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2009年1月31日(土曜日)
[ 09:34 ] [ 取材 ]
   
秋田に到着した日は、この時期にしてはめずらしく穏やかな天気で、まるで春の訪れを感じせるような気候だった。しかし、その天気も2日目の夕方から急変し、夜半から雪が降り始めた。不思議なことに、雪の降った朝は、その様子を見なくともどれぐらい積もっているのかなんとなくわかってしまう。秋田を離れて何年も経ているのに、この感覚は自分の体にしっかりと記憶されている。雪の降った朝は、すべてが静かで、物音の伝わり方が全く違うのである。さらに雪の量が多いと、家の前から除雪車が出動するので、地響きのような轟音で眠りを遮断される。その時の時間を見ることで、積雪量が想像できる。時間が早ければ早いほど積雪が多いのだ。夜中の2時頃から出動されると、睡眠不足になるだけではなく、朝になって玄関の戸を開けるのが恐ろしい。
父親の雪かきの音で目が覚めたこの日の朝は積雪20cmぐらい。朝食を済ませ、久々の雪道の運転に少し緊張気味。今回は、秋田県羽後町で行われる「伝統食を楽しむ会」の取材に訪れるために、車で峠を2つ越えて山奥の村に。子供のころに一度訪れたことがあるのだが、普段の自分たちの生活とは全く異なり、時代劇でみる昔にトリップしたような場所だったことを覚えている。そのような山村にあった豪農の館「長谷山邸」が、雪の中に顔を出していた。明治の時代に建てられたものらしいが、山の中にこのような建物があるのがとても不思議である。やはり、一瞬時間を忘れてしまうような世界である。
母屋と土蔵の二つの建物から構成されているのだが、本体の母屋は、厩中門造りで平面がL型で、手前に作業スペースのような土間が広がっており、広さにしたら30畳ぐらいであろうか?座敷も神棚と仏壇を囲むようにL字になっており、約40畳ぐらいの広さである。この他に、納戸、板の間、調理場などがあり、さらに2階にも座敷がある。蔵への連絡も高床の渡り廊下があり、3階建ての土蔵づくりの蔵座敷になっている。土蔵には昔の甲冑や籠(お殿様用)など、珍しいものが数々。さらに輪島塗の漆器、様々な文献が残されている。
これでも、長谷山家に伝わるお宝は、ほとんどなくなってしまったらしい。金目のものはどんどん処分され、残るは博物館行きのものとか、価値のわからない人には紙切れ同然の文献。しかし、この文献の中に、200年前の料理レシピが発見され、「伝統食を楽しむ会」では、これらの料理の再現をしている。しかしながら、昔の食材など、今ではなかなか手に入らぬものが多々あり再現は容易ではない。地元の皆さんの協力をもとに、この文化を残そうという動きが数年前から始まった。

こちらも一晩で50cmの積雪があったのだが、薄日さす柔らかな天気で、雪の中の煌々とした景色は、ほんのりとした優しさと厳しい冬の中に一時の安堵を与えてくれた。履物を脱ぎ座敷に進むと、こちらも囲炉裏の炭火が皓皓と輝いていた。外の光とは対照的に温かみのある安らぎが我々の到着をもてなす。囲炉裏の向こうには、すでに配膳の準備がなされ、まもなくの会の始まりを予感させてくれた。
2009年1月29日(木曜日)
[ 15:53 ] [ 発酵食品 ]
   
皆さんは「寒麹」(かんこうじ)ってご存知でしょうか?

麹を使ったものの代表と言えば、酒、味噌、醤油などがありますが、秋田県南部地域は、米どころで、昔から麹文化が発展していて、このような発酵食品が盛んに作られていました。ベースになる麹も「麹屋」さんがあちらこちらにあり、手軽に手に入れることができたのも、発展を加速した理由かもしれません。

今回の秋田取材の目的は、この麹を作って作る「寒麹」を勉強するためです。「寒麹」は漬物の素として、県南部では、わりとどこの家庭でもつかっているものです。使用方法はとても簡単で、洗った野菜に塗ってビニール袋に入れておくだけで、おいしい漬物ができてしまう不思議なものなのです。

今回は、とてもベーシックな「寒麹」の作り方を紹介します。
用意するものは、米1升、米麹1kg、塩3カップだけ。
まずは、米1升を研いで固めに炊きます。



米麹は、米に麹菌をつけて乾燥させたもの。
これは炊く必要はありません。
温度を上げないと発酵を開始しませんが、ごはんの余熱で少し刺激して眼を覚まさせます。

米麹1kgと塩3カップを予め混ぜ合わせ、パラパラにしておきます。

作業用の桶(中)と漬込用の桶(大)の二つを用意しておき、熱湯で殺菌してから、アルコールで消毒して乾燥させておきます。

作業用の桶(中)に、炊いて粗熱をとったご飯の半分(5合分)と、米麹と塩を混ぜ合わせたもの半分を入れてよくかき混ぜます。目的はご飯に塩と米麹がうまく混ぜ合わせ、なるべく均一に発酵できる環境を作ってあげることです。ご飯をつぶしてしまうと、発酵の促進に影響しますので、なるべくつぶさないように混ぜます。ちょうど、寿司飯を作るような要領で。良く混ざり合ったら、中身を漬込用の桶(大)に移します。

同じ要領で、残り半分もまぜあわせ、最終的にすべての材料を漬込用の桶(大)に入れます。

最後に大き目のビニールを上からかぶせ、手で表面を平らにします。さらに、新聞紙をかぶせて紐で縛っておきます。

そして、そのまま待つこと1年(ひとむ家の場合)
日が当たらず、比較的涼しい場所においておきます。この寒い時期に仕込むので「寒麹」と呼ばれるらしいのですが、麹をゆっくりと温度を上げて発酵させるのが狙いです。急激な発酵では、米のでんぷんも旨く分解されず、甘みも出ません。自然な温度上昇で、麹菌の体力をつけてあげて、たくましく育ててあげるのです。ひと夏を越したあたりから、米粒が熔けて、どろどろしてきます。こうしてできた寒麹は、比較的もちが良くて腐りません。

「寒麹」は、一度作ってしまえば、ぬかみそのようにかき混ぜる必要もなく、ただ塗るだけで美味しい漬物ができてしまう不思議な「物体」です。
2009年1月22日(木曜日)
[ 03:50 ] [ 人夢の料理 ]
   
前回も紹介した「こまち麺」

秋田の漬けものを使ってつくった、「こまち雅香麺」(がっこめん)です。燻りガッコ、芭蕉漬け、刻み漬けです。セリと油揚げも。お出汁は鶏出汁としょっつるです。少し香辛料も利かしてさっぱりお茶漬け感覚でいただけます。漬物入り麺って面白いでしょう?
こちらは、稲庭うどんの真髄で紹介した「佐藤養悦本舗」の「稲庭”生”うどん」をベースに、地鶏出汁にレンコン、ゴボウ、セリ、油揚げなどを入れて煮込んであんかけにした「稲庭あんかけうどん」。きりたんぽの味わいをイメージして作った素朴な風味です。あんがポイントで、うどんとよく絡み合って、するすると食べると身体があったまっていきます。

どちらも、雪深い秋田で作られている麺ですが、それぞれの特徴を活かしてメニューを考えました。このメニューで秋田を代表する二つの麺を東京でも紹介するイベントを企画中です。試食会のために、これから秋田に行ってきます。
2009年1月21日(水曜日)
   
これは、なんでせう?
これをあてたあなたは、かなりの「通」です(笑)。
正解は「丹波芋」でした。
先日知人から頂いたのですが、半分に割ってみると、中は真白。

あたり鉢でゆっくりとあたる。
ふつうは、お出汁と醤油をいれてるのだけれど、
ひとむは魚の煮汁をいれるのが好き。
魚臭くなく、少し甘めにして、塩っ気がたりなかったら、醤油をたらす。


自然薯のような強い粘り。
この芋を使った和菓子「そばつくね」というのがあるらしい。上用饅頭の材料に使うらしいが、ひとむの場合は、これを、、、、、


炊き立てご飯にのせ、栄養たっぷりのとろろ飯のできあがり。
口がかゆくならないように、口の周りにとろろをつけないように食べるのがむずかしい(笑)。
2009年1月18日(日曜日)
[ 10:18 ] [ 人夢の料理 ]
   
先日「亀の尾のリゾット」を記事にしたところ、「パエリア」もウマいよ!とご助言をいただいたので、さっそく作ってみることにした。今回も「亀の尾っぽ」は入っていませんので、あしららず(笑)。

まずは、ホットプレートにオリーブオイルを入れて、スライスしたニンニクを温める。

香りが出てきたら、玉ねぎを炒め、「亀の尾」を投入。
(紫のが亀の尾じゃないですよ:笑)
そして、さらに、スープとサフランの戻し汁を入れます。
さらに、これでもか!と魚介を敷き詰めます。
ちなみに登場食材は、
甘エビ、イカ、地ハマ(蛤)、アサリ、カラホ(殻付きホタテ)。

蓋をして、15分ほどグツグツと煮込む。
貝のふたがパックリとあいて、おいしさが充満している。
魚介が多すぎて、亀の尾が見えない(笑)。

アサリなどの貝類を食べ進んで、「亀の尾」を発掘している最中に、巨大ホタテを発見。厚さ3cm以上あるりっぱなヤツ。
「亀の尾」はサフランで色づけされ、ふっくらと炊きあがっている。滋味深い魚介の味がしみ込んだ粒は、一つ一つがおいしさのかたまりだった。そして、みんなが苦労して育てた味わいも、かみしめることができました。幸之助さん、素敵なプレゼントありがとうございました。
2009年1月16日(金曜日)
[ 08:50 ] [ 人夢の料理 ]
   
今月の晩ごはん倶楽部のテーマは「真鱈」。
「真鱈」をとことん食べつくすということで、いろいろ知恵を絞って料理を作ってみた。

まずは、前菜。

奥中心の海苔で巻いたものから右回りで紹介。
海苔で巻いたものは「雪うるい」のお浸し。白い茎と淡い緑の葉がとっても清楚な感じの野菜。あまり色付けせずに、薄口とお出汁で半日漬け込む。隣は自家製カラスミ。冷凍してあったので、中がまだ凍ったまま。お次は鱈の腹身を西京味噌と秋田麹味噌のブレンドに24時間漬け込んだもの。真空包装したので味のしみ込みが早い。隣は鱈の肝。白子と並んで肝もだいぶ大きい。これは濃口、味醂、混布出汁、ザラメで煮込む。最後は「にこごり」。鱈ちりをするために、アラでとった出汁の骨に身が残る。それを丁寧にこそげ落として、肝の煮汁に加えゼラチンで固める。

鱈は青森が有名。
これに合わせて、青森の七戸産の「菊芋」と「新牛蒡」の炊き合わせ。里芋とは違う食感を楽しんでいただいた。

鱈の白子。雲の形ににているので「雲子」と呼ばれたり、菊の花に似ていることから「菊」などと呼ばれたりしている。ちなみに、秋田では「ダダミ」と呼んでいる。その由来は不明である。知っている人がいたら教えてください。生派と茹で派に分かれて食べた。この白子は、ひとむが鱈のお腹から直接出したものだから、鮮度が違う。白に薄いピンクがかかり、プリプリしている。



「鱈素麺」である。
鱈の切り身に塩と酒をふる。
それをゆでた素麺で巻いて、片栗粉を振って蒸す。
さらに、160℃の油でじっくり揚げてから、お出汁に。
お出汁は、鱈のアラ(青森では”ジャッパ”という)。
「雑端」がなまったものか?
あとは、濃口と味醂だけ。
ふっくらとした素麺が鱈の身をやさしくつつむ。
お出汁がいい塩梅に素麺に馴染んで、
身体も、ほっくりと暖まる。

「白子と鱈身のムニエル」
それぞれ火を通す時間が違うので、別鍋で作る。
白子は小麦粉をまぶし、バターを加えた鍋で焼く。
表面に薄らと焦げ目がついたら、
仕上げにコンソメスープを加え少し煮る。
身は小麦粉をまぶして、バターを加えた鍋で焼く。
仕上げは、サフランソース。
皮が香ばしく焼けて、サフランの香りが充満。
和風に仕上げてみたけど、味はフレンチ。

このあとは、「鱈ちり」が待っていた。
鱈のエラとウロコを除いて、全部堪能した。

ここのところ、思うところがあって、
晩ごはん倶楽部の案内を出さずに開催してきた。
これまでのスタイルの晩ごはん倶楽部は、今回が最後。
来月からは、「新生・晩ごはん倶楽部」になります。
お楽しみに。

2009年1月13日(火曜日)
   
青森の海の底には、こんな怖い顔をしたやつが住んでいる。

その答えは、これだ!
口から赤い玉を吐き出している。
相変わらず怖い!

でもね、その身は、新鮮であれば、とても繊細でうまいのよ!

「菊」もこんなにたくさん。
見かけは怖いけど、ウマいものがギッシリっ!
明日の晩ごはん倶楽部お楽しみに。
2009年1月12日(月曜日)
[ 07:02 ] [ 人夢の料理 ]
   
紅芯大根をざっくりと切ってみる。
表面は緑なのに、中は「紅色」

皮をむかずサクサクと切り落としていく。
中の芯の部分は、少し残しておく。
皮はタマネギとニンジンと煮込む。
味付けは「塩」のみ
大根の紅色がだんだん薄くなり、スープがピンクになっていく。

浮き身に使うために、芯の部分はきれいに切りそろえて蒸し器で蒸します。一緒に煮込むと紅色が失せてしまうので、蒸して使うのです。こうすれば、紅色は鮮やかなままで。ほんのり甘くて優しい味のスープの完成です。
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