知れないけれど・・。

そんな様々のことに思いをめぐらせたセミナーでした。

がしかしその後ほどなく、ある店で、パリのオペラ座近くの
ホテルで300年以上前に作られていたという「オペラ」の
ルセットを継承したオペラ、というガトーに出会う機会があり。

300年前って・・・?!
しかもその構成が、ビスキュイジョコンド3枚、
クレーム・オ・ブール・カフェ、ガナッシュに
表面グラッサージュと、ダロワイヨのオペラと
基本変わらないのです。

ただ、名物にはありがちな話です。
そして、実際のところ、元祖と言われるものは
結構同時期に多発していたりして、本当のところを
証拠立てて調べるのは、かなり難しいことが多い。
ザッハトルテにも、ホテル・ザッハーとデメルとの
「甘い7年戦争」と言われる元祖争いのエピソードが
ありますね。

今、そのホテルはもうパリに無いそうですが、
そのオペラを継承したお菓子屋さんというのは現存し、
日本人のパティシエにも、何人かそこで修行された方が
いらっしゃることがわかっています。
・・・ヒアリングして回るか。と思う今日この頃。
オペラの旅は続きます。
2010年1月25日(月曜日)
   
2010年の2月14日バレンタインは日曜日。
巣籠もり消費傾向の中、
「おうちで楽しむバレンタイン」提案が、
今年顕著な1つの傾向です。

「家飲み」支持もあり、例年以上に、
チョコレートとお酒のマリアージュを、
おうちでゆったりとくつろぎながら楽しもうという
コンセプトの商品も増えています。

これは、1月13日に発売された
サッポロビール×ロイズコンフェクトの
コラボによる「ショコラブルワリー」記者発表会で
コメントさせていただいた時の写真。
詳しくはこちらでレポートしています。

両社は北海道創業の企業同士ということで、
ご当地つながりコラボなのですね。

後方に映っているのは、原材料に使われている
チョコレート麦芽(左)。
チョコレート色になるまで焙煎し、チョコレートを
思わせる甘い香りがします。

今年は昨年ネット限定だった「ビター」を
店頭販売する一方、ネット限定で「スイート」を
新たに発売しました。

厚木の地ビールメーカー「サンクトガーレン」も、
「インペリアルチョコレートスタウト」と
「パティスリータダシヤナギ」のショコラとの
コラボギフトを展開中。

こちらも地元同士ですね。
そういうのって「縁」を感じさせて何となく好きです。
料理通信2月号で企画されていた、
若手パティシエ6人のスイーツとシングルモルトの
マリアージュも面白いなと。

「2010 MALT×CHOCOLAT&SWEETS」。
私も早速、いくつかのスイーツをいただきにいき、
こちらでレポートしています。

期間:1月6日(水)〜2月5日(金)
以下の4店舗でシングルモルトに合わせて作った
オリジナルスイーツを発売中。

「ブノワ東京」
山崎12年×ムース・ショコラ・オ・キャラメル

「ドゥーパティスリーカフェ」
ラフロイグ10年×シブースト・ポム・キャラメル
白州12年×サバランショコラ

「パティスリー雪乃下」
ザ・マッカラン12年×マカロン・チャイ
グレン・フィディック12年×ケーク・フィディック

「アグネスホテル東京 ル・コワンヴェール」
ボウモア12年×ガトー・フロマージュ・フュメ
山崎12年×タルト・キャラメル・メゾン

写真はドゥーパティスリーカフェにて。
合わせることをイメージするだけでなく、
実際にスイーツにもばんばんそのお酒を使っていて、
個性が際立っています。
ル・コワンヴェールの桜のチップで燻製した
チーズケーキも個性的で面白かったです。
菓子業界でも、一時、お酒を使わない風潮というのが
かなり広まっていたと思うのですが、ここ最近、
揺り戻しというか、回帰傾向が見られるという話を聞きます。

内海会で洋酒を使った製品の講習会を企画された際も、
会長の横田シェフがそのようにおっしゃっていました。
ご自身も、かつてホテル時代に高級なお酒を
使ったお菓子をどんどん作っていて、そこから一時
ぱたっと離れて、でも最近また、必要なところに
必要なお酒を使うことで、より美味しくなる
ということを感じている、と。

三越バレンタインフェア限定の
「ルレ・デセール」アソートボックスも、
今年のテーマは「リキュール」。

7粒のボンボンショコラの中身は、
ワイン用の葡萄から作られたブランデー、
アブサン、コクリコリキュール、ウィスキー、
キャラメルシャンパーニュ、
ラム酒&グランマルニエ、カルバドス&ミルクキャラメル、
といったものだそうです。

ひなげし模様のものがコクリコで
ルレ・デセール会長のフレデリック・カッセル氏。
ココアパウダーをまぶしたトリュフ形のものが
福岡「ジャック」大塚良成氏、
キャラメル色のトリュフが
「エーグルドゥース」寺井則彦氏、
白いキラキラした砂糖がまぶしてあるトリュフが
「オーバーワイズ」(三越はこの表記。でも伊勢丹が
オーバーバイスだから統一したいですね・・。)
右上に小さな赤黄の点が打ってあるのが
ローラン・デュシェーヌ氏。
長方形が「パティスリー・ヴェルニュ」エリック・ヴェルニュ氏、

想像していた以上にお酒がしっかり効いています。
コクリコとかアブサンとか、結構個性の強いお酒なので、
日本人にとってどうなのか?というのは興味深いところです。

店頭購入は、日本橋三越が2/3〜2/15、
銀座三越が2/2〜2/14です。
2010年1月24日(日曜日)
[ 01:07 ] [ ノンジャンル ]
   
駒沢のラ・ターブル・ド・コンマに伺う機会がありました。
かつて、オ・グルニエ・ドールで手にした、
『魂の伝承』が愛読書の1つである身としては、
小峰シェフのお料理は、はるか遅まきながらぜひ食べてみたく。
写真はありません。この会食は、そういう雰囲気の会であったため。

訳本が絶版になっているアラン・シャペル氏の著書
『ルセットをこえるもの』は、やはり入手せねばならない・・。

山本益博さんから、今年はアラン・シャペル氏の
没後20年にあたり、彼のもとで学んだシェフ達と一緒に、
何か記念の行事をやりたいと考えているというお話を伺いました。

1988年に、有楽町アピシウスで開催されたという、
ジョエル・ロブション氏とアラン・シャペル氏の
トリュフ尽くしのディナー競演のお話を引きつつ、
お二人は、全く正反対の個性をもった料理人だったと、
益博さんは語られます。
その晩餐会については益博さんのブログに詳しく。

益博さんがリヨン郊外ミヨネ村のアラン・シャペルの店に
よくいらしていた頃は、ちょうど、西原金蔵シェフが
デセールを作っていらしたそうです。

これはご自身も聞いた話、とのことですが、
予約していたあるカップルから夜22時頃に電話があり、
飛行機の遅れで、リヨンへの到着が遅くなってしまった。
食事は諦めるが、必ず泊まりには行くからという内容。

その夜、スタッフを全員帰した後、西原シェフだけが、
シャペル氏に残されて、何故だろう?と思っていたら、
夜中の12時頃に到着したその二人のために、
シャペル氏はそれから自ら腕を振るい、
デセールは西原シェフが作られたのだそうです。
シャペルはそういう人、と益博さんはおっしゃいます。

なんだかとても、京都と宇都宮に行きたくなりました。

水尾の柚子ショコラをいただかねば・・。
2010年1月11日(月曜日)
   
<その1>から続きます。

<Poisson> 和歌山産・桝井ドーフィン
いとより鯛の温製サラダ仕立て“いちじくのヴィネグレット”ソースで

メインディッシュはお魚。
あれ?ここにはいちじくが無いんじゃないの、と
一見思うかも知れませんが。

ピンク色の身に金色の筋の入った、いとより鯛の
色彩に添わせたような、いちじくのヴィネグレットの
やさしい淡紅色。

これは、フォアグラの時にできたいちじくのコンポートの汁に、
フレッシュのいちじくと、シェリービネガー、
エクストラバージンオリーブオイルを加えてのばしたもの。

いちじく尽くしといっても、何から何まで前面に出す
のではなくて、こうやって陰で支える存在にしたり、
メリハリのあるコース構成は、さすが曽村シェフです。



<Dessert> 出雲産・蓬莱柿
いちじくと“ロゼアンジュ”のジュレ バニラ風味

そしてこれがデザート。
フランス・アンジュ地方のロゼワインを使ったジュレ。
フレッシュチーズのデザート、「クレメ・ダンジュ」で
知られる地方ですね。

このいちじくは、火を入れて温製にするよりも、
手を加えすぎないよう、冷製にすることにしたという
曽村シェフ。
それだけ、単体で完成されたいちじくだと思われたそうです。

添えられたのは太いバニラの鞘。
アイスにもバニラビーンズの粒々が見えています。

外縁ぎりぎりまでプチプチが迫っているので、
ふわっとしたその中身の食感を存分に満喫できる
蓬莱柿も魅力。
でも、ドーフィンのつるんとした皮部分とプチプチとが
口の中で溶け合うところも、なんとも言えません。

こんなに美味しいいちじくには、これまで、
なかなか出会えませんでした。
もちろん、あえて料理に使わなくても、生食で充分に
美味しくいただけるものだと思いますが・・。

曽村シェフが、そんな素材を見事に活かしてくださって、
いちじくって、こんな組み合わせがいいんだ!
こんな魅力もあったんだ!という、再発見となりました。
今回もどうもありがとうございました!
そして・・いちじく話には、続きがあるのです。

同じ10月の下旬、博多を訪れました。
博多で、いつも美味しいお料理を食べさせてくださる、
レストラン・クレガの小野シェフと再会。

小野シェフがいつも素材を仕入れに出かける、
糸島方面への買出しに、一緒に連れていっていただきました。

すごい広さに圧倒された、JA糸島の直売所
「伊都彩々」で出会った・・
地場産のいちじく品種「とよみつひめ」です!

福岡県で生まれた新しい品種で、糖度が
16〜17度にもなる甘みの強さが特長。
2006年に品種登録された、比較的新しい品種です。
わぁ食べたい!と、早速1パック購入。
「レストラン・クレガ」でカットしていただいた、
とよみつひめ。

赤紫色の果皮は、やや厚めだったので、
剥いてくださいました。
中の果肉というか花の部分の身詰まりもよく、
綺麗な赤色。何より甘くてジューシー。

最近は、都内の百貨店にもお目見えしています。

ちなみに、11月に「愛媛スイーツコンテスト」で
訪問した愛媛県・松山。

グランドハイアット東京ご出身の鎌田琢弥シェフのお店、
「パティスリー ルフラン・ルフラン」さんで出会ったのは、
断面が特徴的なので見るとすぐわかる。
「蓬莱柿」を薄くスライスして一杯にのせた
ホールのタルトでした。

愛媛県では、いちじくというと、「蓬莱柿」が多いと、
県庁の方がおっしゃっていました。
やっぱり、西日本での栽培が多いのかな。
そして、博多からの帰宅日に「フランス菓子16区」を
訪ねたら、すごい、「とよみつひめ」祭りだ!
という感じで、ショートケーキやミルフィーユなど、
とよみつひめを使った生ケーキが幾種類も並んでいました。

どうしよう・・と迷った末に、焼き菓子ならば、
16区ファンの友人達にも分けることができるので、
「キュイッソン・フィグ」を家まで持ち帰ることに。

結構な箱の大きさで、さらに、ぎりぎり時期に間に合った
ぶどうの焼きタルト、タルト・ボルドレーズの小さいのも、
つい5個も買っちゃって、
他にもキャラメランジュやらジャックやら
アルデュールやらのお菓子と合わせて、
やっぱり大荷物になりましたが・・。

帰宅したその日のうちに、待ちきれなかった!
とばかり即味見。おぉ、美味しいっっ!!

カットしたとよみつひめを上に並べただけと思いきや、
実は、クレームダマンドの中にも、大きくカットされて
焼きこまれた、ちょっとセミドライチックになった
とよみつひめが隠れていて、アーモンドクリームと
プチプチしたいちじくの食感が一つになって・・。
予想以上に、いちじく尽くしでした。

塩味のブリゼ生地と、とよみつひめの甘さとの
対比が素晴らしい!

これはすぐに配らねば!とカットして包んで、
翌日に友人達のもとへ行き渡ったのでした。

タルト・ボルドレーズの、信じられないくらいの
ジューシーさにもやられました・・。
前に一度、大サイズを取り寄せたことがありましたが、
小さくてもじゅわっとフレッシュ。
焼きたてはこんなに美味しかったのか・・!と感動。

焼き菓子がこんなにみずみずしいなんて、
目からウロコですね。

やっぱり、地元産のフルーツを使ったお菓子は、
格別に美味しくていとおしいです。
日本全国、というか世界各地、どこへ行っても探してしまいます。

今年も、できるだけ産地を見て歩いて回って、
その様子や、そこで作られているものの美味しさを
伝えられたら、と思っています。
B食店情報
・店名 : フランス菓子16区(ふらんすがしじゅうろっく)
・ジャンル : スイーツ-洋菓子
・住所 : 福岡県福岡市中央区薬院4-20-10
・TEL : 092-531-3011
・URL : http://www.16ku.jp/
・営業時間 : 9:00-20:00
・定休日 : 月曜(祝日の場合翌日)
・最寄り駅 : 地下鉄・薬院大通
・キーワード : 三嶋隆夫シェフによる本格的なフランス菓子/「ダックワーズ」を生み出した店/マロンパイ&ブルーベリーパイが人気
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2010年1月10日(日曜日)
[ 09:07 ] [ フルーツランチ ]
   
すっかり季節外れになってしまいましたが、
2009年10月3日、通算第8回となる
「産地直送フルーツで特別ランチ講座」にて、
「とろける完熟、いちじく尽くしのランチコース」を開催。

今回も、いつもお世話になっている「アタゴール」の
曽村譲司シェフにお願いしました。
いちじくは、2品種に絞りました。

「桝井ドーフィン」(写真左)
明治42 年に広島県の種苗業者、桝井光次郎氏が
カリフォルニア州から導入。
大粒で採集期間が長く、成熟しても裂果が少なく
輸送性に富むことから、現在、日本で約8割を占める
主要品種となっている。

生産者は、柑橘のフルーツランチの際にお世話になった
和歌山県「観音山フルーツガーデン」の児玉さんの
ご親戚である西谷さん。
樹上で完熟させるため、予約状況とかねあわせて出荷を
調整されていて、今回もかなり綿密に何度もやりとりさせて
いただきました。

「蓬莱柿」(写真右)
ポルトガル人によって寛永年間(1624〜1644)に
伝えられた在来種。別名、日本種、唐柿(とうがき)。
耐寒性があるため東北地方でも植栽されるが、
南は九州・四国地方と広く分布しており、
桝井ドーフィンに次いで約2 割をこの種が占める。
甘みが強くて美味しい品種だが、熟すと先端が
大きく開いてしまうため、輸送に適さないこともあり
市場へはあまり出回らない。

こちらは、JA全農しまねからです。
有名な産地の1つである、多岐のいちじく。
こちらも着日指定不可能だったのを、なんとか調整・・。
食べ頃イチジクを入手するのは、とてもデリケートな課題です。

他にも最近は、こんな品種が出てきています。

「ビオレ・ソリエス」
フランスなどヨーロッパでよく見られる、
いわゆる「黒いちじく」と呼ばれる黒皮・赤果肉品種。
小振りで実付きが良く、甘みも強い。
日本では、佐渡、佐賀などに栽培者がいる。

「ザ・キング」
7月頃から収穫できる夏いちじく。
熟しても緑色で、糖度が高く、果肉がやわらかく、
皮まで食べることができる。
メニューは以下のとおり。今回も素晴らしい・・と感激を禁じえず。

<Amuse> 出雲産・蓬莱柿
鴨とフォアグラのリエット“フレッシュ いちじく”添え

<H.O.V. froid> 和歌山産・桝井ドーフィン
えぞしかのカルパッチョ “いちじくのキャラメリゼ”と

<H.O.V. chaud> 和歌山産・桝井ドーフィン
トルセ フォアグラの温製
“いちじくのコンポート添え”“いちじく風味のヴィンコットソース”

<Granite> 和歌山産・桝井ドーフィン、出雲産・蓬莱柿
いちじくのグラニテ

<Poisson> 和歌山産・桝井ドーフィン
いとより鯛の温製サラダ仕立て“いちじくのヴィネグレット”ソースで

<Dessert> 出雲産・蓬莱柿
いちじくと“ロゼアンジュ”のジュレ バニラ風味

Pain,caffe

アミューズのリエットは、アタゴールではおなじみで、
これがあるとパンがやめられない止まらない・・という
怖くて美味なる一品ですが、今回は、
フォアグラを採るために肥育されることで知られる
バルバリー種の鴨とフォアグラベースに、カットした蓬莱柿。

コクのあるリエットにいちじくの甘み。
それでなくともベストマッチなのに加えて、
添えられたパンも、レーズン&くるみ入りで、
どれだけ相性がいいんだ!と拍手喝采したくなります。

ベルベンヌの葉を添えているのは、
南イタリアあたりで、いちじくと生ハムにミントを
添えて出すようなイメージで、とのこと。

曽村シェフの印象では、蓬莱柿は、
中の赤色が美しくて鮮やか。周囲の皮が薄く繊細。
先が割れて、中の方に空洞ができているものも
あったけれど、身詰まりがよかったそうです。
<H.O.V. froid> 和歌山産・桝井ドーフィン
えぞしかのカルパッチョ “いちじくのキャラメリゼ”と

冷たい前菜。
アタゴールといえばジビエ、と。
あれ?でもエゾシカの狩猟解禁が10月下旬だったなら、
10月初めだと、飼育されたものと考えてよいのだろうか。

脂肪の少ない赤身の肉がいちじくカラーとあいまって、
とても綺麗です。

野生のルッコラ・セルバチコと、ぶどうの葉の塩漬け、
くるみを添えて。
白いソースは、にんにく風味のチーズ、ブルサン・アイユを
使ったものです。
いちじくの甘みとの対比となる塩味のキレをプラス。

大きないちじくは、キャラメリゼしたもの。
といっても、フライパンでソテーといった感じではなく、
表面に赤砂糖を振ってあぶっただけで、いちじくの
フレッシュ感を生かした調理法です。

一方、小さないちじくは、トルコ産のドライいちじくを
ポートワインでコンポートしたもの。

このドーフィン、
「普段、一番よく見かけるいちじくですよね?
こんなに美味しいなんて?!」と、大絶賛を浴びました。

樹上完熟ならではの、素晴らしい甘みとみずみずしさ。
農産物は、品種の特性もさることながら、やはり
生産者によって全然違うのです。
<H.O.V. chaud> 和歌山産・桝井ドーフィン
トルセ フォアグラの温製
“いちじくのコンポート添え”“いちじく風味のヴィンコットソース”

こちらはグラス入りの、温かい前菜。
フォアグラといちじくの最強コンビ。

トルセとは紙包みのことで、
フォアグラ本来の形が残るように、
真空パックにせず紙で包んだものです。

コンポートは、いちじくそのものにしっかりと甘みがあるので、
できるだけ砂糖は使わずに、白ワインの酸味を加えて。
隠し味に使っているスパイスとして、
シナモンスティックとカルダモンを添えてくださいました。
この大きなシナモンに、びっくりする方続出。
<Granite> 和歌山産・桝井ドーフィン、出雲産・蓬莱柿
いちじくのグラニテ

なんて美しい!!

濃厚なフォアグラの後にぴったりの、口直しのグラニテ。
グラニテ部分に桝井ドーフィンを使い、
上にのっているのが、華やかな断面の赤色を
生かした蓬莱柿。

本来、2カットのっていたのですが、
中のグラニテも、あんまり綺麗な色だったので、
1ついただいて、見えるようにして撮影。

赤いグラニテの中にも、いちじくのプチプチが
見え隠れしているのがわかるでしょうか?

お皿に添えられているのは、やっぱり隠し味として
使われたスパイス。クローブと八角ですね。

イメージは北アフリカ風、なんだそう。
北アフリカに、こういったスパイスでクスクスと一緒に
いちじくを煮る料理があるので、試作してくださったそうですが、
結局、この形になったのだと。

曽村シェフは、ヨーロッパはもちろん、アジアや
各国料理にお詳しいので、引き出しが
多彩でいらして、面白いものを作られます。
オリエント急行で腕を振るっていた当時など、
スタッフが多国籍だったから、色々教えてもらった、
とよくおっしゃいます。

<その2>&福岡編に続きます。
B食店情報
・店名 : A ta gueule(アタゴール)(あたごーる)
・ジャンル : 欧風料理-フレンチ
・住所 : 東京都江東区木場3-19-8
・TEL : 03-5809-9799
・URL : http://www.atagueule.com/index.html
・営業時間 : ランチ  11:30〜13:30(LO) ディナー 17:30〜21:30(LO)
・定休日 : 火曜定休
・最寄り駅 : 東西線木場駅3番出口を出て左の交差点(木場五丁目交差点)を左に曲がり直進します。左手に見える青とベージュの寝台車が目印です。向か
・キーワード : オーナーシェフ曽村譲司・しっかりフレンチ・鎌倉野菜・イベリコ豚・オリエントエクスプレス・在ベルギー大使館公邸料理人/2012.2月に恵比寿から木場に移転
・友人・同僚 / デート / 接待 / 一人
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